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まさかと思って目を向けると、走って向かってくる男性の使用人が振りかざす右手には、白い封筒が――。
(返事、はや!)
そんなに時間は経っていないはずだが、と思って疑問腑が頭にいっぱい浮かぶ。
その間にも、シェスティの手元に手紙が届いてしまった。
「騎士が、返事を待っています」
手紙を渡した彼が、両手を後ろに組んで立つ。
「えぇっ。今? 今すぐ見て、返事を?」
「王宮から来た騎士は、そう求めています」
メイドたちが数人きて、シェスティの前にあるテーブルに手紙を書くのに必要な道具一式を揃えていく。
(いったい、返事を求めるほどだなんてどんな内容なのかしら? 手紙なんて送るなとか、私が社交辞令で出した時にあった『俺は暇じゃない』とかいう手紙?)
いろんなことが頭に浮かぶ中、手紙を開けてみる。
すると、そこには一文だけ書かれていた。
【訪ねていいですか】
(何、この不器用すぎる手紙は?)
シェスティは、唖然とした。
(彼、きちんとした文章で手紙を書けたわよね? 留学する前、別荘で避暑していた時にも散々手紙で応酬しあったの覚えているんですけどっ?)
固まってしまっていると、一人のメイドがおずおずと声をかけてくる。
「お嬢様、それでお返事のほうはいかがされますか……?」
シェスティはハッと我に返る。
「い、いえ、返事は書くわよ」
相手は王子だ。訪ねたいと希望しているのなら、公爵令嬢であるシェスティが断るわけにもいかない。
(そもそも断ったら、お父様がまた半泣きで慌てそうだわ)
ひとまずシェスティは【いいですよ】というような返事を書いて、わざわざ玄関前で馬に乗ったまま待っていた騎士に、手渡した。
彼は、シェスティが自分から持ってきたことに恐縮していた。
「あなた、私をここまで護衛してくれた人ね。いつもご苦労さま」
騎士は目を見開き、それから嬉しそうにはにかんだ。
「それでお顔を見せていただけたのですね、光栄です」
「これ、皆様と一緒に食べて」
シェスティは、自分のテーブルにも出されていたクッキーと同じものを入れた菓子袋を彼に手渡し、見送った。
後ろにいたメイドたちが感動していた。
「お嬢様、あいかわらず素晴らしいお方ですわ……」
「これだと仕える騎士たちも待ち遠しいでしょうね」
「ええ、ファンも多かったですから。ただ……うまくいくかどうかは……」
「あの狼王子様、ですものね……」
メイドたちが揃って心配そうな吐息をもらす。
その直前、吹き抜けた風が公爵邸の美しい庭園の花弁を舞わせていた。
金髪を片手で押さえ、しばしそちらに気を取られていたシェスティは聞こえていなかった。
風がやんだ時、ふっとメイドたちの様子に気付く。
「どうかした?」
「いいえ……その、わたくしたちから言えることとしたら、殿下が報われてくれればいいな、と……」
シェスティは、遠い目をしたメイドたちにきょとんとした。
◇◇◇
その翌日、馬に乗った王子付きの護衛たちは、かなり気にした様子で馬車のほうをちらちらと見ていた。
車内にいるのはカディオだ。
向かいには、珍しく護衛騎士隊長が座っている。
「殿下、どうか深呼吸をしてください」
「わ、分かっている」
今日こそは、ちゃんと話す。
そう決めているのだが、シェスティの姿を思い浮かべ、そして今は彼女に会うのだと意識しまた動悸が激しくなっている。
(また美しくなって……)
あれで隣国にいい人がいなかったなんて、本当だろうか。
告白されたりだとか――。
「うぐぅっ」
「殿下っ」
胸を押さえたカディオを見て、護衛騎士隊長が駆け寄る。
揺れた馬車を、騎馬で同行している騎士たちが心配そうに見たに違いない。心配されまくっているのは、カディオも察している。
(素直になれ、素直にいくんだ、俺)
昔から何度だって後悔してきた。
周りはみんな味方だ。皆が望んでいるのだし、と、彼女がそばにいてくれるからと甘んじていた。
そうして、シェスティが急にいなくなった日には、絶望した。
もう、顔さえ見れないのだと分かったら、涙がぼろぼろとこぼれた。
二十一歳の男が急に泣いて、母である王妃も驚いていた。
悔しかった。こんなにも、彼女のことが――。
気になっているどころではない。その次の段階でも、もうなくなってしまった。
それを悟った瞬間だった。
(アローグレイ侯爵たちからはよくしてくれると、約束してもらったが……)
あの三人の子息たちが彼女に気がないなんて、思えない。
彼らから届いていた報告の手紙は途絶えたし、以降はアローグレイ侯爵のみ『預かっているシェスティの様子』を伝えてきた。
カディオが気になって、三人兄弟たちにそれとなく手紙を送ってみたら、
『え? ご自分で確認してみてはいかがです?』
――簡単にまとめると、そういう内容の返事が届いた。
笑顔で冷ややかなオーラを放っている様子が、手紙の文面かひしひしと伝わってきたものだ。
手紙を、シェスティに送ることはできなかった。
いつもどんな言葉で彼女との会話のきっかけを掴んでいたのか、カディオは思い出させなかった。
王子らしい言葉も、彼女を思い浮かべると出てこない。
心がかき乱される。
気持ちが、彼女だけに関しては揺れる。
「私も同行させていただきますよ。くれぐれも手は出すなと、陛下とディオラ公爵には言われています」
「そ、そんなこと、するものか」
カディオの声が途端に弱々しくなる。
護衛騎士隊長が、座席を弱々しくする彼の尻尾を見た。
「やめろ、見るな」
「殿下、どうせ感情を隠せないのですから吹っ切れてみては――」
「できるなら、やってるっ」
カディオは真っ赤な顔で、悔しそうに打ち明けた。
今は、赤面を彼女から隠すのでせいいっぱいだ。
昔はどうにかなった。だが、大人になり、さらに魅力的になったシェスティを前にしたら、こらえがきかない。
できるのはせいぜい眉を寄せ、顔を顰めることくらい。
「……それではいけないのは、俺も分かってる」
でもシェスティ相手にだけは、どう素直になっていいのか分からない。
出会った時の子供染みた失礼な発言が、今も彼を引き続きこじらせていた。
◇◇◇
(返事、はや!)
そんなに時間は経っていないはずだが、と思って疑問腑が頭にいっぱい浮かぶ。
その間にも、シェスティの手元に手紙が届いてしまった。
「騎士が、返事を待っています」
手紙を渡した彼が、両手を後ろに組んで立つ。
「えぇっ。今? 今すぐ見て、返事を?」
「王宮から来た騎士は、そう求めています」
メイドたちが数人きて、シェスティの前にあるテーブルに手紙を書くのに必要な道具一式を揃えていく。
(いったい、返事を求めるほどだなんてどんな内容なのかしら? 手紙なんて送るなとか、私が社交辞令で出した時にあった『俺は暇じゃない』とかいう手紙?)
いろんなことが頭に浮かぶ中、手紙を開けてみる。
すると、そこには一文だけ書かれていた。
【訪ねていいですか】
(何、この不器用すぎる手紙は?)
シェスティは、唖然とした。
(彼、きちんとした文章で手紙を書けたわよね? 留学する前、別荘で避暑していた時にも散々手紙で応酬しあったの覚えているんですけどっ?)
固まってしまっていると、一人のメイドがおずおずと声をかけてくる。
「お嬢様、それでお返事のほうはいかがされますか……?」
シェスティはハッと我に返る。
「い、いえ、返事は書くわよ」
相手は王子だ。訪ねたいと希望しているのなら、公爵令嬢であるシェスティが断るわけにもいかない。
(そもそも断ったら、お父様がまた半泣きで慌てそうだわ)
ひとまずシェスティは【いいですよ】というような返事を書いて、わざわざ玄関前で馬に乗ったまま待っていた騎士に、手渡した。
彼は、シェスティが自分から持ってきたことに恐縮していた。
「あなた、私をここまで護衛してくれた人ね。いつもご苦労さま」
騎士は目を見開き、それから嬉しそうにはにかんだ。
「それでお顔を見せていただけたのですね、光栄です」
「これ、皆様と一緒に食べて」
シェスティは、自分のテーブルにも出されていたクッキーと同じものを入れた菓子袋を彼に手渡し、見送った。
後ろにいたメイドたちが感動していた。
「お嬢様、あいかわらず素晴らしいお方ですわ……」
「これだと仕える騎士たちも待ち遠しいでしょうね」
「ええ、ファンも多かったですから。ただ……うまくいくかどうかは……」
「あの狼王子様、ですものね……」
メイドたちが揃って心配そうな吐息をもらす。
その直前、吹き抜けた風が公爵邸の美しい庭園の花弁を舞わせていた。
金髪を片手で押さえ、しばしそちらに気を取られていたシェスティは聞こえていなかった。
風がやんだ時、ふっとメイドたちの様子に気付く。
「どうかした?」
「いいえ……その、わたくしたちから言えることとしたら、殿下が報われてくれればいいな、と……」
シェスティは、遠い目をしたメイドたちにきょとんとした。
◇◇◇
その翌日、馬に乗った王子付きの護衛たちは、かなり気にした様子で馬車のほうをちらちらと見ていた。
車内にいるのはカディオだ。
向かいには、珍しく護衛騎士隊長が座っている。
「殿下、どうか深呼吸をしてください」
「わ、分かっている」
今日こそは、ちゃんと話す。
そう決めているのだが、シェスティの姿を思い浮かべ、そして今は彼女に会うのだと意識しまた動悸が激しくなっている。
(また美しくなって……)
あれで隣国にいい人がいなかったなんて、本当だろうか。
告白されたりだとか――。
「うぐぅっ」
「殿下っ」
胸を押さえたカディオを見て、護衛騎士隊長が駆け寄る。
揺れた馬車を、騎馬で同行している騎士たちが心配そうに見たに違いない。心配されまくっているのは、カディオも察している。
(素直になれ、素直にいくんだ、俺)
昔から何度だって後悔してきた。
周りはみんな味方だ。皆が望んでいるのだし、と、彼女がそばにいてくれるからと甘んじていた。
そうして、シェスティが急にいなくなった日には、絶望した。
もう、顔さえ見れないのだと分かったら、涙がぼろぼろとこぼれた。
二十一歳の男が急に泣いて、母である王妃も驚いていた。
悔しかった。こんなにも、彼女のことが――。
気になっているどころではない。その次の段階でも、もうなくなってしまった。
それを悟った瞬間だった。
(アローグレイ侯爵たちからはよくしてくれると、約束してもらったが……)
あの三人の子息たちが彼女に気がないなんて、思えない。
彼らから届いていた報告の手紙は途絶えたし、以降はアローグレイ侯爵のみ『預かっているシェスティの様子』を伝えてきた。
カディオが気になって、三人兄弟たちにそれとなく手紙を送ってみたら、
『え? ご自分で確認してみてはいかがです?』
――簡単にまとめると、そういう内容の返事が届いた。
笑顔で冷ややかなオーラを放っている様子が、手紙の文面かひしひしと伝わってきたものだ。
手紙を、シェスティに送ることはできなかった。
いつもどんな言葉で彼女との会話のきっかけを掴んでいたのか、カディオは思い出させなかった。
王子らしい言葉も、彼女を思い浮かべると出てこない。
心がかき乱される。
気持ちが、彼女だけに関しては揺れる。
「私も同行させていただきますよ。くれぐれも手は出すなと、陛下とディオラ公爵には言われています」
「そ、そんなこと、するものか」
カディオの声が途端に弱々しくなる。
護衛騎士隊長が、座席を弱々しくする彼の尻尾を見た。
「やめろ、見るな」
「殿下、どうせ感情を隠せないのですから吹っ切れてみては――」
「できるなら、やってるっ」
カディオは真っ赤な顔で、悔しそうに打ち明けた。
今は、赤面を彼女から隠すのでせいいっぱいだ。
昔はどうにかなった。だが、大人になり、さらに魅力的になったシェスティを前にしたら、こらえがきかない。
できるのはせいぜい眉を寄せ、顔を顰めることくらい。
「……それではいけないのは、俺も分かってる」
でもシェスティ相手にだけは、どう素直になっていいのか分からない。
出会った時の子供染みた失礼な発言が、今も彼を引き続きこじらせていた。
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