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五章(4)モブに転生した令嬢は、真実と愛を見つける

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 まだ残っている服も、あっという間に脱がされているなんて気づかなかった。

 それだけ緊張がなかった。彼の体温に溺れていくみたいにシルフィアは、クラウスが与える『気持ちいい』に頭が占領された。

「腰が揺れて――もう、欲しい?」

 そっと唇が少し離れると同時に、ちゅくりと触れてきた手にびくんっと腰がはねた。

 ハッと見てみると、彼の手が脚の間にぴたりと添えられていた。シルフィアは自分が裸体であるのに気づく。

「あっ、あ……私……」

 上下に撫でていく彼の指が、ぬるぬるとした感触を伝えてくる。

「ご、ごめんなさい」
「どうして謝る?」
「はしたないかな、て……ン……」
「ちゃんと感じてくれたようで俺は嬉しいよ。もっと、よくなって」

 すまない、俺も少し余裕がない、そんな囁きがのしかかる彼から聞こえると共に、指が、もっと深いところへ差し込まれる。

 それは柔らかくなった花弁をかきわけ、入り口の浅い部分をじっくりとなぞった。

「……あっ……はぁ、ン……気持ちいい……」

 もどかしいような優しい触れ方に、中がいやらしくうねる。

 甘い心地にシルフィアが悩ましい声をもらして彼に腕を回すと、クラウスの指は狭い隘路を広げながら胎内へと進む。

 と同時に、彼がちゅっちゅっとキスの音をわざと響かせながら肌に口づける。

「君は、同時に触れられるのも好きだったな」
「あっ!?」

 乳房を包み込まれ、先端を弄られた途端に腹部の奥に感じていた官能の疼きが強まった。

「ああっ、あっ、あぁだめ、やぁっんっ」

 感じるほどに彼の指は動きが激しくなった。全身が揺れ、彼にそうさせられているのか自分の腰が揺れているのか判断がつかない。

「上手だよシルフィア、出し入れだけで今回はイけそうだね」
「やあっ、強くはだめ、あっ、あ、奥まで響いて……っ」
「奥?」

 呟いた彼が、ふと嬉しそうな顔をした。あまりの美しい微笑みに、シルフィアは一瞬見とれた。

 だが、不意に指が奥を押し上げて彼女は甘い悲鳴を上げた。

 それは今まで切なく疼くだけだった中で起こった、強烈な快感だった。

「んんっ、あぁっ、だめっ、おかしく、なる……っ」

 思わず視線を下げてみると、自分の腰ががくがく震えながら浮いている。クラウスが太腿の内側を掴んで、ずちゅずちゅと指を出し入れしている光景があった。

「奥に響く?」
「ひ、響くのっ、だからぁっ、あんっ、ン、だめ」
「だめじゃないよ、気持ちいいんだろう? その感覚に集中して。外からも手伝ってあげる」

 あろうことかクラウスが花芯も撫でる。

「ああぁっ、ああっ、気持ちいいっ、やぁっ」

 足の指に力が入って、シルフィアはますます腰が浮いた。外側からクラウスに刺激されると気持ちさが頭のてっぺんまで突き抜ける。

 自ら差し出しているみたいで恥ずかしくなる。でも、止まれない。

「ああいいっ、イく、イくのっ、もう――ああぁあぁ!」

 全身が愉悦の熱を帯びて粟立つ。シルフィアは背を丸め、腰を彼の手に突き出すようにして達した。

 蜜口がきゅっと彼の指に吸いつくのを感じた。

 果てたのに、まだ中が快感でじんじんと熱をもって『気持ちいい』が続いている。中が、何かを締めつけたいとずっとうねっている。

 むしろ、彼の指にまた動いて欲しいようなもどかしさがあった。

「はぁっ、はあ……ごめ、んなさ……中が、切ないの……」

 シルフィアは浮かした腰をたまらず揺らした。『動いて』と彼に伝えるみたいに、自分から出し入れをさせる。

「君はっ」

 何やら小さく叱られた気がする。

「はぁっン」

 ずるりと彼の指が抜けていった。切なくなって目で追いかけたシルフィアは、強く見据えるクラウスの目と合って心臓がばっくんとはねた。

 彼の目は、欲情にぎらぎらと光っていた。

「あ、クラウス……」
「すまない、限界だ。君が欲しい」

 彼がズボンを荒々しく下ろした。腰を沈められたシルフィアは、指とは違う熱が密口にあたるのを感じた。

 とうとう、するのだ。彼がどくどくと脈打つそれに愛液を絡める。

 シルフィアは緊張を覚えた直後、力を抜いて彼のたくましい背に手を添えていた。

「私は大丈夫だから……きて」

 前世でも経験がなかったのに、クラウスのものなら受け入れてみたいという思いが彼女の怖さも緊張も押しのける。

 クラウスの目が泣きそうな、それでいて嬉しそうに細められる。

「ありがとうシルフィア、――挿れるよ」

 彼が慎重に進めた。ぬちゅりと熱が秘裂を割り開き、熱い胎内へと入ってくる。

「……あっ、あ……っ」

 あまりにも大きすぎて息がうまくできない。

 シルフィアは背をのけぞらせて震えた。入るのか、途端に心配になった。

「大丈夫、大丈夫だから」

 次第に身体を傾けてくるクラウスが、強張った彼女の身体にキスの雨を降らせる。

 その言葉が、魔法みたいに身体にしみ込んできた。汗ばんだ肌に吸いつく唇の一つずつに、好きだ、という言葉を覚える。

(止まれないと言ったくせに、とてもゆっくりだわ――)

 シルフィアは彼の大きな愛に涙が出そうになった。愛おしさが胸で弾けて、彼の頭をぎゅっと抱きしめた。

「大丈夫ですから、このまま、挿れて」

 彼を感じたい、彼が欲しいとシルフィアは思った。

「シルフィアっ」

 彼が左右からシルフィアの腰を強く掴んだ。そして――ずぐんっと衝撃がきて、熱い固まりが一気に貫いてきた。

「……ああぁ、あ……!」

 狭い隘路を力づくて広げて最奥に収まる熱。

 内臓が押し上げられるような圧迫感に、呼吸の仕方をしばし忘れた。

「ああ挿ったよシルフィア。君の鼓動を感じる」

 シルフィアもだった。自分の中で、彼が生きている鼓動を伝えてくる。

(彼と、一つになれた)

 痛みに目がちかちかしたのも少しの間だけだった。間もなく襲いかかってきたのは、強い感動だ。

「好き」

 自然と伸びた手を、彼が受け止めて自分の頬へと導いてくれる。

「クラウス、好きです」
「言葉にしてくれえて嬉しいよ。俺も、君が好きだ」

 彼がシルフィアの手へと顔を向け、何度も吸いつく。
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