【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~

Bonzaebon

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第2章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【○○始めました……!?】

第96話 食いしん坊将軍!

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「なるほど、聖歌隊といえばパンっていうのはこういうところからも来ているのか。」


 翌日の朝、宿舎の食堂へ朝食を摂りに来ていた。俺は朝っぱらからその景色に圧巻されていたのである。何しろ、様々な種類のパンが並べられており、その中から選び放題、食べ放題なルールになっている。


「食べ放題だけど、体型の維持とかの理由もあるから、実質制限はしないと大変な事になるんだろうな。全部自己責任てことだな。」

「目移りしちゃいますけど、こういう誘惑に負けないようにする訓練も兼ねてるのかもしれませんね。」


 今はメイちゃんと共にこの場所に来ている。寝泊まりする私室はユニットのメンバー毎で共有するかたちになっている。でも、元々が男な俺にとっては、随分と肩身の狭い居心地の悪い空間だった。色々見るな、近寄るなのオンパレード! こんな思いをするんだったらタニシと同じ部屋にして欲しかった。プリメーラ? アイツは朝起きたらいつの間にか姿が見えなくなっていたのでそのままメイちゃんと二人で来た。


「番が回ってきましたよ。」

「ようやくか! 結構、時間がかかるな。腹が減ってしょうがないや。」


 訪れた時には長蛇の列! 聖歌隊ってこんなに人がいるのかっていうくらいの人数が殺到している。こんなに待たされるなら、空いている時間に来るか? いや、そんなだとお目当てのパンにありつけない可能性もある。悩ましいところだ。今の場合はとりあえずなくなっているパンはないので、全種類の中から選ぶことが出来る。待たされた甲斐はあったかもしれない。


「結構、朝から食べるんですね?」

「ああ、なるべく種類を知っておきたいしね。今度のパン対決のためにパンって物を理解しておきたいから。」

「勉強熱心ですねぇ。」


 メイちゃんを始めとして大抵の子は一種類しか選んでいないというのに、俺は三種類ほど選んだ。なんかスライスされた四角いヤツと丸いヤツとか、螺旋状に巻かれた形状のヤツを選んでみた。スタンダードな物から奇抜な物を幅広く選択してみた。


「あっちで色々、トッピングとかスープ、飲み物をもらうことも出来るみたいですね。」

「なるほど。パン以外のメニューも充実しているようだな。」


 どうやらパンに塗るって味付けする物、バターとか蜂蜜、ジャムなどが揃っていた。好みに合わせて色んな味付けで食べることが出来るようだ。後はスープ、これもパンを浸したりして食べるので、組み合わせなども考慮に入れておきたいところだ。パンに別の物を組み合わせてはいけないというルールはなかったはずなので、合わせ技みたいなのも有りだと思う。


「空いている席は……、あっ!?」

「ん? どうした?」


 メイちゃんが空いている席を探していたときに、何かを見つけてしまったようだ。起きたときには姿を消していた、アイツがそこにいたのだ!


「もぐっ! はむっ!」


 プリメーラが一心不乱にパンを黙々と食べていた。テーブルを見ると、すでに半分食べた形跡が見られた。とても一人分とは思えないほどの量のパンが盛られていたことを示すように、持ち運び用のトレーには不自然なスペースが空いていた。山が半分崩されたような感じになっている。


「おいっ! 食いしん坊将軍!」

「はひっ!? な、何よ! 人を失礼な呼び方するんじゃないわよ!」

「お前には協調性という物がないのか? 初日くらい一緒に食べに来るくらいのことはするべきだろ?」

「うるひゃい! アンタ達が中々起きないから、我慢できずに食べに来たのっ!」


 同じユニットに配属されたんだから、お互いのことを知るために食事をしながらでも語り合った方がいいと思ったんだが……。コイツときたら、そんな物より食欲を優先させたようだ。コイツの食欲はマジで半端ない事は良くわかった。俺との受け答えの間もパンをほおばっている。こういう時くらいは食べる手を止めてほしいものだ。


「あ~、マジでどうしてくれんのよ!」

「は? 何が?」

「昨日のアレのせいで、ここにある全てパンが過去の物になっちゃったじゃないのよ!」

「アレって……パスタパンのことか?」

「そうよ! あまりにも物足りない物だから、こんなに大量に食べないと満足できない体になっちゃったじゃない!」


 なんで俺のせいなんだよ……。あんなダブル主食の料理界のキメラともいうべき食べ物を食べたくらいで、他じゃ満足できない様になるとは……。他のまともなパンに失礼だろ!


「あの味が忘れられないから、いつもより早く目が覚めちゃったから、速攻で食べに来た!」

「食べた過ぎて目が覚めるって聞いたことねえよ……。」

「んで、アレを再現するためにパスタを要求したけど、朝に用意出来ないとかなんとかでオバチャンに断られちゃったのよ!」

「そりゃそうだ! あの時のは残り物を拝借しただけだからな。そんなニッチな食べ方のためだけに用意なんかしてられないって事だろ。」

「ムキー! そんなわけナイナイ! 絶対、ここに置いてたら絶対流行るって! おいしいから! 革命だから! マジハマるから!!」


 そんな豪語されてもなぁ……。アレはおジャンクな味を愛するコイツみたいなヤツには刺さるんだろうけど、一般女子には……ねぇ? それはともかくコイツがまともな女子ではないのはよくわかった。ある意味男らしさがあるような気がする。俺とかタニシよりもよっぽどね。
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