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六章(9)急展開した事件と、二人の『聖女』
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今回の事件は、レイニア・バクーイル男爵令嬢が七人の男をたぶらかし政務にも悪影響を与えただけにとどまらなかった。
魅了系の魔法による人々の操作と、反乱。
神殿の大騒ぎは国王が直々に腰を上げることとなった。
その結果、貴族たちに『反乱などと大袈裟な』と抗議していたバクーイル男爵家も、態度を一転。娘と共犯したことの疑いを退けるため捜査に全面協力し、自分たちに害が及ぶのを警戒して結果が出るまで沈黙を表明した。
大神殿も、今回大勢の者が目撃し損害も出た聖女事件については、自分たちが認めた聖女が起こしたことを認めて公表した。
聖女の暴走について、国の平和のため尽力してくれた第一王子、第二王子に感謝を表明。そうして発覚したその日、速やかに国王と協共し騒ぎ収束と対処へ乗り出した。
大神殿で気絶しているところを捉えられたレイニア・バクーイル男爵令嬢は、拘束され、速やかに王宮の地下へと投獄された。
その際、まるで反省の色がないと、連行した軍人たちだけでなく彼女の身柄を王宮で引き受けた警備兵の評価も最悪だった。
「私が主人公なのよ! 私が聖女なの! ゲームのリセットさせてよ! ハーレムエンドエンド目指したのにこんなの全然私の世界に相応しくない!」
聖女の魔法が使えないよう大神殿側が封印具の手錠をかけられた彼女は、牢に入れられたあとも叫んでいたようだ。
先に王宮へ緊急搬送されたシルフィアは、それを王宮医師団の診察を受けたのち、地下牢へと続く階段の手前で待っていたところ、最後に上がってきたアードリューとアルベリオから知った。
リセットも、やり直しもできない。それが現実だ。
この世界で十八年を過ごした彼女が、自分の両親をただのゲームのキャラだと見続けていたことも、シルフィアは悲しく思った。
「彼女の今後についてはミュゼスター公が引き継ぐ。どうなるかは我々も分からん」
「そう、ですか……」
するとつき合ってそばにいたクラウスが、呆れたように腕を組む。
「シルフィア、君は死にかけたんだぞ。優しすぎるところはいつか君を傷つけるんじゃなかいと、俺は心配でならないよ」
「そうならないよう、夫の君が守っていればいいじゃないか」
ぽん、と肩に手を置かれたクラウスが飛び上がった。
直前まで気配がなかった。驚いて目を向けてみると、そこにいたのは「やっ」と笑顔で片手を上げているミュゼスター公だっ。
「まぁ、ミュゼスター公様。お会いできないほど忙しいとうかがいましたが……」
「後輩の可愛い娘だからね。私が無事の顔を見なくてどうする」
そう答えたバミュロの周囲で、アードリュー、アルベリオ、クラウスも揃って遠くの音を拾う素振りをした。
シルフィアも耳を澄ませてみた。すると、
「閣下、勘弁してください!」
「陛下を待たせるおつもりですか!?」
――半泣きで探し回っているらしい男たちの声を聞いた。
「戻られた方がよろしいかと思います」
シルフィアは小さな溜息を一つもらし、父の友人に遠慮がちに告げた。
「皆様、ミュゼスター公様を必要とされていますから」
「まぁ私は優秀だからね。とはいえ君を心配したのは本当だよ。ドレスの破れが痛々しい、傷は?」
「あっ、傷はないと診察をきちんと受けました。完全完治には驚かれましたけれど……」
「それはそうだ。完全に治す魔法は存在していない」
「えぇと、ですから破れているのは外側だけです。中は替えをいただきました」
「王妃の従姉妹殿のものを素直に受け取ればよかったのに。まっ、君なら遠慮すると思って、リーシェにドレスを持ってくるよう指示してある。危険を犯したことを、君のメイドに好きなだけ叱られるといいよ」
ミュゼスター公がウインクした。クラウスが頭を下げる。
「ありがとうございます」
「君らは大活躍だった。それくらいのことは私がする」
彼は二人の王子にも別れを続けて歩きだした。だが「ああそうそう」と言い、ミュゼスター公が肩越しに顔を向けてきた。
「地下牢の聖女は、死罪にはならないから安心して」
「どうするつもりだ? 彼女は危険だ」
そう告げたアルベリオの肩を、アードリューが掴んで引き留め、やんわりと首を振る。
すでに話し合われていたことはシルフィアたちにも伝わってきた。
「彼女は役目を果たしたのは確かだ。私としては彼女の『純潔だから聖女の力が使える』という主張が正しいのなら、獄中で活用できる方法はあるはずだろう?」
ミュゼスター公は笑顔で酷なことをさらりと言った。
それが、レイニアの罰。そうやって償わなければならない。
去っていくミュゼスター公の背中に、いつか彼女が大切なことを理解できる日が来ますようにと、シルフィアは心から祈った。
「シルフィア嬢には、心から感謝を」
突然アードリューがそう告げたかと思うと、アルベリオに頭を下げられる。
「いえっ、どうか頭を上げてくださいっ」
「いいや、兄上の言った通りだ。そもそもあなたこそが、我が国の正しき聖女だった」
次期国王であるアルベリオの言葉には重みがあり、シルフィアは言葉が詰まった。
今回の件で、シルフィアも【聖女】であると証明されてしまった。
国を覆った結界は、魔法が使える者には視認できるほどに強力で強固なものだった。
それは【神樹】が現れるよりも前にこの国でされていた【聖女の結界】なのだと、大神殿は記録をシルフィアに伝えた。
強い浄化作用を持ち、国内に侵入していた魔物の消滅情報もどんどん王宮に届いている。大神殿側は『言い伝えが正しいのであればシルフィアが生存している間は、この結界が魔物から国を守り続けてくれるだろう』と述べた。
「あの、このことは……」
シルフィアの胸が、どくどくと不安定な鼓動を打つ。それが気になって彼女は医師とクラウスの反対を押し切って、診察後の足でここへ来て王子たちを待っていたのだ。
「もちろん、あなたが望む通り公言はしない。私は約束は守るよ」
アードリューが微笑む。アルベリオも苦笑顔で頷くのを見て、シルフィアは緊張がゆるやかに解けていった。
「兄上からもあなたの気持ちは聞いている。君は、君の人生を歩んでいい」
「ありがとうございます」
シルフィアは、無意識に手で隣を探っていた。気づいたクラウスが、すぐに握り返してくれる。それを見てアードリューが屈託なく笑った。
「君たちはとても素敵な夫婦になりそうだ。聖女が望むことを、と大神殿側だけでなく国王もそう判断を下された。聖女が快く過ごされれば結界も安定し続ける――白騎士クラウス・エンゼルロイズ、そして婚約者のシルフィア・マルゼル嬢、こたびは助成に改めて感謝する。結婚式は我々も最大の協力をしよう。――幸せにな」
「はい」
二人の微笑みを嬉しく受け止めて、シルフィアはクラウスと共に一礼を取った。
「まだまだ忙しくなりそうだな」
アードリューとアルベリオが、兄弟の会話をしながら反対へと進んでいく。
それをクラウスと共に見送っていたシルフィアは、握っている彼の手に、きゅっと握られて心臓がきゅんっとはねた。
(彼がいつしかしてくれた〝合図〟だわ)
シルフィアはたったそれだけできゅんきゅんしてしまって、もどきどきしながら彼の手を強く握り返した。
「行こう」
クラウスが足早に移動する。
いくつか目の通路に出る。そこに歩いていた騎士を呼び留め、彼はリーシェが到着したら通される部屋を確認した。
「ミュゼスター公から君の班まで話はいっているか」
「もちろんです。陛下からも、王族区の貴賓室を使わせよご指示が」
「そうか」
場所を知っているようで、クラウスが彼に礼を告げて速やかに向かう。シルフィアは引く手の強さにどきどきしていた。
会話する余裕もないまま王宮を進んでいく。
すれちがう騎士や貴族、使用人たちが顔見知りのように軽く挨拶してきた。
それにクラウスと共に会釈で応えながら、シルフィアも、もどかい気持ちで彼の急ぎ足につき合った。
間もなく、目的の場所であるらしい貴賓室に到着する。
立っていた警備兵が、クラウスの指示を受けリーシェの到着を待つと言って、王宮の裏門へと向かった。
入室した途端、クラウスが引き寄せてシルフィアの唇を奪った。
「あっ、待って……ン……そういえばリーシェは……」
「彼女なら気を利かせて待っていてくれるさ」
言いながら彼は、シルフィアを正面から持ち上げて部屋を移動していく。
「んん……はっ、あん……ん……」
リーシェが到着したら、聞かれてしまうかもしれない。
そう理解しているのにシルフィアも彼との不埒なキスを止められなかった。よやく感じられた熱。身体が火照ってどうにかなりそうだ。
彼が欲しい気持ちが勝り、彼女は歩く彼のキスに応えながら両足を回してしがみつく。
「はぁっ――君も、随分いやらしい身体になったみたいだ」
「あん」
どさりとベッドに落とされた。期待に身体の奥がきゅんきゅんする。
魅了系の魔法による人々の操作と、反乱。
神殿の大騒ぎは国王が直々に腰を上げることとなった。
その結果、貴族たちに『反乱などと大袈裟な』と抗議していたバクーイル男爵家も、態度を一転。娘と共犯したことの疑いを退けるため捜査に全面協力し、自分たちに害が及ぶのを警戒して結果が出るまで沈黙を表明した。
大神殿も、今回大勢の者が目撃し損害も出た聖女事件については、自分たちが認めた聖女が起こしたことを認めて公表した。
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大神殿で気絶しているところを捉えられたレイニア・バクーイル男爵令嬢は、拘束され、速やかに王宮の地下へと投獄された。
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聖女の魔法が使えないよう大神殿側が封印具の手錠をかけられた彼女は、牢に入れられたあとも叫んでいたようだ。
先に王宮へ緊急搬送されたシルフィアは、それを王宮医師団の診察を受けたのち、地下牢へと続く階段の手前で待っていたところ、最後に上がってきたアードリューとアルベリオから知った。
リセットも、やり直しもできない。それが現実だ。
この世界で十八年を過ごした彼女が、自分の両親をただのゲームのキャラだと見続けていたことも、シルフィアは悲しく思った。
「彼女の今後についてはミュゼスター公が引き継ぐ。どうなるかは我々も分からん」
「そう、ですか……」
するとつき合ってそばにいたクラウスが、呆れたように腕を組む。
「シルフィア、君は死にかけたんだぞ。優しすぎるところはいつか君を傷つけるんじゃなかいと、俺は心配でならないよ」
「そうならないよう、夫の君が守っていればいいじゃないか」
ぽん、と肩に手を置かれたクラウスが飛び上がった。
直前まで気配がなかった。驚いて目を向けてみると、そこにいたのは「やっ」と笑顔で片手を上げているミュゼスター公だっ。
「まぁ、ミュゼスター公様。お会いできないほど忙しいとうかがいましたが……」
「後輩の可愛い娘だからね。私が無事の顔を見なくてどうする」
そう答えたバミュロの周囲で、アードリュー、アルベリオ、クラウスも揃って遠くの音を拾う素振りをした。
シルフィアも耳を澄ませてみた。すると、
「閣下、勘弁してください!」
「陛下を待たせるおつもりですか!?」
――半泣きで探し回っているらしい男たちの声を聞いた。
「戻られた方がよろしいかと思います」
シルフィアは小さな溜息を一つもらし、父の友人に遠慮がちに告げた。
「皆様、ミュゼスター公様を必要とされていますから」
「まぁ私は優秀だからね。とはいえ君を心配したのは本当だよ。ドレスの破れが痛々しい、傷は?」
「あっ、傷はないと診察をきちんと受けました。完全完治には驚かれましたけれど……」
「それはそうだ。完全に治す魔法は存在していない」
「えぇと、ですから破れているのは外側だけです。中は替えをいただきました」
「王妃の従姉妹殿のものを素直に受け取ればよかったのに。まっ、君なら遠慮すると思って、リーシェにドレスを持ってくるよう指示してある。危険を犯したことを、君のメイドに好きなだけ叱られるといいよ」
ミュゼスター公がウインクした。クラウスが頭を下げる。
「ありがとうございます」
「君らは大活躍だった。それくらいのことは私がする」
彼は二人の王子にも別れを続けて歩きだした。だが「ああそうそう」と言い、ミュゼスター公が肩越しに顔を向けてきた。
「地下牢の聖女は、死罪にはならないから安心して」
「どうするつもりだ? 彼女は危険だ」
そう告げたアルベリオの肩を、アードリューが掴んで引き留め、やんわりと首を振る。
すでに話し合われていたことはシルフィアたちにも伝わってきた。
「彼女は役目を果たしたのは確かだ。私としては彼女の『純潔だから聖女の力が使える』という主張が正しいのなら、獄中で活用できる方法はあるはずだろう?」
ミュゼスター公は笑顔で酷なことをさらりと言った。
それが、レイニアの罰。そうやって償わなければならない。
去っていくミュゼスター公の背中に、いつか彼女が大切なことを理解できる日が来ますようにと、シルフィアは心から祈った。
「シルフィア嬢には、心から感謝を」
突然アードリューがそう告げたかと思うと、アルベリオに頭を下げられる。
「いえっ、どうか頭を上げてくださいっ」
「いいや、兄上の言った通りだ。そもそもあなたこそが、我が国の正しき聖女だった」
次期国王であるアルベリオの言葉には重みがあり、シルフィアは言葉が詰まった。
今回の件で、シルフィアも【聖女】であると証明されてしまった。
国を覆った結界は、魔法が使える者には視認できるほどに強力で強固なものだった。
それは【神樹】が現れるよりも前にこの国でされていた【聖女の結界】なのだと、大神殿は記録をシルフィアに伝えた。
強い浄化作用を持ち、国内に侵入していた魔物の消滅情報もどんどん王宮に届いている。大神殿側は『言い伝えが正しいのであればシルフィアが生存している間は、この結界が魔物から国を守り続けてくれるだろう』と述べた。
「あの、このことは……」
シルフィアの胸が、どくどくと不安定な鼓動を打つ。それが気になって彼女は医師とクラウスの反対を押し切って、診察後の足でここへ来て王子たちを待っていたのだ。
「もちろん、あなたが望む通り公言はしない。私は約束は守るよ」
アードリューが微笑む。アルベリオも苦笑顔で頷くのを見て、シルフィアは緊張がゆるやかに解けていった。
「兄上からもあなたの気持ちは聞いている。君は、君の人生を歩んでいい」
「ありがとうございます」
シルフィアは、無意識に手で隣を探っていた。気づいたクラウスが、すぐに握り返してくれる。それを見てアードリューが屈託なく笑った。
「君たちはとても素敵な夫婦になりそうだ。聖女が望むことを、と大神殿側だけでなく国王もそう判断を下された。聖女が快く過ごされれば結界も安定し続ける――白騎士クラウス・エンゼルロイズ、そして婚約者のシルフィア・マルゼル嬢、こたびは助成に改めて感謝する。結婚式は我々も最大の協力をしよう。――幸せにな」
「はい」
二人の微笑みを嬉しく受け止めて、シルフィアはクラウスと共に一礼を取った。
「まだまだ忙しくなりそうだな」
アードリューとアルベリオが、兄弟の会話をしながら反対へと進んでいく。
それをクラウスと共に見送っていたシルフィアは、握っている彼の手に、きゅっと握られて心臓がきゅんっとはねた。
(彼がいつしかしてくれた〝合図〟だわ)
シルフィアはたったそれだけできゅんきゅんしてしまって、もどきどきしながら彼の手を強く握り返した。
「行こう」
クラウスが足早に移動する。
いくつか目の通路に出る。そこに歩いていた騎士を呼び留め、彼はリーシェが到着したら通される部屋を確認した。
「ミュゼスター公から君の班まで話はいっているか」
「もちろんです。陛下からも、王族区の貴賓室を使わせよご指示が」
「そうか」
場所を知っているようで、クラウスが彼に礼を告げて速やかに向かう。シルフィアは引く手の強さにどきどきしていた。
会話する余裕もないまま王宮を進んでいく。
すれちがう騎士や貴族、使用人たちが顔見知りのように軽く挨拶してきた。
それにクラウスと共に会釈で応えながら、シルフィアも、もどかい気持ちで彼の急ぎ足につき合った。
間もなく、目的の場所であるらしい貴賓室に到着する。
立っていた警備兵が、クラウスの指示を受けリーシェの到着を待つと言って、王宮の裏門へと向かった。
入室した途端、クラウスが引き寄せてシルフィアの唇を奪った。
「あっ、待って……ン……そういえばリーシェは……」
「彼女なら気を利かせて待っていてくれるさ」
言いながら彼は、シルフィアを正面から持ち上げて部屋を移動していく。
「んん……はっ、あん……ん……」
リーシェが到着したら、聞かれてしまうかもしれない。
そう理解しているのにシルフィアも彼との不埒なキスを止められなかった。よやく感じられた熱。身体が火照ってどうにかなりそうだ。
彼が欲しい気持ちが勝り、彼女は歩く彼のキスに応えながら両足を回してしがみつく。
「はぁっ――君も、随分いやらしい身体になったみたいだ」
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