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2部 ヴィハイン子爵の呪いの屋敷 編
48話 再び、な喫茶店『ポタ』にて
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一旦話し合いを締めたところで、メイベルとスティーブンは立ち上がった。手早く服の汚れを払っている間も、マクベイは引き続きビックリした表情で見ている。
初めての『魔法』には驚いた事だろう。唐突に転移魔法に巻き込まれてしまったマクベイを思い、改めて向かい合ったタイミングで、スティーブンが幽霊騒動の調査をしている事をざっくりと打ち明けた。
「あ、だからわざわざ『教授』がいらしているんですね……」
驚いていた彼は、ようやくそう気付いたように言った。どうして飛び出してきたのかの詳細は話していないというのに、それなら大変なお仕事だろうと二人を労うと、根っからのお人よしのような笑顔でこう提案してきた。
「他に開いている店もないですし、この町のホテルまでは少し距離がありますから、よかったら少しウチで休んでいってください」
「もう店の営業は終わっているんだろう? その、少し休めるのなら有り難いが、さすがに悪いなと……」
「僕はもうしばらくする事がありますし、お客様が二名増えても大丈夫ですよ。まだ食材も少し残っていますから、お時間を頂けるのなら軽い夕食も準備出来ます」
マクベイはそう言うと、パッと明るい笑顔を浮かべた。
それぞれタイプの違う疲労感を覚えていた二人は、その提案を有り難く受ける事にして、戻る彼と一緒に店に向かった。
喫茶店『ポタ』の狭い店内は、相変わらずどこかホッとする古風な雰囲気があった。客席側とカウンターの清掃はすっかり済んでいて、新鮮な食材の下準備のいい香りがキッチンから漂ってくる。
メイベルは、ローブのフードを降ろして、スティーブンと共に先日と同じテーブル席についた。
マクベイが一旦キッチンに引っ込むなり、互いに深い溜息を吐いてテーブルに腕を伸ばして伏せる。それぞれ思う顔で、思案げな眼差しでしばしぼうっとしていると、マクベイが早速冷たい水をグラスに入れて持ってきた。
「精霊さんって、綺麗ですねぇ」
グラスを置いた彼が、横顔をテーブルに押し付けているメイベルを見て、ぽやぽした声で言う。
メイベルはちょっと疲れた様子のまま、頬にかかった緑の髪をさらりと揺らして少し顔を向けた。その向かいで、スティーブンが「ごほっ」と咽て頭を起こしていた。
「もし人間の女の子だったら、あと二年くらいでは清楚系な美少女になるかなって」
「ふうん。清楚系、ね――それはどういうイメージなんだ?」
「聖女様みたいな!」
マクベイが、間髪入れず笑顔で答えてきた。
それを聞いた途端、メイベルの指先がピクリと反応する。けれど彼女は、ぼんやりとした表情を崩さず、指先に入った力をそっと抜いて、しばしの間を置いた後、
「――私はただの精霊だよ」
そう適当な返答をすると、ぐてっとした姿勢のまま目を閉じる。
スティーブンが、絶対有り得なさそうな単語を聞いたという表情を浮かべて、身体をわなわなと震わせながら「清楚系……?」とぼやいていた。けれど、そのせいで余計に頭が疲労した、と言わんばかりにテーブルに突っ伏した。
「……容姿のどこに聖女的な部分があるのか分からん……つか、過去の『男たち』とかも想像が付かな過ぎて色々と混乱してまとまらない……、もう今は何も考えたくない…………」
思考の疲弊感マックスな声色で、口の中でぶつぶつと独り言をする。
その様子に気付いたマクベイが、スティーブンを見て小首を傾げた。ひとまずは休ませておこうと配慮したのだろう。テーブルに伏せた二人に愛想よく言った。
「しばらくはゆっくり休まれていてください。その間に、今ある材料で作れるものを用意してきますね」
そう告げたかと思うと、キッチンへと向かう。
足音が遠ざかっていき、客席があるフロアには二人だけが残された。キッチン側から物音が上がり始め、やがて食材をサクサクと切っていく軽快な音も聞こえ出してきた。
「…………今回の件、全部、魔法使いが原因だって可能性はあるのか?」
「さぁな、まだなんとも言えん。取締局の連中は関与を全否定しているが――もし無法魔法使いか、もしくは別件の魔法使いが原因だったとしたら、魔力の痕跡以外にも探せる事はある」
そのままの姿勢で、二人はぼそぼそと会話を投げ合う。
魔法使いが『全て』をしでかしているのであれば、どこかにそれなりの仕掛けや魔術行使の際の物理的痕跡が残されている確率は高い。
「俺は、魔術はよく分からねぇからなぁ……、お前に見てもらうしかないわけか」
「嫌そうに言っているが、こっちとしても魔法使いまで絡んでくるとなると、いよいよ面倒臭いぞ。いちいちド素人のお前の面倒をみて説明するとか。はぁ」
「中途半端に言葉を切っての溜息はやめろ、苛々するだろ」
精神的疲労でもう眠ってしまいたい心境だ。スティーブンが、腕枕に額を擦りつけてそうぼやいた。
しばし互いに黙った後、彼の方が少しだけ腕枕を動かせる。
「屋敷の中に問題がなかったとすると、外で探すしかないって事か……」
独り言のように思案を口にした彼が、頭を伏せたまま続いてこう問い掛けた。
「そうすると、やっぱり地下屋敷もあやしくなるのか?」
「相手が魔法使いだとすると、場合によってはそうなるかもしれんな。考えようによっては、あそこは魔術を発動するのにいい条件の場所にもなる」
けれど、とメイベルは言葉を切った。
思う目をぼんやりとテーブルに向け、手でそっとグラスをつついた。その指先を意味もなく滑らせながら、つい、「同じ人間なのにな」とポツリと口の中に落とす。
思わず呟かれた様子の声を聞いて、スティーブンが顰め面を向けた。
「…………眠っている霊がいる上を、踏み荒らしているなんて事、考えたくないなぁ……」
幼さのある白い指が、水滴の落ちたグラスの水をテーブルへ伸ばす。緑の髪がかかった長いまつ毛の下で、金色の精霊の目は物想いでどこか神秘的だ。
表情から力が抜ければ、普段の意地悪そうな印象も消えて途端に少女らしさが濃くなる。
どちらの性別か分からなくなる事もどうでもよくなる、と見た者に思わせるくらい、今の恰好も違和感を覚えない端整な顔立ちだ。言葉使いの強さがなくなったとしたら、囁く声色さえ美しく耳に染みるほど。
直後、ズガンっと音がした。
メイベルは途端に、「あ?」と普段の皺を眉間に刻んだ。なんだよと眼差しを持ち上げてみると、そこには額をテーブルに打ち付けているスティーブンがいた。
「お前、何してんの?」
「…………精霊とか人外とか、もう色々と嫌になるなって」
「さすが学者。いきなりいつもの拒絶反応で私をけなすとは」
なんだそんな事かよ、とメイベルは頬杖をついてニヤリとする。
声だけでニヤニヤしているのが分かったスティーブンが、「お前な」と文句を言おうと顔を上げたところで、ふと顰め面を強めた。メイベルの左手を見て、今更のように気付いた事を口にする。
「そういや、指輪とかしてないんだな……?」
「――ああ、なるほどな、指輪か」
メイベルは相槌を打ちながら、考える風を思わせないように自分の左手に目を向けた。
元々用意の必要はない。そこについては既に、問われ場合でも全然平気だからとエインワースにも教えて、『返答内容』も用意していたのを思い返す。
「精霊は金や銀は好きだが、肌につけるとなると一部の装飾品とは相性が悪くてな。余計な魔力を吸い取られる」
これは本当だ。微力な魔力を分け与えてやれるほど、今のメイベルには余裕もない。
それに、せっかくの結婚指輪だ。本当に愛していた人との結婚指輪を、エインワースに外させたり、作り直させたりしたくなかった。
とても優しい思い出が沢山重なった、温かい結婚指輪。
メイベルは思い返して、ふっと柔らかな笑みを口許に小さく刻んだ。
エインワースが誇らしげにはめているその指輪が、とても好きだ。そして写真に映っている幸せそうに笑う少し老いた女性の手元に、同じくされている指輪の光景も気に入っていた。
「――さて。依頼を受けたのも、調査をしているのもお前だ」
話を戻すような調子で言って、メイベルはスティーブンを見た。
「この後は、どう動くつもりだ?」
そう尋ねてみると、彼が少し遅れて「ああ、その」と歯切れ悪く言いながら、不自然に目をそらした。それから、素早く考えを終えて普段の顰め面を返してくる。
「魔法が使用された痕跡を探すにも、実際に歩いて見て回るしかねぇんだったら、そうするしかないだろ。…………かなり嫌だが、めちゃくちゃ避けたいが、必要なら取締局野郎共をとっ捕まえて、勝手な事をしてねぇかも確認する」
けど、とスティーブンは疲れ切った様子でこう本音を続けた。
「ひとまずは、部屋に戻って風呂に入って寝たい」
でも戻ったとしたら、またちょっと目を離した隙にヘンテコな精霊が出るんだろうな……と彼が項垂れる。メイベルは「一人ずつゆっくり風呂に入ると決めたのはお前だろ」と言った。
その時、マクベイが美味しそうな香りの湯気が立つ料理を運んできた。
「精霊さんがお好きだというエンドウ豆を、たっぷり入れてみました!」
ぽやぽやとした笑顔でそう言った彼に、途端にメイベルは真剣な表情を向けた。
「でかしたマクベイ、お前の使っているエンドウ豆は実に素晴らしい。しかも調理方法もエンドウ豆をバッチリ引き立てていて、また食いたいと思っていたところだ」
「えへへへ、食材の選び方はお父さんに習ったので自信がありますッ」
そんな二人のやりとりを、スティーブンがテンションも緊張も半減になったという様子で見やって「……お前の言う緑豆って、一体なんなんだよ」と呟いた。
初めての『魔法』には驚いた事だろう。唐突に転移魔法に巻き込まれてしまったマクベイを思い、改めて向かい合ったタイミングで、スティーブンが幽霊騒動の調査をしている事をざっくりと打ち明けた。
「あ、だからわざわざ『教授』がいらしているんですね……」
驚いていた彼は、ようやくそう気付いたように言った。どうして飛び出してきたのかの詳細は話していないというのに、それなら大変なお仕事だろうと二人を労うと、根っからのお人よしのような笑顔でこう提案してきた。
「他に開いている店もないですし、この町のホテルまでは少し距離がありますから、よかったら少しウチで休んでいってください」
「もう店の営業は終わっているんだろう? その、少し休めるのなら有り難いが、さすがに悪いなと……」
「僕はもうしばらくする事がありますし、お客様が二名増えても大丈夫ですよ。まだ食材も少し残っていますから、お時間を頂けるのなら軽い夕食も準備出来ます」
マクベイはそう言うと、パッと明るい笑顔を浮かべた。
それぞれタイプの違う疲労感を覚えていた二人は、その提案を有り難く受ける事にして、戻る彼と一緒に店に向かった。
喫茶店『ポタ』の狭い店内は、相変わらずどこかホッとする古風な雰囲気があった。客席側とカウンターの清掃はすっかり済んでいて、新鮮な食材の下準備のいい香りがキッチンから漂ってくる。
メイベルは、ローブのフードを降ろして、スティーブンと共に先日と同じテーブル席についた。
マクベイが一旦キッチンに引っ込むなり、互いに深い溜息を吐いてテーブルに腕を伸ばして伏せる。それぞれ思う顔で、思案げな眼差しでしばしぼうっとしていると、マクベイが早速冷たい水をグラスに入れて持ってきた。
「精霊さんって、綺麗ですねぇ」
グラスを置いた彼が、横顔をテーブルに押し付けているメイベルを見て、ぽやぽした声で言う。
メイベルはちょっと疲れた様子のまま、頬にかかった緑の髪をさらりと揺らして少し顔を向けた。その向かいで、スティーブンが「ごほっ」と咽て頭を起こしていた。
「もし人間の女の子だったら、あと二年くらいでは清楚系な美少女になるかなって」
「ふうん。清楚系、ね――それはどういうイメージなんだ?」
「聖女様みたいな!」
マクベイが、間髪入れず笑顔で答えてきた。
それを聞いた途端、メイベルの指先がピクリと反応する。けれど彼女は、ぼんやりとした表情を崩さず、指先に入った力をそっと抜いて、しばしの間を置いた後、
「――私はただの精霊だよ」
そう適当な返答をすると、ぐてっとした姿勢のまま目を閉じる。
スティーブンが、絶対有り得なさそうな単語を聞いたという表情を浮かべて、身体をわなわなと震わせながら「清楚系……?」とぼやいていた。けれど、そのせいで余計に頭が疲労した、と言わんばかりにテーブルに突っ伏した。
「……容姿のどこに聖女的な部分があるのか分からん……つか、過去の『男たち』とかも想像が付かな過ぎて色々と混乱してまとまらない……、もう今は何も考えたくない…………」
思考の疲弊感マックスな声色で、口の中でぶつぶつと独り言をする。
その様子に気付いたマクベイが、スティーブンを見て小首を傾げた。ひとまずは休ませておこうと配慮したのだろう。テーブルに伏せた二人に愛想よく言った。
「しばらくはゆっくり休まれていてください。その間に、今ある材料で作れるものを用意してきますね」
そう告げたかと思うと、キッチンへと向かう。
足音が遠ざかっていき、客席があるフロアには二人だけが残された。キッチン側から物音が上がり始め、やがて食材をサクサクと切っていく軽快な音も聞こえ出してきた。
「…………今回の件、全部、魔法使いが原因だって可能性はあるのか?」
「さぁな、まだなんとも言えん。取締局の連中は関与を全否定しているが――もし無法魔法使いか、もしくは別件の魔法使いが原因だったとしたら、魔力の痕跡以外にも探せる事はある」
そのままの姿勢で、二人はぼそぼそと会話を投げ合う。
魔法使いが『全て』をしでかしているのであれば、どこかにそれなりの仕掛けや魔術行使の際の物理的痕跡が残されている確率は高い。
「俺は、魔術はよく分からねぇからなぁ……、お前に見てもらうしかないわけか」
「嫌そうに言っているが、こっちとしても魔法使いまで絡んでくるとなると、いよいよ面倒臭いぞ。いちいちド素人のお前の面倒をみて説明するとか。はぁ」
「中途半端に言葉を切っての溜息はやめろ、苛々するだろ」
精神的疲労でもう眠ってしまいたい心境だ。スティーブンが、腕枕に額を擦りつけてそうぼやいた。
しばし互いに黙った後、彼の方が少しだけ腕枕を動かせる。
「屋敷の中に問題がなかったとすると、外で探すしかないって事か……」
独り言のように思案を口にした彼が、頭を伏せたまま続いてこう問い掛けた。
「そうすると、やっぱり地下屋敷もあやしくなるのか?」
「相手が魔法使いだとすると、場合によってはそうなるかもしれんな。考えようによっては、あそこは魔術を発動するのにいい条件の場所にもなる」
けれど、とメイベルは言葉を切った。
思う目をぼんやりとテーブルに向け、手でそっとグラスをつついた。その指先を意味もなく滑らせながら、つい、「同じ人間なのにな」とポツリと口の中に落とす。
思わず呟かれた様子の声を聞いて、スティーブンが顰め面を向けた。
「…………眠っている霊がいる上を、踏み荒らしているなんて事、考えたくないなぁ……」
幼さのある白い指が、水滴の落ちたグラスの水をテーブルへ伸ばす。緑の髪がかかった長いまつ毛の下で、金色の精霊の目は物想いでどこか神秘的だ。
表情から力が抜ければ、普段の意地悪そうな印象も消えて途端に少女らしさが濃くなる。
どちらの性別か分からなくなる事もどうでもよくなる、と見た者に思わせるくらい、今の恰好も違和感を覚えない端整な顔立ちだ。言葉使いの強さがなくなったとしたら、囁く声色さえ美しく耳に染みるほど。
直後、ズガンっと音がした。
メイベルは途端に、「あ?」と普段の皺を眉間に刻んだ。なんだよと眼差しを持ち上げてみると、そこには額をテーブルに打ち付けているスティーブンがいた。
「お前、何してんの?」
「…………精霊とか人外とか、もう色々と嫌になるなって」
「さすが学者。いきなりいつもの拒絶反応で私をけなすとは」
なんだそんな事かよ、とメイベルは頬杖をついてニヤリとする。
声だけでニヤニヤしているのが分かったスティーブンが、「お前な」と文句を言おうと顔を上げたところで、ふと顰め面を強めた。メイベルの左手を見て、今更のように気付いた事を口にする。
「そういや、指輪とかしてないんだな……?」
「――ああ、なるほどな、指輪か」
メイベルは相槌を打ちながら、考える風を思わせないように自分の左手に目を向けた。
元々用意の必要はない。そこについては既に、問われ場合でも全然平気だからとエインワースにも教えて、『返答内容』も用意していたのを思い返す。
「精霊は金や銀は好きだが、肌につけるとなると一部の装飾品とは相性が悪くてな。余計な魔力を吸い取られる」
これは本当だ。微力な魔力を分け与えてやれるほど、今のメイベルには余裕もない。
それに、せっかくの結婚指輪だ。本当に愛していた人との結婚指輪を、エインワースに外させたり、作り直させたりしたくなかった。
とても優しい思い出が沢山重なった、温かい結婚指輪。
メイベルは思い返して、ふっと柔らかな笑みを口許に小さく刻んだ。
エインワースが誇らしげにはめているその指輪が、とても好きだ。そして写真に映っている幸せそうに笑う少し老いた女性の手元に、同じくされている指輪の光景も気に入っていた。
「――さて。依頼を受けたのも、調査をしているのもお前だ」
話を戻すような調子で言って、メイベルはスティーブンを見た。
「この後は、どう動くつもりだ?」
そう尋ねてみると、彼が少し遅れて「ああ、その」と歯切れ悪く言いながら、不自然に目をそらした。それから、素早く考えを終えて普段の顰め面を返してくる。
「魔法が使用された痕跡を探すにも、実際に歩いて見て回るしかねぇんだったら、そうするしかないだろ。…………かなり嫌だが、めちゃくちゃ避けたいが、必要なら取締局野郎共をとっ捕まえて、勝手な事をしてねぇかも確認する」
けど、とスティーブンは疲れ切った様子でこう本音を続けた。
「ひとまずは、部屋に戻って風呂に入って寝たい」
でも戻ったとしたら、またちょっと目を離した隙にヘンテコな精霊が出るんだろうな……と彼が項垂れる。メイベルは「一人ずつゆっくり風呂に入ると決めたのはお前だろ」と言った。
その時、マクベイが美味しそうな香りの湯気が立つ料理を運んできた。
「精霊さんがお好きだというエンドウ豆を、たっぷり入れてみました!」
ぽやぽやとした笑顔でそう言った彼に、途端にメイベルは真剣な表情を向けた。
「でかしたマクベイ、お前の使っているエンドウ豆は実に素晴らしい。しかも調理方法もエンドウ豆をバッチリ引き立てていて、また食いたいと思っていたところだ」
「えへへへ、食材の選び方はお父さんに習ったので自信がありますッ」
そんな二人のやりとりを、スティーブンがテンションも緊張も半減になったという様子で見やって「……お前の言う緑豆って、一体なんなんだよ」と呟いた。
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