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男装の少女、ユキの憂鬱な卒業試験
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セリスエレス王国は、聖獣伝説が多く残る大国の一つだ。
大陸の中で、魔法を学ぶ場として存在している魔術師学校は有名だった。多くの有名な魔術師が、この国の魔術師学校を卒業している。
珍しいことに、セリスエレス王国はすべての国民が魔力持ちだ。国民であれば希望するだけで魔術師学校に入学することができる。国民の大半は卒業しても魔術師にはならず、職業に役立てることが多かった。
他国では、魔力を持って生まれたわずかな子供を集め、師匠として魔術師を派遣する制度が成り立っている。
魔術師は必要とされている存在なのだ。
だからセリスエレス王国も、魔術師学校は各地にあった。
この国ではとくに、すべての国民が魔力を持っていることや自国民であれば身分や成績といった優遇も多く存在しているため、今では基礎教育も魔術師学校で学ぶのが一般的とされている。
魔物と戦えるくらいの才能や素質を持った逸材も多いと注目されており、とくに王都にある一番大きな国立魔術師学校だと、卒業試験には各職業の専門家たちが各国から集まり、優秀な人員を探そうと必死だ。
優秀な魔術師を多く輩出しているからといって、全員がすべて優等生というわけではない。
卒業試験のその日、順番を待つ列で、整った顔にむすっとした表情を強く浮かべている生徒が一人いる。
卒業を迎えた十八歳にしては背丈も周りの男女より低く、一見すると十五歳ほどだ。
薄い栗色の髪に、幼い印象を強める大きなアイスブルーの瞳。中性的でどこか幼い顔立ちをしている。古びたローブからは、飾り気のない男物の制服が覗いていた。
「ユキ、大丈夫?」
「――大丈夫なわけ、ない。いい見世物だよ」
列の前にいた男子生徒がこそっと声をかけると、その生徒はこれまた声変わりをしていないような幼い声で答える。
ローブで覆われた身体にはなんの凹凸もないが、これでもユキは女の子だ。
風にふわりと揺れるスカートを着た優雅な女生徒たちとは、比べ物にならないほど色気がないことは自覚している。
肉つきの悪い細い手足はまるで少年だ。
交友のないほとんどの同級生が、彼女を幼い少年だと思っている。
「ユキ・セルベク、いらっしゃい」
間もなく順番が回ってきた。
名を呼ばれ、ユキはあきらかに嫌そうな表情を浮かべる。整った顔は可愛らしいが、その素直な感情表現が彼女からいよいよ女性らしさをもぎ取る。
一部仲良くしてもらっていた同級生たちが「頑張れ」「頑張って」と励ます。
それを受けるとさすがに出ないわけには行かず、ユキは足を部隊のほうへと進める。
「……何をすればいいわけ? 魔力もろくに使えないのに」
クラスメイトたちに肩を叩かれながら、ぶつくさ言った。
入学審査には通っていたものの、成績はいつも最下位だった。あれから一年、学校側が定めている〝魔法学の基礎〟は学び続けたが、ユキは【守りの魔法】も【攻撃魔法】もろくに発動できないのだ。
どちらが得意なのか魔術師学校で分けられるが、魔術師を目指しているのに、どちらが得意なのか判明しないのは異例であると驚かれた。
※・※・※
魔術師が強く必要とされるようになったのは、今から三百年ほど前に、人間と聖獣側で大きな戦争が起こったためだとか。
それまでは精霊や聖獣の仲介役を、占師や術者と呼ばれている者たちがはたしていた。
人々の生活がまだ、精霊や聖獣と共にあった時代の話だ。
時代が移り変わり、魔術師が登場する。
それから間もなく魔法の研究も進み、精霊だけでなく聖獣までもが武器や魔法具の材料に適しているとして高値でやりとりされるようになった。
国の魔法技術の発展と武力向上のため、各国は競うように聖獣たちを狩っていくようになる。
――それが〝聖獣狩り〟の始まりだ。
聖獣狩りに反対する勢力がうまれた。それを率いたのが、後に伝説となる大魔術師ユーリッヒ・ジョナエルだ。
『聖獣の大量虐殺を続ければ、神の怒りを買うだろう』
彼は、そう言ったそうだ。聖獣たちだけでなく、神と崇められ、太古から存在する〝神格の聖獣〟により人間はいずれ罰を受ける、と――。
当時、魔術師たちは【神のつかい】【聖獣の守護者】と呼ばれていた神格の聖獣種であるドラゴンすら討ち取っていた。そのため大魔術師ユーリッヒの警告も軽くあしらい、何も恐れることはないと各国の王たちは豪語した。
聖獣の生態を研究していた学者たちが、聖獣は数百年に一度しか産まれない種さえある、絶滅してしまうと指摘したが、各国の王たちの意見は同じだった。
『絶滅しない程度に狩る。それで問題ない』
――そして、三百年前に聖獣戦争が起こった。
聖獣や精霊が完全に姿を消し、神聖な気配は地上から消え去ったと、当時の記録には記されている。
空が黒い雲に覆われた時、雷鳴とともに凄まじい魔力をもった巨大なドラゴンが現れた。ソレは大量のドラゴンを引き連れていて、人々は震え上がった。
『欲にかられて我らが同胞たちを殺した罪、許しはしない』
神格の聖獣種である巨大なドラゴンがそう告げると同時に、人間たちに対するドラゴンたちの総攻撃が始まった。
世界中で多くの人間が死んだ。
各国の魔術師や軍が協力し、初めて人類滅亡を阻止すべく力をあわせ、共にドラゴンたちに挑んだ。
明けない夜の世界で破壊が続くかと思われたが、突然、ユーリッヒが巨大なドラゴンの鼻先へと現れた。
ユーリッヒは多くの聖獣と言葉を交わし、神の言葉も使うといわれていた。彼が何語かもわからない音をうたうように発したのち、ドラゴンたちの攻撃が止まった、と――それはのちに伝説となって語り継がれている。
※・※・※
ドラゴンたちは、聖獣たちを人間世界へと戻してどこかへ消えてしまったという。
それからドラゴンは目撃されていない。ドラゴンがいなくなってしまってからというもの、一気に数を増やした魔物にも人間は対応しなければならなくなり、魔物討伐専門の魔術師も誕生していた。
今では精霊の姿を見える人間もほとんどいなくなり、精霊や聖獣たちの仲介役としても魔術師は活躍している。
そのため、魔術師は守りや医療に強い者と、攻撃魔法を得意とする者に分けられていて、どちらも必要とされているのだ。
ユキだって、自分の得意な系統が分かるのはいいかもと期待した。
だが、魔術師学校で得意分野を見つけることはできなかった。
それでもユキがこの一年、魔術師学校に通ってたのは、昨年の十七歳の時に、世話になっている大魔術師の師匠にこう言われたからだ。
『ユキ、学校は卒業しておきなさい。私はこのままでも構わないのだがね。卒業資格もないと、ユキが今後不自由をするのではないかと、私は心配なのだよ』
エルフの血が混じった彼女の師匠は、綺麗なコバルトブルーの瞳に長い白髪を持った自称六十代の男だ。
ユキは、彼の希望を叶えたいと思い入学した。
魔術師学校は、十歳から十八歳までの長期教育が一般的だ。
しかし受けたい専門がすでに絞られている場合、または特例としてすでに師匠付きの場合だと、一年から三年間で卒業資格を得るコースもある。
ユキは孤児だったため親はいない。一年だけ通わせて欲しいと師匠がわざわざ、魔術師学校側に頼んだ。
(一年、すごく長く感じたな)
ユキは重い足で舞台へと向かう。そこで待っている教師エリザが、舞台前に置かれている札を下に置くのが見えた。
これは『スカウトを望まない』という意味だ。
舞台の袖口から、試験が終わった同級生たちが心配そうな表情でユキを見守っている。
「あれが大魔術師ライファス・セルベク様の弟子だって?」
「彼の助手希望だとか。使用人の間違いじゃないのか?」
ユキは、舞台の中央に立って正面を向くと、嫌悪感に口を閉じた。
集まった大勢の魔術師たちが椅子に腰かけている。
魔術師学校はじまって以来の劣等生だという噂を知ってか、そう話しを始めた誰の顔にも、嘲笑うような表情が浮かんでいた。
「彼の助手になりたい人間なんて、五万といるのになぁ」
「確か彼の教え子に、若くして次期大魔術師候補の若い者がいると聞く。それに比べて……残念でならないな」
「おやめなさいな。大魔術師ライファス・セルベク様はお優しいのです。なんでも、旅の途中で孤児を拾ったと聞きましたわ」
「ああ、確か、凍える冬の日だったから見殺しにできず――」
――冬。白い、風景。
その時、審査員である各科目の教師たちが「静かに」と声を張り上げるのを聞いて、ユキはハッと我に返った。
見られるなんて嫌だが、とにかく、この卒業試験というイベントをクリアすればようやく魔術師学校を卒業できるのだ。
大陸の中で、魔法を学ぶ場として存在している魔術師学校は有名だった。多くの有名な魔術師が、この国の魔術師学校を卒業している。
珍しいことに、セリスエレス王国はすべての国民が魔力持ちだ。国民であれば希望するだけで魔術師学校に入学することができる。国民の大半は卒業しても魔術師にはならず、職業に役立てることが多かった。
他国では、魔力を持って生まれたわずかな子供を集め、師匠として魔術師を派遣する制度が成り立っている。
魔術師は必要とされている存在なのだ。
だからセリスエレス王国も、魔術師学校は各地にあった。
この国ではとくに、すべての国民が魔力を持っていることや自国民であれば身分や成績といった優遇も多く存在しているため、今では基礎教育も魔術師学校で学ぶのが一般的とされている。
魔物と戦えるくらいの才能や素質を持った逸材も多いと注目されており、とくに王都にある一番大きな国立魔術師学校だと、卒業試験には各職業の専門家たちが各国から集まり、優秀な人員を探そうと必死だ。
優秀な魔術師を多く輩出しているからといって、全員がすべて優等生というわけではない。
卒業試験のその日、順番を待つ列で、整った顔にむすっとした表情を強く浮かべている生徒が一人いる。
卒業を迎えた十八歳にしては背丈も周りの男女より低く、一見すると十五歳ほどだ。
薄い栗色の髪に、幼い印象を強める大きなアイスブルーの瞳。中性的でどこか幼い顔立ちをしている。古びたローブからは、飾り気のない男物の制服が覗いていた。
「ユキ、大丈夫?」
「――大丈夫なわけ、ない。いい見世物だよ」
列の前にいた男子生徒がこそっと声をかけると、その生徒はこれまた声変わりをしていないような幼い声で答える。
ローブで覆われた身体にはなんの凹凸もないが、これでもユキは女の子だ。
風にふわりと揺れるスカートを着た優雅な女生徒たちとは、比べ物にならないほど色気がないことは自覚している。
肉つきの悪い細い手足はまるで少年だ。
交友のないほとんどの同級生が、彼女を幼い少年だと思っている。
「ユキ・セルベク、いらっしゃい」
間もなく順番が回ってきた。
名を呼ばれ、ユキはあきらかに嫌そうな表情を浮かべる。整った顔は可愛らしいが、その素直な感情表現が彼女からいよいよ女性らしさをもぎ取る。
一部仲良くしてもらっていた同級生たちが「頑張れ」「頑張って」と励ます。
それを受けるとさすがに出ないわけには行かず、ユキは足を部隊のほうへと進める。
「……何をすればいいわけ? 魔力もろくに使えないのに」
クラスメイトたちに肩を叩かれながら、ぶつくさ言った。
入学審査には通っていたものの、成績はいつも最下位だった。あれから一年、学校側が定めている〝魔法学の基礎〟は学び続けたが、ユキは【守りの魔法】も【攻撃魔法】もろくに発動できないのだ。
どちらが得意なのか魔術師学校で分けられるが、魔術師を目指しているのに、どちらが得意なのか判明しないのは異例であると驚かれた。
※・※・※
魔術師が強く必要とされるようになったのは、今から三百年ほど前に、人間と聖獣側で大きな戦争が起こったためだとか。
それまでは精霊や聖獣の仲介役を、占師や術者と呼ばれている者たちがはたしていた。
人々の生活がまだ、精霊や聖獣と共にあった時代の話だ。
時代が移り変わり、魔術師が登場する。
それから間もなく魔法の研究も進み、精霊だけでなく聖獣までもが武器や魔法具の材料に適しているとして高値でやりとりされるようになった。
国の魔法技術の発展と武力向上のため、各国は競うように聖獣たちを狩っていくようになる。
――それが〝聖獣狩り〟の始まりだ。
聖獣狩りに反対する勢力がうまれた。それを率いたのが、後に伝説となる大魔術師ユーリッヒ・ジョナエルだ。
『聖獣の大量虐殺を続ければ、神の怒りを買うだろう』
彼は、そう言ったそうだ。聖獣たちだけでなく、神と崇められ、太古から存在する〝神格の聖獣〟により人間はいずれ罰を受ける、と――。
当時、魔術師たちは【神のつかい】【聖獣の守護者】と呼ばれていた神格の聖獣種であるドラゴンすら討ち取っていた。そのため大魔術師ユーリッヒの警告も軽くあしらい、何も恐れることはないと各国の王たちは豪語した。
聖獣の生態を研究していた学者たちが、聖獣は数百年に一度しか産まれない種さえある、絶滅してしまうと指摘したが、各国の王たちの意見は同じだった。
『絶滅しない程度に狩る。それで問題ない』
――そして、三百年前に聖獣戦争が起こった。
聖獣や精霊が完全に姿を消し、神聖な気配は地上から消え去ったと、当時の記録には記されている。
空が黒い雲に覆われた時、雷鳴とともに凄まじい魔力をもった巨大なドラゴンが現れた。ソレは大量のドラゴンを引き連れていて、人々は震え上がった。
『欲にかられて我らが同胞たちを殺した罪、許しはしない』
神格の聖獣種である巨大なドラゴンがそう告げると同時に、人間たちに対するドラゴンたちの総攻撃が始まった。
世界中で多くの人間が死んだ。
各国の魔術師や軍が協力し、初めて人類滅亡を阻止すべく力をあわせ、共にドラゴンたちに挑んだ。
明けない夜の世界で破壊が続くかと思われたが、突然、ユーリッヒが巨大なドラゴンの鼻先へと現れた。
ユーリッヒは多くの聖獣と言葉を交わし、神の言葉も使うといわれていた。彼が何語かもわからない音をうたうように発したのち、ドラゴンたちの攻撃が止まった、と――それはのちに伝説となって語り継がれている。
※・※・※
ドラゴンたちは、聖獣たちを人間世界へと戻してどこかへ消えてしまったという。
それからドラゴンは目撃されていない。ドラゴンがいなくなってしまってからというもの、一気に数を増やした魔物にも人間は対応しなければならなくなり、魔物討伐専門の魔術師も誕生していた。
今では精霊の姿を見える人間もほとんどいなくなり、精霊や聖獣たちの仲介役としても魔術師は活躍している。
そのため、魔術師は守りや医療に強い者と、攻撃魔法を得意とする者に分けられていて、どちらも必要とされているのだ。
ユキだって、自分の得意な系統が分かるのはいいかもと期待した。
だが、魔術師学校で得意分野を見つけることはできなかった。
それでもユキがこの一年、魔術師学校に通ってたのは、昨年の十七歳の時に、世話になっている大魔術師の師匠にこう言われたからだ。
『ユキ、学校は卒業しておきなさい。私はこのままでも構わないのだがね。卒業資格もないと、ユキが今後不自由をするのではないかと、私は心配なのだよ』
エルフの血が混じった彼女の師匠は、綺麗なコバルトブルーの瞳に長い白髪を持った自称六十代の男だ。
ユキは、彼の希望を叶えたいと思い入学した。
魔術師学校は、十歳から十八歳までの長期教育が一般的だ。
しかし受けたい専門がすでに絞られている場合、または特例としてすでに師匠付きの場合だと、一年から三年間で卒業資格を得るコースもある。
ユキは孤児だったため親はいない。一年だけ通わせて欲しいと師匠がわざわざ、魔術師学校側に頼んだ。
(一年、すごく長く感じたな)
ユキは重い足で舞台へと向かう。そこで待っている教師エリザが、舞台前に置かれている札を下に置くのが見えた。
これは『スカウトを望まない』という意味だ。
舞台の袖口から、試験が終わった同級生たちが心配そうな表情でユキを見守っている。
「あれが大魔術師ライファス・セルベク様の弟子だって?」
「彼の助手希望だとか。使用人の間違いじゃないのか?」
ユキは、舞台の中央に立って正面を向くと、嫌悪感に口を閉じた。
集まった大勢の魔術師たちが椅子に腰かけている。
魔術師学校はじまって以来の劣等生だという噂を知ってか、そう話しを始めた誰の顔にも、嘲笑うような表情が浮かんでいた。
「彼の助手になりたい人間なんて、五万といるのになぁ」
「確か彼の教え子に、若くして次期大魔術師候補の若い者がいると聞く。それに比べて……残念でならないな」
「おやめなさいな。大魔術師ライファス・セルベク様はお優しいのです。なんでも、旅の途中で孤児を拾ったと聞きましたわ」
「ああ、確か、凍える冬の日だったから見殺しにできず――」
――冬。白い、風景。
その時、審査員である各科目の教師たちが「静かに」と声を張り上げるのを聞いて、ユキはハッと我に返った。
見られるなんて嫌だが、とにかく、この卒業試験というイベントをクリアすればようやく魔術師学校を卒業できるのだ。
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