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東の大陸蹂躙
東の大陸蹂躙完了! そして、恒例のサタン様からの手紙
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シスターを魔族にしてから数日が経ち、無数のガーゴイルたちによる人海戦術によって獣人救出、及び人間の掃討作戦は終了した。
全てを見通す者スキルにも東の大陸にいる人間は映し出されなかった。
「はい、東の大陸の人間は全て殺し尽くしました! みんなが頑張ってくれたおかげです。ありがとう!」
玉座の間に集まった仲間たちを労い、東の大陸の蹂躙完了を祝った。
「終わりましたか。おめでとうございます」
「おー、終わったのか! 今回は長かったな」
「今回はちゃんとルーシェのお手伝いできたから嬉しい! また頑張るからね!」
「ルーシェ様はずっと付きっ切りでしたからね……これで少しはお休みできますね!」
合わせてくれているだけなのかはわからないが、みんな人間の殲滅に否定的な意見を言わない。
ヘレも特に人間の死を憂いたりはしなかった。
「おまえたち……これで人間たちは残すところ北の大陸と、中央大陸にいる残党を残すのみとなった……僕の願いはもう少しで叶う。最後まで力を貸してくれるか?」
「当たり前です! ずっと一緒です!」
「私も! ルーシェにずっとついていく!」
「私も皆さんとずっと一緒にいたいです!」
「俺は……そういやこれが終わったらどうすればいいんだ?」
気の早いクザンが終わった後のことを気にしだした。
そういうよくないフラグは立てないで欲しい。
「クザン……そういうのは終わってから考えろ。いくらでも時間はあるだろう? それに、おまえはエルフだからな。終わったら魔族の呪いは解いてやる。娘と余生を過ごせ……もしかしたら、終わったころには孫と会えるかもしれないぞ?」
「は? 孫? ふざけんな! まだミラはそんな歳じゃねえ!」
「あれあれ? なにを焦っているのかな?」
「うっせ! ミラが結婚なんて……いやいや……まだ早い! あいつは呪いが解けたばっかりで、教養だってまだ——」
「——おまえよりもしっかりした利発的な子に見えたんだが……気のせいだったか?」
「クソッ! ああ! そうだよ! ミラはいい子だ! 俺の子にはもったいないくらいな!」
突然、娘の結婚なんて話になったものだから、クザンは面白いほどに取り乱していた。
「悪い悪い! そんなに取り乱すとは思ってなかったからな。はは、ミラはいい子。それは間違いない。なんていったって、エルフの里を守っているんだからな」
なにやら難しい顔をしていたクザンだが、僕がミラを褒めると口角がじわじわと上がっていった。
「ふっ……娘を褒められるのがこんなにも嬉しいことだったなんてな……笑えてくる……。こんな気持ちになれたのも、ミラを思って一喜一憂できるのも魔王様のおかげなんだと思うと改めて感謝しねぇといけねぇな! くだらねぇことを考えるのはやめだ。悪かったな、魔王様」
「僕としては今すぐ娘の下へと返した方が面白いんじゃないかと感じているよ。まあ、おまえの意思を尊重するけど……どうする?」
「勘弁してくれ! 悪かったって! なにもしないまま帰ったんじゃ娘に合わせる顔がねぇよ!」
「ははは……そうか」
クザンで遊んでいると、いつものように巻手紙が突然、目の前に現れた。
僕はその手紙を手に取り、サタン様からのありがたいお言葉を拝読する。
//
親愛なるルーシェへ
やあ! 元気してる?
今回はちょっと手間取ってしまったようだね。
僕が懸念していた勇者も、君にとっては他愛ない相手だったようで安心したよ。
そして、ようやく最後の大陸だね! 君が北の大陸の人間を蹂躙するのを楽しみにしているよ。
ただ、北の大陸には神が大勢いるから覚悟して向かってね。中でも、君が助けたシスターが呼び寄せた天使長はとても厄介なんだ。
天使は神のように天界での姿を変えなくても地上に降り立つことができる。
だから、今までのようにはいかない。この世界の理では図れないことをしてくるはずだ。
さらに言えば、あいつらは不老不死で殺すこともできない。
まさに八方塞がりってわけだ。
でもさ、それじゃあ面白くないと思わないかい?
だから、天使だろうが、神だろうが、殺すことのできる力を君に与えたんだけど……気づいてくれたかな?
その力を発動させるには、人間を全て殺さなければならないんだ。
そして、見事全ての人間を殺すことができれば……君は、神をも殺すことが可能になるのさ!
そして、今回も君のステータスを上げておいたよ! ちゃんと確認してね!
じゃあ、健闘を祈っているよ!
サタンより
//
「……」
「なに読んでるの?」
リッカが僕の隣に来て手紙を覗き込んでいた。
「ん? サタン様からの手紙さ」
「ふーん。なになに……へー、北の大陸には神様がいっぱいいるんだ。天使ってのが強いんだね。あっ! ルーシェまた強くなるの?」
「どうやらそうみたいだな」
「私たちにも見せてください!」
フェリが羨ましそうにこちらを見ていたので、サタン様からの手紙を渡してあげた。
フェリはサタン様からの手紙を受け取ると、ヘレとクザンにも見せながら内容を確認する。
「魔王様はどこまで強くなる気なんだよ」
「ルーシェ様は凄いですね」
クザンとヘレは感嘆の言葉をかけてくれたのだが、フェリは食い入るように内容を確認していた。
「どうした? なにか気になるのか?」
「……いえ。ルーシェは神様になるのかなって感じまして……」
「ん? なんでそうなるんだ?」
「この手紙の内容を考えると、ルーシェがこの世界の理を超えた力を与えられるってことですよね? でも、それって……神様になるってことと同じではないのでしょうか?」
この文面からそんな懸念を抱く必要はなさそうではあるのだが、フェリの言っていることは一理ある。
もし、人間を全て殺した後に神を殺す力が与えられるというのであれば、いったいそれはどういうことなのだろうか?
この世界の理を超えた存在を殺す力とはいったいどういったものなのだろうか?
完全に理解を超えているため、想像の域をでないが、こんな疑問に答えられそうな存在に知り合いなんて……いるな。
しかし……そいつに頼るのはとても嫌だ……でも……背に腹は変えられないか……。
シスターを魔族にしてから数日が経ち、無数のガーゴイルたちによる人海戦術によって獣人救出、及び人間の掃討作戦は終了した。
全てを見通す者スキルにも東の大陸にいる人間は映し出されなかった。
「はい、東の大陸の人間は全て殺し尽くしました! みんなが頑張ってくれたおかげです。ありがとう!」
玉座の間に集まった仲間たちを労い、東の大陸の蹂躙完了を祝った。
「終わりましたか。おめでとうございます」
「おー、終わったのか! 今回は長かったな」
「今回はちゃんとルーシェのお手伝いできたから嬉しい! また頑張るからね!」
「ルーシェ様はずっと付きっ切りでしたからね……これで少しはお休みできますね!」
合わせてくれているだけなのかはわからないが、みんな人間の殲滅に否定的な意見を言わない。
ヘレも特に人間の死を憂いたりはしなかった。
「おまえたち……これで人間たちは残すところ北の大陸と、中央大陸にいる残党を残すのみとなった……僕の願いはもう少しで叶う。最後まで力を貸してくれるか?」
「当たり前です! ずっと一緒です!」
「私も! ルーシェにずっとついていく!」
「私も皆さんとずっと一緒にいたいです!」
「俺は……そういやこれが終わったらどうすればいいんだ?」
気の早いクザンが終わった後のことを気にしだした。
そういうよくないフラグは立てないで欲しい。
「クザン……そういうのは終わってから考えろ。いくらでも時間はあるだろう? それに、おまえはエルフだからな。終わったら魔族の呪いは解いてやる。娘と余生を過ごせ……もしかしたら、終わったころには孫と会えるかもしれないぞ?」
「は? 孫? ふざけんな! まだミラはそんな歳じゃねえ!」
「あれあれ? なにを焦っているのかな?」
「うっせ! ミラが結婚なんて……いやいや……まだ早い! あいつは呪いが解けたばっかりで、教養だってまだ——」
「——おまえよりもしっかりした利発的な子に見えたんだが……気のせいだったか?」
「クソッ! ああ! そうだよ! ミラはいい子だ! 俺の子にはもったいないくらいな!」
突然、娘の結婚なんて話になったものだから、クザンは面白いほどに取り乱していた。
「悪い悪い! そんなに取り乱すとは思ってなかったからな。はは、ミラはいい子。それは間違いない。なんていったって、エルフの里を守っているんだからな」
なにやら難しい顔をしていたクザンだが、僕がミラを褒めると口角がじわじわと上がっていった。
「ふっ……娘を褒められるのがこんなにも嬉しいことだったなんてな……笑えてくる……。こんな気持ちになれたのも、ミラを思って一喜一憂できるのも魔王様のおかげなんだと思うと改めて感謝しねぇといけねぇな! くだらねぇことを考えるのはやめだ。悪かったな、魔王様」
「僕としては今すぐ娘の下へと返した方が面白いんじゃないかと感じているよ。まあ、おまえの意思を尊重するけど……どうする?」
「勘弁してくれ! 悪かったって! なにもしないまま帰ったんじゃ娘に合わせる顔がねぇよ!」
「ははは……そうか」
クザンで遊んでいると、いつものように巻手紙が突然、目の前に現れた。
僕はその手紙を手に取り、サタン様からのありがたいお言葉を拝読する。
//
親愛なるルーシェへ
やあ! 元気してる?
今回はちょっと手間取ってしまったようだね。
僕が懸念していた勇者も、君にとっては他愛ない相手だったようで安心したよ。
そして、ようやく最後の大陸だね! 君が北の大陸の人間を蹂躙するのを楽しみにしているよ。
ただ、北の大陸には神が大勢いるから覚悟して向かってね。中でも、君が助けたシスターが呼び寄せた天使長はとても厄介なんだ。
天使は神のように天界での姿を変えなくても地上に降り立つことができる。
だから、今までのようにはいかない。この世界の理では図れないことをしてくるはずだ。
さらに言えば、あいつらは不老不死で殺すこともできない。
まさに八方塞がりってわけだ。
でもさ、それじゃあ面白くないと思わないかい?
だから、天使だろうが、神だろうが、殺すことのできる力を君に与えたんだけど……気づいてくれたかな?
その力を発動させるには、人間を全て殺さなければならないんだ。
そして、見事全ての人間を殺すことができれば……君は、神をも殺すことが可能になるのさ!
そして、今回も君のステータスを上げておいたよ! ちゃんと確認してね!
じゃあ、健闘を祈っているよ!
サタンより
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「……」
「なに読んでるの?」
リッカが僕の隣に来て手紙を覗き込んでいた。
「ん? サタン様からの手紙さ」
「ふーん。なになに……へー、北の大陸には神様がいっぱいいるんだ。天使ってのが強いんだね。あっ! ルーシェまた強くなるの?」
「どうやらそうみたいだな」
「私たちにも見せてください!」
フェリが羨ましそうにこちらを見ていたので、サタン様からの手紙を渡してあげた。
フェリはサタン様からの手紙を受け取ると、ヘレとクザンにも見せながら内容を確認する。
「魔王様はどこまで強くなる気なんだよ」
「ルーシェ様は凄いですね」
クザンとヘレは感嘆の言葉をかけてくれたのだが、フェリは食い入るように内容を確認していた。
「どうした? なにか気になるのか?」
「……いえ。ルーシェは神様になるのかなって感じまして……」
「ん? なんでそうなるんだ?」
「この手紙の内容を考えると、ルーシェがこの世界の理を超えた力を与えられるってことですよね? でも、それって……神様になるってことと同じではないのでしょうか?」
この文面からそんな懸念を抱く必要はなさそうではあるのだが、フェリの言っていることは一理ある。
もし、人間を全て殺した後に神を殺す力が与えられるというのであれば、いったいそれはどういうことなのだろうか?
この世界の理を超えた存在を殺す力とはいったいどういったものなのだろうか?
完全に理解を超えているため、想像の域をでないが、こんな疑問に答えられそうな存在に知り合いなんて……いるな。
しかし……そいつに頼るのはとても嫌だ……でも……背に腹は変えられないか……。
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※この小説は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
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