141 / 159
21章 戦士と科学者~私が愛した世界~(3)
しおりを挟む
半狂乱の男が、見境なく乱射する銃の弾がようやく切れた後、父が彼にとびかかって、二人の激しい殴り合いが始まった。多くの警官が二人を引き離して取り押さえると、暴漢が意味のわからない奇声を上げて、父が「私は医者だぞ! 医者だ! 離さんか!」と叱咤した。
事情の分からぬ第三者にとって、こちらの言葉も理解しない半狂乱の男に比べると、激昂してもりせいる物言いをする父は、まともに見えたのだろう。一瞬、誰の注意からも父の姿が外れてしまう。
それが、続く悲劇の引き金だった。
父が、使い慣れたメスで母の喉笛を切り裂いたのは、その直後の事だ。あまりにも慣れた手捌きは、ほんとに一瞬の出来事で、私は何が起こったのか状況を飲み込む事が出来ず、他の人間達と同じように、呆けた顔で見ていた。
噴き出す真っ赤な血飛沫が、母の後ろにいた私の顔面と服に降り注いだ。母は壊れた人形のように崩れ落ち、人々の悲鳴と怒号が飛び交った。取り押さえろ、と誰かがそう叫ぶ声が聞こえた。
すぐそばにいた私を、父が見降ろして――嗤った。
ああ、私も母と同じ運命を辿るのだろうなと思ったが、父はそうしなかった。
「俺はな、俺の血が流れていないお前なんて好きじゃなかった。お前など、連れて逝く価値もないわ」
父は私に呪いの言葉を吐いた後、メスで己の首を切り裂いた。そうか、私には殴られる価値すらもなかったのかと、私が悟った瞬間でもあった。
父の手で母が殺され、父が自害した。
ひどいその事件は、二つの死体が出来上がっただけでは終わらなかった。警官の隙をついて母の男が逃げ出し、複数の警官が慌てて男を追い駆けたが、彼はトラックの前に飛び出して自殺したのだ。
事件は次第に忘れられていったが、私の身には常に噂がまとわりついた。
私の家についての評価や、当時の血生臭い事件が、人の口を渡るたびに歪められ、根も葉もないようやく噂も執拗に繰り返された。詳細を知らない人間も、私を謙遜するようになっていった。
親のいない子共というだけで、私を白い目で見る人間も少なくはなかったが、エリスは、いつも真っ直ぐ私の目を見た。成績では私に次いで二番で、賢く知的な娘だった。彼女はあの頃から既に美しく聡明で、誰よりも優しい目をしていた。
私は人と関わる事が苦手で、あの頃は、特に口下手だった。教室にも馴染めず、関わりを持った女の子を泣かせてしまった一件が、私をより一層人間嫌いにさせていた。集団で過ごさなければならない時間は、私にとって苦痛だった。
いつも人に囲まれていたエリスと、初めて関わる事になったのは、私の眼の前で泣いてしまった女の子が、彼女の友人だった事がきっかけだった。
「あなたは、とても不器用な人ね。不器用で優しくて、頭のいい人だわ」
一人教室に残った私に、エリスがそう言った。
「あの子の素直なところが利用されると思って、あんな事を言ったのね。でも大丈夫よ。あの子、見る目だけは確かなの。私の友人は、ひどい男に簡単について行ってしまうほど、弱い女の子じゃないのよ」
あの時代は、自分よりも賢い女を嫌う男も多く、彼女の才能を嫌う男もいた。けれど、彼女はまるで相手にもしていなかった。彼女は、強さを秘めた女性でもあったのだ。
「努力と実力の世界でしょ」
彼女は朗らかに笑って見せた。彼女の、そういった強い所に私は憧れた。
人を遠ざけるばかりが強さではないのだと、彼女と過ごす事で見えて来たが、誰かに優しくしてあげる事は、とても勇気がいる。私は、彼女のように素直に微笑むなんて、とてもじゃないが真似する事は出来ないだろうとも分かっていたのだ。
エリスは顔を会わせれば私に話しかけ、都合があれば二人で勉強もするようになった。同じハイスクールに進んでからは、もはや友人同士と口にするのも慣れ親しんだ。
希望する分野は同じだったが、専門内容は少し違っていた。私達は共に、研究職に就くくことを目指して難関大学を志望し、数年後に希望通り入学の切符を手に入れた。私は当然の結果だと思ったが、彼女は、支えてくれた皆のおかげだと微笑みながら泣いていた。多くの同級生が、同じように涙して彼女を見送った。
大学では、素晴らしい環境で勉学を進める事が出来た。彼女を軽蔑するような学生もほとんどおらず、彼女の努力と才能を尊敬し、一緒に切磋琢磨する姿は、私の眼にも美しく感じた。
一部の授業が彼女とは重なっており、私達は相変わらず、良き友人として共に時を過ごした。エリスは、すっかり美しい女性へと成長を遂げていた。彼女に恋心を抱く男は何人もいたが、どうやら報われなかったようだ。
私は、その話を同じ寮生から聞かされたのだが、私の反応が予想以上につまらなかったのか、語った彼は不満そうだった。
「お前、彼女と仲が良いだろう。やきもきしねぇの? 本当は彼女の事が好きなんだろ?」
「残念ながら、異性間の『愛』であると言いたいのであれば、それは不正解だ」
友人として、私は彼女以上の共はいないだろうと思っていた。この気持ちが友愛異常なのかは知らないが、彼女には、誰よりも幸せになって欲しかった。私では役者不足であり、私は誰よりも、彼女の力になれる友人でありたかった。
私が彼に会ったのは、大学院へ進んだ頃だ。若くて有名で、元は解剖を専門としていた学者、ショーン・ウエスター。――エリスが彼の研究生となってから、私もその男の事をよく知るようになった。
ショーン・ウエスターは、虫も殺せない牧師か小児科の先生、はたまた文学者のような、敵意も殺意も競争心も持たない瞳をした男だった。東洋寄りの顔立ちでかなり若作りであり、外見からは正確な歳を把握するのは難しい。
一部の研究生が噂していたのは、彼が、本当は軍の人間だとかいう七不思議のような嘲笑話だった。その名前も本名か知れたものじゃない、と彼を尊敬しない先輩もそう噂していた。大学院内で、親も親戚もないショーン・ウエスターについて、プライベートな話を知る者はいなかった。
ショーン・ウエスターが受け持つ授業は少しだけで、どこにいっても眠りこけている姿が目についた。性格が元々のんびりしているのか、たまに見掛けるのも食堂か庭先か、小動物が管理されている施設で兎をつついている等、呑気なものだった。
エリスが初めて、彼を私に紹介してくれた時、これまでの恩師や同級生、友人を紹介する時と違った雰囲気に私は気付いた。一段と美しくなった彼女の笑顔が眩しくて、私は、ああ、そうか。彼女はショーン・ウエスターの事が、一人の男として気になっているのかと分かってしまった。
ちょっとした嫉妬心もあったのだろう。
これまで他者に感心もなかった私は、ショーン・ウエスターの事を気にするようになった。以前の私が毛嫌いしていたような噂話も耳に入って来たし、姿を見掛けると、つい目で追うようにもなった。ショーン・ウエスターの後ろを追いかけるエリスの姿も、当然のように私の目に入った。
ショーン・ウエスターは、長い足で構内を闊歩する。彼は後ろを追って来る彼女に暫く気付かず、彼女に袖を掴まれてようやく、気付いて振り返る。いつも、そんな光景が目に止まった。
私なら、すぐに彼女に気付いてやれるだろう。そんな風に彼女を待たせたりしないし、彼女が望むのなら、彼女の知らない場所へは断りもなく居なくなったりせず、心配を掛けたりもしないだろう。
事情の分からぬ第三者にとって、こちらの言葉も理解しない半狂乱の男に比べると、激昂してもりせいる物言いをする父は、まともに見えたのだろう。一瞬、誰の注意からも父の姿が外れてしまう。
それが、続く悲劇の引き金だった。
父が、使い慣れたメスで母の喉笛を切り裂いたのは、その直後の事だ。あまりにも慣れた手捌きは、ほんとに一瞬の出来事で、私は何が起こったのか状況を飲み込む事が出来ず、他の人間達と同じように、呆けた顔で見ていた。
噴き出す真っ赤な血飛沫が、母の後ろにいた私の顔面と服に降り注いだ。母は壊れた人形のように崩れ落ち、人々の悲鳴と怒号が飛び交った。取り押さえろ、と誰かがそう叫ぶ声が聞こえた。
すぐそばにいた私を、父が見降ろして――嗤った。
ああ、私も母と同じ運命を辿るのだろうなと思ったが、父はそうしなかった。
「俺はな、俺の血が流れていないお前なんて好きじゃなかった。お前など、連れて逝く価値もないわ」
父は私に呪いの言葉を吐いた後、メスで己の首を切り裂いた。そうか、私には殴られる価値すらもなかったのかと、私が悟った瞬間でもあった。
父の手で母が殺され、父が自害した。
ひどいその事件は、二つの死体が出来上がっただけでは終わらなかった。警官の隙をついて母の男が逃げ出し、複数の警官が慌てて男を追い駆けたが、彼はトラックの前に飛び出して自殺したのだ。
事件は次第に忘れられていったが、私の身には常に噂がまとわりついた。
私の家についての評価や、当時の血生臭い事件が、人の口を渡るたびに歪められ、根も葉もないようやく噂も執拗に繰り返された。詳細を知らない人間も、私を謙遜するようになっていった。
親のいない子共というだけで、私を白い目で見る人間も少なくはなかったが、エリスは、いつも真っ直ぐ私の目を見た。成績では私に次いで二番で、賢く知的な娘だった。彼女はあの頃から既に美しく聡明で、誰よりも優しい目をしていた。
私は人と関わる事が苦手で、あの頃は、特に口下手だった。教室にも馴染めず、関わりを持った女の子を泣かせてしまった一件が、私をより一層人間嫌いにさせていた。集団で過ごさなければならない時間は、私にとって苦痛だった。
いつも人に囲まれていたエリスと、初めて関わる事になったのは、私の眼の前で泣いてしまった女の子が、彼女の友人だった事がきっかけだった。
「あなたは、とても不器用な人ね。不器用で優しくて、頭のいい人だわ」
一人教室に残った私に、エリスがそう言った。
「あの子の素直なところが利用されると思って、あんな事を言ったのね。でも大丈夫よ。あの子、見る目だけは確かなの。私の友人は、ひどい男に簡単について行ってしまうほど、弱い女の子じゃないのよ」
あの時代は、自分よりも賢い女を嫌う男も多く、彼女の才能を嫌う男もいた。けれど、彼女はまるで相手にもしていなかった。彼女は、強さを秘めた女性でもあったのだ。
「努力と実力の世界でしょ」
彼女は朗らかに笑って見せた。彼女の、そういった強い所に私は憧れた。
人を遠ざけるばかりが強さではないのだと、彼女と過ごす事で見えて来たが、誰かに優しくしてあげる事は、とても勇気がいる。私は、彼女のように素直に微笑むなんて、とてもじゃないが真似する事は出来ないだろうとも分かっていたのだ。
エリスは顔を会わせれば私に話しかけ、都合があれば二人で勉強もするようになった。同じハイスクールに進んでからは、もはや友人同士と口にするのも慣れ親しんだ。
希望する分野は同じだったが、専門内容は少し違っていた。私達は共に、研究職に就くくことを目指して難関大学を志望し、数年後に希望通り入学の切符を手に入れた。私は当然の結果だと思ったが、彼女は、支えてくれた皆のおかげだと微笑みながら泣いていた。多くの同級生が、同じように涙して彼女を見送った。
大学では、素晴らしい環境で勉学を進める事が出来た。彼女を軽蔑するような学生もほとんどおらず、彼女の努力と才能を尊敬し、一緒に切磋琢磨する姿は、私の眼にも美しく感じた。
一部の授業が彼女とは重なっており、私達は相変わらず、良き友人として共に時を過ごした。エリスは、すっかり美しい女性へと成長を遂げていた。彼女に恋心を抱く男は何人もいたが、どうやら報われなかったようだ。
私は、その話を同じ寮生から聞かされたのだが、私の反応が予想以上につまらなかったのか、語った彼は不満そうだった。
「お前、彼女と仲が良いだろう。やきもきしねぇの? 本当は彼女の事が好きなんだろ?」
「残念ながら、異性間の『愛』であると言いたいのであれば、それは不正解だ」
友人として、私は彼女以上の共はいないだろうと思っていた。この気持ちが友愛異常なのかは知らないが、彼女には、誰よりも幸せになって欲しかった。私では役者不足であり、私は誰よりも、彼女の力になれる友人でありたかった。
私が彼に会ったのは、大学院へ進んだ頃だ。若くて有名で、元は解剖を専門としていた学者、ショーン・ウエスター。――エリスが彼の研究生となってから、私もその男の事をよく知るようになった。
ショーン・ウエスターは、虫も殺せない牧師か小児科の先生、はたまた文学者のような、敵意も殺意も競争心も持たない瞳をした男だった。東洋寄りの顔立ちでかなり若作りであり、外見からは正確な歳を把握するのは難しい。
一部の研究生が噂していたのは、彼が、本当は軍の人間だとかいう七不思議のような嘲笑話だった。その名前も本名か知れたものじゃない、と彼を尊敬しない先輩もそう噂していた。大学院内で、親も親戚もないショーン・ウエスターについて、プライベートな話を知る者はいなかった。
ショーン・ウエスターが受け持つ授業は少しだけで、どこにいっても眠りこけている姿が目についた。性格が元々のんびりしているのか、たまに見掛けるのも食堂か庭先か、小動物が管理されている施設で兎をつついている等、呑気なものだった。
エリスが初めて、彼を私に紹介してくれた時、これまでの恩師や同級生、友人を紹介する時と違った雰囲気に私は気付いた。一段と美しくなった彼女の笑顔が眩しくて、私は、ああ、そうか。彼女はショーン・ウエスターの事が、一人の男として気になっているのかと分かってしまった。
ちょっとした嫉妬心もあったのだろう。
これまで他者に感心もなかった私は、ショーン・ウエスターの事を気にするようになった。以前の私が毛嫌いしていたような噂話も耳に入って来たし、姿を見掛けると、つい目で追うようにもなった。ショーン・ウエスターの後ろを追いかけるエリスの姿も、当然のように私の目に入った。
ショーン・ウエスターは、長い足で構内を闊歩する。彼は後ろを追って来る彼女に暫く気付かず、彼女に袖を掴まれてようやく、気付いて振り返る。いつも、そんな光景が目に止まった。
私なら、すぐに彼女に気付いてやれるだろう。そんな風に彼女を待たせたりしないし、彼女が望むのなら、彼女の知らない場所へは断りもなく居なくなったりせず、心配を掛けたりもしないだろう。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
兄のお嫁さんに嫌がらせをされるので、全てを暴露しようと思います
きんもくせい
恋愛
リルベール侯爵家に嫁いできた子爵令嬢、ナタリーは、最初は純朴そうな少女だった。積極的に雑事をこなし、兄と仲睦まじく話す彼女は、徐々に家族に受け入れられ、気に入られていく。しかし、主人公のソフィアに対しては冷たく、嫌がらせばかりをしてくる。初めは些細なものだったが、それらのいじめは日々悪化していき、痺れを切らしたソフィアは、両家の食事会で……
10/1追記
※本作品が中途半端な状態で完結表記になっているのは、本編自体が完結しているためです。
ありがたいことに、ソフィアのその後を見たいと言うお声をいただいたので、番外編という形で作品完結後も連載を続けさせて頂いております。紛らわしいことになってしまい申し訳ございません。
また、日々の感想や応援などの反応をくださったり、この作品に目を通してくれる皆様方、本当にありがとうございます。これからも作品を宜しくお願い致します。
きんもくせい
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
どうぞご勝手になさってくださいまし
志波 連
恋愛
政略結婚とはいえ12歳の時から婚約関係にあるローレンティア王国皇太子アマデウスと、ルルーシア・メリディアン侯爵令嬢の仲はいたって上手くいっていた。
辛い教育にもよく耐え、あまり学園にも通学できないルルーシアだったが、幼馴染で親友の侯爵令嬢アリア・ロックスの励まされながら、なんとか最終学年を迎えた。
やっと皇太子妃教育にも目途が立ち、学園に通えるようになったある日、婚約者であるアマデウス皇太子とフロレンシア伯爵家の次女であるサマンサが恋仲であるという噂を耳にする。
アリアに付き添ってもらい、学園の裏庭に向かったルルーシアは二人が仲よくベンチに腰掛け、肩を寄せ合って一冊の本を仲よく見ている姿を目撃する。
風が運んできた「じゃあ今夜、いつものところで」という二人の会話にショックを受けたルルーシアは、早退して父親に訴えた。
しかし元々が政略結婚であるため、婚約の取り消しはできないという言葉に絶望する。
ルルーシアの邸を訪れた皇太子はサマンサを側妃として迎えると告げた。
ショックを受けたルルーシアだったが、家のために耐えることを決意し、皇太子妃となることを受け入れる。
ルルーシアだけを愛しているが、友人であるサマンサを助けたいアマデウスと、アマデウスに愛されていないと思い込んでいるルルーシアは盛大にすれ違っていく。
果たして不器用な二人に幸せな未来は訪れるのだろうか……
他サイトでも公開しています。
R15は保険です。
表紙は写真ACより転載しています。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる