Destiny epic

ミヤビ

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第3話 「世界に救済を」

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『...なあ...俺たちって..."友達"だよな...?』
『??...なに言ってんだ。俺たちは友達に決まってんだろ?』
『...そうだな...。ありがとう。』
『...随分変なこと聞くんだな?"ギル"。』
『いや......いつか、お前が遠くに行ってしまいそうで怖くてさ...。』
『ハハ...なんだそんなことか。大丈夫。俺はお前がいる限り、絶対そばにいてやるからよ。』
『...約束だぞ?』
『ああ、約束だーー』





ーーー

???「...ん...」
???「....ハッ!!」
運転手の男が飛び起きた。
周囲はすでに暗くなっており、目の前にある炎だけが唯一の灯りだった。
ジーク「ようやく目覚めたか」
ジーク「大丈夫か?あれからかなり気を失ってたし、随分とうなされてたが...」
???「あ、ああ...かなり昔の夢を見てた気がする...って...」
???「あれっ!?俺...生きてる!?助かった...いや!あんたが助けてくれたのか!?」
ジーク「え?ああ、まあな。」
???「本ッ当にありがとう!一時はどうなるかと思った...」
ジーク「目立った怪我もないし、無事で何よりだ。...だが、さっきの襲撃で町の宿泊施設がストップしててな...。」
ジーク「結果的にこうして野宿になってしまった。すまない。」
ジーク達がいるのは、町から少し外れた森林。周りが木々に囲まれており、その中の木のないスペースに、ジークはキャンプ地を立てていた。
???「ああ、別に構わないぜ。俺もあてが無かったしな...」
???「そうだ、アンタの名前、教えてくれよ。」
ジーク「そうだな...俺の名前はジーク。"ジーク・フリート"だ。」
???「ジーク、か。俺は、"ギルバート・ガメッシュ"。...長えからギルでいいぜ。」
ジーク「ああ、よろしくな、ギル。」
ギルバート「へへ...なんか久々にギルって呼ばれたぜ...」
ジーク「そういや、ギルはなんで街中をジェット機で飛んでたんだ?」
ギルバート「ああ、あれはちゃんと然るべき所に停める予定だったんだが...」
ギルバート「その途中に悪魔に襲われたんだ。」
ジーク「そうなのか...悪い。あのジェット機は壊しちまった。」
ギルバート「あー、別にいいさ。今こうして生きてるんならそれで。」
ギルバート「それより...突然なんだが、いくつかジークに質問したいことがあるんだ。」
ジーク「質問?」
ギルバート「ああ。俺、実は今旅の途中でな。とある人達を集める旅。」
ギルバート「もしかしたら、そのとある人達の中にジークも入るかもしれないんだ。」
ジーク「???...へ...へぇ。まあ、別にいいけど。」
ギルバート「んーと、そうだな。まずは...ジークは神話、詳しいか?」
ジーク「まあ、本とかで軽く読んだことは。」
ギルバート「なら大体のことは知ってるよな。天界から反逆者が出てどうこう...っていう。」
ギルバート「その中で、"七英雄セブンス"って見たことあるか?」
ジーク「......!」
ジークにも思い当たる節はあった。図書館で見つけた謎の本。その題名にあった「七英雄」の文字。先刻からジークの中でずっとつっかえていたことだった。
ジーク「町の図書館で見たことはある...内容は知らないが。」
ギルバート「そうなのか?...じゃあ軽く説明するぜ。」
ギルバートの説明を要約するとこうだーー

天界でルシファーの反逆があった後、ルシファーは堕天し、魔界を創り上げて、天界と戦争を起こした。
その圧倒的な力の前に、天界はなす術がなかった。そこで、天界は苦肉の策として、人間界の人々に協力を求めた。
そこで、天界は、当時人間界で一番位が高かった7人を集わせ、悪魔に対抗できる手段を持たない人間を、悪魔と渡り合えるように極秘で1人づつ"特殊能力の種"を与えた。種を持った人間は子孫を残し、そのいつか能力が目覚める末裔のために力を尽くしたーー。

ギルバート「...で、近頃、おそらくだが、その末裔、いわゆる"七英雄"がついに覚醒したと思うわけ。」
ジーク「...根拠は?」
ギルバート「俺がそうだからさ。」
ジーク「.....は?」
ギルバート「だから、俺がその七英雄の1人。」
ジーク「うそ...だろ!!?」
流石に動揺を隠せなかった。神話の存在がまさか、目の前にいるなんて。
ジーク「じゃあ、特殊能力も持ってるのか!?」
ギルバート「ああ、ある時、目覚めたんだ。」
ジーク「そんなバカな...いや待てよ。もしかして...」
ジーク「俺もその中の1人だと?」
ギルバート「そう。たった1人であれだけの数の悪魔を薙ぎ倒せるほどの強さ。あの危機的状況から俺を救えるほどの強さ。もしかして、と思って聞いてみたんだ。」
ギルバート「さあ、最後の質問。」
ギルバート「ジークの身の回りで、なにか非科学的、非物理的なこと、用は不思議な出来事に出会ったことはあるか?」
ーそれも思い当たる。熱線ビームを食らう直前、信じられないことだが、"時が止まった"のだ。
ジーク「ああ...ある。」
ギルバート「やっぱり。」
ジーク「あのビームを食らう瞬間、時が止まったんだ。」
ギルバート「時を止める...か....それが、ジークの能力なのかもな。」
ギルバート「その目の下の"紋章"もおそらくそうだろう。」
ギルバートが言うには、七英雄である証拠は、能力が覚醒した際、体のどこかの部位に"紋章"が浮かび上がる。
ジークの左目の下にマークがある。それこそが"紋章"であった。
ギルバート「ちなみに俺のは右手の甲にあるんだ。」
ギルバートがちらりと手の甲を見せると、そこには紋章があった。
もはや、ジークは全ての話を信じざるを得なかった。
ギルバート「どうだ?俺と一緒に、来る気はないか?この世界を、救わねえか?」
ジーク「.......」
ジーク「断る。」
ギルバート「えっ」
ギルバート「いやいやいや!ここ普通はOKするところっしょ!」
ジーク「その七英雄とかいうやつだが、俺はおそらく違う。この能力とやらは生まれつきじゃなく、とある奴に植え付けられたものだ。」
ジーク「この目の下の紋章も、その時につけられたものだ。」
ジーク「それに、俺にはやるべきことがある。」
ギルバート「な、なんだよ?」
ジーク「実は俺も旅の途中でな。数年前のあの戦争...あの日に俺は...」
ジーク「俺は...とある男によって母親を殺されたんだ。」
ギルバート「.......それは復讐の旅、か?」
ギルバート「復讐なんてして何になるんだ。その仇をとったところで、その母さんは戻ってこないんだぞ?」
ジーク「...うるせぇ...そんなことはわかってるんだよ...」
ジーク「でも!!俺は許せないんだ!大切な人を奪われた怒りが!悲しみが!俺を駆り立てる!」
ジーク「わからねえだろ!?"大切な人を奪われた気持ち"なんてよ!?」
ギルバート「分からない...だと?」
ギルバート「いいや、俺には...」

「「解るッ!!!」」


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