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3部 精霊女王の〝首狩り馬〟 編
69話 続いてメイベルが知ったのは
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祭りに参加する事を、仕方なくエインワースに表明した後、メイベルは普段通りの日常を過ごした。昼食を済ませると、少し休憩を取ってから庭先の手入れもした。
「今日の夕飯分の野菜は、後で大丈夫なのか?」
「うん、平気だよ。ありがとう」
菓子休憩を前にして、先にキッチンに立っていたエインワースが、がそごそしながらそう答えてきた。
「メイベルは、また『大きな豆』を穴に投げ入れていたねぇ」
「うるせぇ。やつはただの不法侵入だ」
彼が戻った後に発見したというのに、キッチンの小窓から見えていたらしい。またしても【土の恵みのモノ】がいたのを思い出して、メイベルは舌打ちした。
「チッ。今度は、山にでも埋めてきてやろうかな」
「その君の後ろを『栗』が歩いていたのだけれど、教えた方が良かった? 今度は兄弟で仲良く手を繋いでいたよ」
食卓にドカリと腰掛けたメイベルは、それを聞いて「あ?」と険悪な声を上げた。足を組み、慣れたようにスカートの裾を手で払って足を隠す。
「いいかエインワース、アレには兄弟はいない、番候補で連れていたんだろう」
「おや。ということは、お見合い中だった?」
「勝手にデートスポットにしてるとは、けしからん栗め」
メイベルは苛々したように言ったのだが、肩越しに目を向けたエインワースは面白そうに笑っているだけだ。
「お前、精霊がぽこぽこ出入りしているのを、楽しんでいるんじゃないよ……」
「だって楽しいよ。毎日、いつも人の出入りがあるみたいで賑やかだ。誰とも喋らないまま終わる日なんてないし、ボケる暇もないくらいだ」
「魔法使いであっても、怒るレベルの不法侵入具合なんだがなぁ。しかも本人に自覚がないだけで、かなり茶化されて悪戯もされているのに」
昨日も、郵便ポストを開けたら花弁が噴き出したのを見て、エインワースは子供みたいに笑っていた。メイベルとしては、新聞どこに隠された、と切れた一件である。
「メイベルは、ずっとスカートだった頃があったんだねぇ」
「ん? ああ、まぁな」
今更のように言われて、メイベルはそうとだけ答えた。
エインワースは、確認して尋ねたという風でもなくニコニコしている。ここ数日、スカートを一通り試すべく着続けているので、とうに彼も感じて分かっていた事だろう。
ただ単に、発言のタイミングが今にずれただけのような気はする。
スカートを用意したのも、意図があるわけではなく思い付き。衣装を重視しているわけではないみたいだし、よく分からない男だと思う。
「で? 休ませていたパイ生地を取り出して、何をするんだ?」
メイベルは、背もたれに体重を掛けて腕を組んだ。
「アップルパイを焼こうかと思ってね。ああ、勿論君の希望していたスコーンも作るよ」
「そのためにエンドウ豆を下準備してやったからな」
とはいえ、と、今更になってふと気付いた。
キッチンに向き直ったエインワースの方を見てみれば、手元に置かれたアップルパイ用の焼き皿は二枚ある。それでいて、彼はスコーンまで焼こうとしているのだ。
「お菓子休憩用にしては、多い量だな?」
その時、玄関の方から呼び鈴が鳴った。
エインワースが、キッチンの上を準備していた手を止めて振り返る。その動きを察知した途端、メイベルはさっと立ち上がって向かい出していた。
「私が行く、任せとけ」
後ろ手を振ってそう告げた。
一体誰だろうなと思いながら、ローブの下のスカートを揺らしてパタパタと向かった。そのまま扉を開けたメイベルは、そこに立っていた人間を目にした途端に沈黙した。
「…………」
「…………」
そこにいたのは、二十七歳の孫のスティーブンだった。祖父であるエインワースとは違うキリリとした雰囲気を持ち、端整な顔立ちをしている。無愛想な切れ長の目は番犬みたいだ。
すらりとした身体には、夏用のスーツの上着をお洒落に着合わせている。足元には大きめの旅行鞄があって、手にも革の鞄を持っていた。
数日前に別れたばかりなんだが、とメイベルは言葉が出ないでいた。久しぶり、という時間経過の感覚がないのは、こちらをじっと見下ろして何も言わないでいる彼がいい証拠だろう。
「……というか、なんでまた来てんの……?」
口から疑問がこぼれ出て、メイベルは困惑顔で首を捻ってしまった。こいつの事だから、私が出てさぞ残念がっているんだろうな、という思いも過ぎる。
すると、後ろからエインワースの声が聞こえた。
「今回のお祭りに誘おうと思って、どうかなって手紙を出していたんだ」
振り返ってみれば、エプロンの裾で手の水気を拭っている彼がいた。こちらへと向かいながら、呑気に「やぁ、よく来たね」なんて彼は言っている。
「…………お前、依頼の出張疲れくらい考慮してやれよ」
メイベルは、数日前に自分も帰宅したばかりであるのを思って呆れた。
「私は精霊の身だが、孫の方は人間だぞ? 本業の教授仕事もあるだろうに」
「今年は、一緒に参加出来たら嬉しいなと思って」
「個人的な感情で巻き込んでやるなよ……」
「若いし力もあるから、祭りの設営も手伝ってくれると助かるかなぁと」
「力仕事までさせる気なのか? それでわざわざ列車でここまで帰省してもらったとか、さすがに無理があるんじゃ」
すると、スティーブンが「別に無理はしてねぇ」と強く口を挟んできた。
「出張の件のあとは休みを挟んだし、いくつか仕事を片付けて長期休みを取った」
「へぇ。タイミング的には問題なかった、と」
追い返してやった方がいいんじゃないかと提案し損ねたメイベルは、ふと、そこで思い出した。そういや、こいつは気持ち悪いくらい祖父ラブの祖父ファンだったな、と。
目を戻してみれば、進み出てきて荷物を受け取ろうとしたエインワースに気付いた彼が、ハッとして大慌てでこう言い出した。
「大丈夫! ほんとッ、帰った後の休養のおかげで全然疲れてないし!」
「そうかい? でも列車旅で来たばかりだし、旅行鞄を引っ張るくらいの荷物運びなら私も手伝――」
「いやいやいやスケジュールで一番速い列車に飛び乗ったわけじゃないから! ほんと大丈夫だから!」
ほぉ、つまりそのために、持てる限りの力を駆使してスケジュールを調整し、荷造りをして列車に飛び乗った、と。
メイベルは、スティーブンの台詞から察して残念な目を向けた。そういえば体力馬鹿なところもある教授だったなと思い出して、彼がすっかり回復しているのを理解した。
「なら、まずは紅茶を淹れようか。私の方で準備をしておくから、メイベルと一緒に部屋に荷物を置いておいで」
にこっと微笑みかけたエインワースが、そう告げて動き出した。後ろでスティーブンが、即ガッツポーズをする。
メイベルは、すぐには動く気力が湧いてこなくて彼を見上げていた。
「……おい。言いたい事があるなら、口に出して言えよ」
「気持ち悪い」
反射的に、メイベルは表情に出したままスパッと答えた。そうしたら彼のこめかみに、ピキリと青筋が立った。
許しをもらったから正直に教えただけなのに、よく分からん『孫』だ。
一気に不機嫌になったのを感じで、メイベルはまたしても首を捻った。とはいえ、エインワースが菓子を多めに用意しようとしていた理由は、なんとなく分かった。
「とりあえず、案内するからそっちの荷物を貸せ」
せっかくエインワースが紅茶を用意してくれているのだ。ここで突っ立って時間を無駄に消費するわけにもいかないと、メイベルは旅行鞄の持ち手に手を伸ばした。
そうしたら、彼がパッと先に持ってしまった。
「女に持たせるわけねぇだろ」
相変わらず、妙なところで変に紳士風を出す男である。
そもそもタイヤが付いているタイプの旅行鞄くらい、少女でも軽く引っ張れる。それに私は精霊なんだが、とメイベルは思ってしまう。
「疲れは抜けたかよ」
ふと、唐突に問われた。
見上げてみると、ブルーの目でこちらを見据えているスティーブンがいた。
「疲れていたのは、お前の方だろ」
そう答えたら、彼が「ふうん」と考える風に言って目をそらす。続けて何かを尋ねてくる様子はなくて、いつもみたいに文句を吹っ掛けてくる感じもない。
メイベルは、やっぱり半ば疲労は残っているんじゃないかな、と思いながら歩き出して声を掛けた。
「この前の部屋が空いてる。お前がざっくり荷物を片付けている間に、新しいシーツとタオルなんかも用意するから」
「――なんか、新婚みたいな会話だな」
「何言ってんだ、私はエインワースと先日に再婚した『新しい妻』だが?」
訝って声を投げたら、独り言のように呟いていたスティーブンが「あ、いや、別に」と返してきた。しかし、ふと彼の戸惑いが視線と共に止まる。
「違和感がなくて気付かなかった。スカートなんだな」
意外だ。魔法で姿変えをしていると思っていて、それでいて精霊嫌いなのに衣装の感想を口にしようとしているのだろうか。
メイベルが、パチリとして大きな金色の『精霊の目』を向けると、スカートをしばし観察していたスティーブンが、思案顔で言葉を続けてきた。
「これで普段みたいに暴れたら、爺さん心配するんじゃ――いてっ」
ただの祖父ラブの馬鹿だった。
これといって彼の反応が欲しかったわけではないけれど、相変わらずブレない孫だなと、メイベルは彼の腹を軽く叩いて思った。
「今日の夕飯分の野菜は、後で大丈夫なのか?」
「うん、平気だよ。ありがとう」
菓子休憩を前にして、先にキッチンに立っていたエインワースが、がそごそしながらそう答えてきた。
「メイベルは、また『大きな豆』を穴に投げ入れていたねぇ」
「うるせぇ。やつはただの不法侵入だ」
彼が戻った後に発見したというのに、キッチンの小窓から見えていたらしい。またしても【土の恵みのモノ】がいたのを思い出して、メイベルは舌打ちした。
「チッ。今度は、山にでも埋めてきてやろうかな」
「その君の後ろを『栗』が歩いていたのだけれど、教えた方が良かった? 今度は兄弟で仲良く手を繋いでいたよ」
食卓にドカリと腰掛けたメイベルは、それを聞いて「あ?」と険悪な声を上げた。足を組み、慣れたようにスカートの裾を手で払って足を隠す。
「いいかエインワース、アレには兄弟はいない、番候補で連れていたんだろう」
「おや。ということは、お見合い中だった?」
「勝手にデートスポットにしてるとは、けしからん栗め」
メイベルは苛々したように言ったのだが、肩越しに目を向けたエインワースは面白そうに笑っているだけだ。
「お前、精霊がぽこぽこ出入りしているのを、楽しんでいるんじゃないよ……」
「だって楽しいよ。毎日、いつも人の出入りがあるみたいで賑やかだ。誰とも喋らないまま終わる日なんてないし、ボケる暇もないくらいだ」
「魔法使いであっても、怒るレベルの不法侵入具合なんだがなぁ。しかも本人に自覚がないだけで、かなり茶化されて悪戯もされているのに」
昨日も、郵便ポストを開けたら花弁が噴き出したのを見て、エインワースは子供みたいに笑っていた。メイベルとしては、新聞どこに隠された、と切れた一件である。
「メイベルは、ずっとスカートだった頃があったんだねぇ」
「ん? ああ、まぁな」
今更のように言われて、メイベルはそうとだけ答えた。
エインワースは、確認して尋ねたという風でもなくニコニコしている。ここ数日、スカートを一通り試すべく着続けているので、とうに彼も感じて分かっていた事だろう。
ただ単に、発言のタイミングが今にずれただけのような気はする。
スカートを用意したのも、意図があるわけではなく思い付き。衣装を重視しているわけではないみたいだし、よく分からない男だと思う。
「で? 休ませていたパイ生地を取り出して、何をするんだ?」
メイベルは、背もたれに体重を掛けて腕を組んだ。
「アップルパイを焼こうかと思ってね。ああ、勿論君の希望していたスコーンも作るよ」
「そのためにエンドウ豆を下準備してやったからな」
とはいえ、と、今更になってふと気付いた。
キッチンに向き直ったエインワースの方を見てみれば、手元に置かれたアップルパイ用の焼き皿は二枚ある。それでいて、彼はスコーンまで焼こうとしているのだ。
「お菓子休憩用にしては、多い量だな?」
その時、玄関の方から呼び鈴が鳴った。
エインワースが、キッチンの上を準備していた手を止めて振り返る。その動きを察知した途端、メイベルはさっと立ち上がって向かい出していた。
「私が行く、任せとけ」
後ろ手を振ってそう告げた。
一体誰だろうなと思いながら、ローブの下のスカートを揺らしてパタパタと向かった。そのまま扉を開けたメイベルは、そこに立っていた人間を目にした途端に沈黙した。
「…………」
「…………」
そこにいたのは、二十七歳の孫のスティーブンだった。祖父であるエインワースとは違うキリリとした雰囲気を持ち、端整な顔立ちをしている。無愛想な切れ長の目は番犬みたいだ。
すらりとした身体には、夏用のスーツの上着をお洒落に着合わせている。足元には大きめの旅行鞄があって、手にも革の鞄を持っていた。
数日前に別れたばかりなんだが、とメイベルは言葉が出ないでいた。久しぶり、という時間経過の感覚がないのは、こちらをじっと見下ろして何も言わないでいる彼がいい証拠だろう。
「……というか、なんでまた来てんの……?」
口から疑問がこぼれ出て、メイベルは困惑顔で首を捻ってしまった。こいつの事だから、私が出てさぞ残念がっているんだろうな、という思いも過ぎる。
すると、後ろからエインワースの声が聞こえた。
「今回のお祭りに誘おうと思って、どうかなって手紙を出していたんだ」
振り返ってみれば、エプロンの裾で手の水気を拭っている彼がいた。こちらへと向かいながら、呑気に「やぁ、よく来たね」なんて彼は言っている。
「…………お前、依頼の出張疲れくらい考慮してやれよ」
メイベルは、数日前に自分も帰宅したばかりであるのを思って呆れた。
「私は精霊の身だが、孫の方は人間だぞ? 本業の教授仕事もあるだろうに」
「今年は、一緒に参加出来たら嬉しいなと思って」
「個人的な感情で巻き込んでやるなよ……」
「若いし力もあるから、祭りの設営も手伝ってくれると助かるかなぁと」
「力仕事までさせる気なのか? それでわざわざ列車でここまで帰省してもらったとか、さすがに無理があるんじゃ」
すると、スティーブンが「別に無理はしてねぇ」と強く口を挟んできた。
「出張の件のあとは休みを挟んだし、いくつか仕事を片付けて長期休みを取った」
「へぇ。タイミング的には問題なかった、と」
追い返してやった方がいいんじゃないかと提案し損ねたメイベルは、ふと、そこで思い出した。そういや、こいつは気持ち悪いくらい祖父ラブの祖父ファンだったな、と。
目を戻してみれば、進み出てきて荷物を受け取ろうとしたエインワースに気付いた彼が、ハッとして大慌てでこう言い出した。
「大丈夫! ほんとッ、帰った後の休養のおかげで全然疲れてないし!」
「そうかい? でも列車旅で来たばかりだし、旅行鞄を引っ張るくらいの荷物運びなら私も手伝――」
「いやいやいやスケジュールで一番速い列車に飛び乗ったわけじゃないから! ほんと大丈夫だから!」
ほぉ、つまりそのために、持てる限りの力を駆使してスケジュールを調整し、荷造りをして列車に飛び乗った、と。
メイベルは、スティーブンの台詞から察して残念な目を向けた。そういえば体力馬鹿なところもある教授だったなと思い出して、彼がすっかり回復しているのを理解した。
「なら、まずは紅茶を淹れようか。私の方で準備をしておくから、メイベルと一緒に部屋に荷物を置いておいで」
にこっと微笑みかけたエインワースが、そう告げて動き出した。後ろでスティーブンが、即ガッツポーズをする。
メイベルは、すぐには動く気力が湧いてこなくて彼を見上げていた。
「……おい。言いたい事があるなら、口に出して言えよ」
「気持ち悪い」
反射的に、メイベルは表情に出したままスパッと答えた。そうしたら彼のこめかみに、ピキリと青筋が立った。
許しをもらったから正直に教えただけなのに、よく分からん『孫』だ。
一気に不機嫌になったのを感じで、メイベルはまたしても首を捻った。とはいえ、エインワースが菓子を多めに用意しようとしていた理由は、なんとなく分かった。
「とりあえず、案内するからそっちの荷物を貸せ」
せっかくエインワースが紅茶を用意してくれているのだ。ここで突っ立って時間を無駄に消費するわけにもいかないと、メイベルは旅行鞄の持ち手に手を伸ばした。
そうしたら、彼がパッと先に持ってしまった。
「女に持たせるわけねぇだろ」
相変わらず、妙なところで変に紳士風を出す男である。
そもそもタイヤが付いているタイプの旅行鞄くらい、少女でも軽く引っ張れる。それに私は精霊なんだが、とメイベルは思ってしまう。
「疲れは抜けたかよ」
ふと、唐突に問われた。
見上げてみると、ブルーの目でこちらを見据えているスティーブンがいた。
「疲れていたのは、お前の方だろ」
そう答えたら、彼が「ふうん」と考える風に言って目をそらす。続けて何かを尋ねてくる様子はなくて、いつもみたいに文句を吹っ掛けてくる感じもない。
メイベルは、やっぱり半ば疲労は残っているんじゃないかな、と思いながら歩き出して声を掛けた。
「この前の部屋が空いてる。お前がざっくり荷物を片付けている間に、新しいシーツとタオルなんかも用意するから」
「――なんか、新婚みたいな会話だな」
「何言ってんだ、私はエインワースと先日に再婚した『新しい妻』だが?」
訝って声を投げたら、独り言のように呟いていたスティーブンが「あ、いや、別に」と返してきた。しかし、ふと彼の戸惑いが視線と共に止まる。
「違和感がなくて気付かなかった。スカートなんだな」
意外だ。魔法で姿変えをしていると思っていて、それでいて精霊嫌いなのに衣装の感想を口にしようとしているのだろうか。
メイベルが、パチリとして大きな金色の『精霊の目』を向けると、スカートをしばし観察していたスティーブンが、思案顔で言葉を続けてきた。
「これで普段みたいに暴れたら、爺さん心配するんじゃ――いてっ」
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