刑事たちの余談

江木 三十四

文字の大きさ
24 / 111

23.黙秘男2(同郷で同族)

しおりを挟む
ここはお決まりの取り調べ室です
担当刑事「お前、名前は?」
容疑者「……」 
担当刑事「黙ってたんじゃ分からないぞ」
容疑者「……」
担当刑事「せめて名前くらいは言えよ」
容疑者(適当にウソ言ってやろ)「うら……」
担当刑事「ほうっ、って名字だな。下はなんていうんだ」
容疑者(今考えてんだよ。そうだ)「っつうんだよ」」
他の刑事「うらしまたろうだって!」
他の刑事、一斉に担当刑事を見つめる。
容疑者「本名だよ」(バカめ。そんな名前があるか)
しかし、取り調べにあたっていた担当刑事は涙をこぼす
担当刑事「俺も同じ名前なんだ。同姓同名に会えて、今猛烈に感動しているぞ」
容疑者「そうかい」(ホントか?)
という担当刑事「お前、故郷はどこだ?✕〇県だろ」
容疑者(この刑事に話をあわせてやるか)「うん。そうだ」
うら刑事「やっぱりな、そこの△□村には、「うら」って名字が多いんだよな」
容疑者「その通り」(マジ?)
うら刑事「それで、谷野辺って部落は全部の名字がこの「うら」なんだよな」
容疑者「俺もそこの出だからな」(肯定してよかったのかよ)
うら刑事「こっちにも谷野辺出身者がいて、と言う名前のもんが何人もいるんだよ」
容疑者「そ・そうかい」(どうなっちまうんだ)
うら刑事「それで、ちょうど「うらしまたろう」の仲間でこれから、同郷会をやるんだ」
容疑者「は?」
うら刑事「今、ここに集まってんだ」
容疑者(なんだって?)
うら刑事「きっとおメエも知っている奴がいるぞ」
容疑者(やばい)
うら刑事「良かったな。おメエも会いてえだろ。今、呼んでくっからな。会ってけや」
容疑者「ええー、いいよ。会いたくねえよ」

うら刑事「遠慮すんなって。こいつらだ」
容疑者「えっ、知らないよ」
うら刑事「そんなこたねえだろ」
容疑者「誰ですか?この人たち」
うら刑事「よく知ってんだろ?」
容疑者「……」
うら刑事、容疑者の額をつっつく。
うら刑事「それでな、谷野辺の住民は、泥棒ばっかりなんだぜ。そうだよな、おメエら」
全員頷く。
うら刑事「みんな、窃盗で捕まったんだ。なっ!」
全員、再び頷く。
容疑者(ウソ―)
うら刑事「おメエも谷野辺の出なら泥棒だな」
容疑者「違うよ!」
うら刑事「だって、さっきおメエが白状したんだよ。△□村で谷野辺生まれだってさ」
容疑者「じゃあ、あなたも泥棒でしょ」
うら刑事「ところがさ、おれの家だけ警官の家系なんだな。先祖代々な」
容疑者「そんなバカな」(オレ、こいつにはめられたの?)

みさとさん「やっぱり、はめられたのね」
福田君「ううん、その刑事も含めて、ホントに全員その名前なんだ」
みさとさん「△□って村に行ってみたいな」
福田君「泥棒村って言われてんだ」
みさとさん「やっぱり行かない」


おしまい
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

処理中です...