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「それはマズイよ」
フェリセットにされるがまま倒れ込み、覆い被さるような体制になったルイは鼻と鼻が触れたあたりで押しとどまった。
「なんで、そんないじわるするのぉ……」
フェリセットはめそめそと泣き始めた。どうせやらしい気持ちになったところをパクりと食べてしまえとか思っていたくせに、なんで急にいい人ぶってるのさ──口にしたつもりはなかったが、なぜだかルイには正しくに伝わったようだった。
「昼までは、確かにそのつもりだった。でも今のフェリセットを見ていると急に罪悪感が湧いてきたというか……」
やっぱりルイの気持ちはフェリセットには全く理解が出来なかった。なんだか自分の引き起こした悪戯の結果に慌てているようにも見えるルイが少し可笑しい。
「本当最低、いじわる。ばか」
フェリセットはルイの腕を枕にし、横向きに転がった。ルイが亜麻色の髪の毛を撫でる。
「反省しております。今回は本気」
「どうだか……」
フェリセットはそのまま、撫でられるままにじっとしていたが、無言に耐えきれず口を開く。
「……ねっ」
「うん?」
「普段、いつも、こんな感じなの?」
「そうかもね」
一般的に男性は女性より性的な衝動が強いと聞く。つまりフェリセットが尋ねたのは、いつもこのくらい自分にムラムラしているのか、と言う意味である。
「そうなんだ……」
こんなに触れたくて、ぞわぞわして、確かにこの衝動には抗いがたい。
フェリセットが潤んだ瞳でルイを睨み付けると、ちょうど紫の瞳と視線がぶつかる。憎たらしい男だけれど──自分に対して、いつもこんな気持ちなのだとしたら。それはそれで──なんだか、可愛いところもあるかもしれない。
そのままじっとルイを見つめる。言葉にするのは簡単だけれど、自分から行く、と向こうから来る、では大違いなのだ。
ルイの体が傾き、フェリセットは静かに目を閉じた。
「んっ……」
唇が離れたあと、フェリセットは自分から再び唇を求めた。
──気持ちいい。
軽く触れただけだ。肉体ではなくて、これは脳が悦んでいるのだ、と思う。最初は怖かったはずなのに、いつから自分はこうなってしまったのだろう。魔術のせい──フェリセットだけが、実際はそうでもないことを知っている。
そのまま、互いに寝そべった体制で唇をむさぼり合う。まるで発情期の獣だ。いちどきっかけができてしまうと、堰を切った様に欲しくて欲しくてたまらなくなってくる。
──もっと、重さを、熱を感じたい。
足の間から伸びた尻尾がぱち、ぱち、とルイの太ももを叩く。二匹の子猫のようにじゃれあったのち、フェリセットはルイの首筋に手を回し、頭を抱えこみ、呟いた。
「これは、その……魔術のせい、だから……」
フェリセットにされるがまま倒れ込み、覆い被さるような体制になったルイは鼻と鼻が触れたあたりで押しとどまった。
「なんで、そんないじわるするのぉ……」
フェリセットはめそめそと泣き始めた。どうせやらしい気持ちになったところをパクりと食べてしまえとか思っていたくせに、なんで急にいい人ぶってるのさ──口にしたつもりはなかったが、なぜだかルイには正しくに伝わったようだった。
「昼までは、確かにそのつもりだった。でも今のフェリセットを見ていると急に罪悪感が湧いてきたというか……」
やっぱりルイの気持ちはフェリセットには全く理解が出来なかった。なんだか自分の引き起こした悪戯の結果に慌てているようにも見えるルイが少し可笑しい。
「本当最低、いじわる。ばか」
フェリセットはルイの腕を枕にし、横向きに転がった。ルイが亜麻色の髪の毛を撫でる。
「反省しております。今回は本気」
「どうだか……」
フェリセットはそのまま、撫でられるままにじっとしていたが、無言に耐えきれず口を開く。
「……ねっ」
「うん?」
「普段、いつも、こんな感じなの?」
「そうかもね」
一般的に男性は女性より性的な衝動が強いと聞く。つまりフェリセットが尋ねたのは、いつもこのくらい自分にムラムラしているのか、と言う意味である。
「そうなんだ……」
こんなに触れたくて、ぞわぞわして、確かにこの衝動には抗いがたい。
フェリセットが潤んだ瞳でルイを睨み付けると、ちょうど紫の瞳と視線がぶつかる。憎たらしい男だけれど──自分に対して、いつもこんな気持ちなのだとしたら。それはそれで──なんだか、可愛いところもあるかもしれない。
そのままじっとルイを見つめる。言葉にするのは簡単だけれど、自分から行く、と向こうから来る、では大違いなのだ。
ルイの体が傾き、フェリセットは静かに目を閉じた。
「んっ……」
唇が離れたあと、フェリセットは自分から再び唇を求めた。
──気持ちいい。
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「これは、その……魔術のせい、だから……」
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