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第2章 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【○○始めました……!?】
第76話 XX《ダブルエックス》
しおりを挟む「さあ、始まりました! 絶壁プリン大食い大会がゲリラ的にスタートです! 新記録または新王者が爆誕するんでしょうか?」
なんやかんやで絶壁プリン大食い大会が始まってしまった。たまたま居合わせたランカー達が揃った結果、急に勃発するとは……。いつの間にやら、騒ぎを聞きつけギャラリーの人だかりが出来ていた。
「出たぁ! スイーツ親分の壁破り食い! 早速の大技来たぁ!?」
たかが大食いに技なんてあるんですか? 確かに壁破りの名に違わず、絶壁の真ん中に大穴が空いている。しかも、それが原因でプリンが崩れたりしていない! これがプロのやり口か!
「ゲェーッ!? 序盤でその技を出してくるとは、さすが親分、えげつない!」
いや、だから、その技に早食いの戦術的価値はあるんですかね? 真ん中食っただけなのに食い尽くすスピードに影響しないのではないだろうか? ライバルにプレッシャーを与えるという意味ではいいのかもしれないが……。
「オホホ、親分さん、相変わらずお下品な食べ方だこと。スイーツくらいお上品にお食べなさいな。」
「ふ、婦人も急激に量を減らしている! しかもどこを食べているのかわからねぇ!」
えげつない親分を揶揄しながらも、婦人も順調に量を減らしている。しかも食べてるはずなのにプリンの形が崩れていない! どんどんサイズだけが縮んでいっているかのような錯覚すら覚える。こんなん物理的に可能なんですかねぇ?
「親分、婦人に対して将軍は全然減っていない!」
「いや、違う! アレは将軍の作戦、計略に違いない! 我々にわからないレベルで食べ進めているに違いない!」
「さすがデザート狐の異名を持つ将軍のやり口だ!」
「如何なる作戦も大胆であれ! 自分のショーは自分で演出する! それが余の信条だ!」
将軍はもっともらしいことを言ってるが、全然量が減ってない。口も動かしていない! 婦人みたいにどこから食べてるのかわからないとかではなく、何も変化していない様に見えるのは気のせいだろうか?
「みんなやるじゃない! こうなったら私もアレを解禁するしかないわね!」
ライバル達の奮闘ぶりを見たミスター?は何やら奮起し始めた。何をするのかと思いきや……スプーンをもう一本取りだした! ま、まさか……!
「で、出た!? ミスターX、伝家の宝刀、X二刀流食べが炸裂したぁ!?」
まさかの二刀流! 左右それぞれにスプーンを持ち、交互に掬って食べている! 速い速い! その姿は正に“X”の字を描くが如くの食べっぷりだった! ここで一気にミスター?がトップに躍り出た!
「おいひぃ、おいひいですぅ!」
「メイちゃん、おいしそうに幸せそうに食べてるでヤンスなぁ。」
ニッコニコのご機嫌な様子でメイちゃんは他の連中に目もくれずに食べ進めていた。目一杯楽しんで食べているようだ。他はガチ勢、メイちゃんはエンジョイ勢といったところか? それでもトップのミスター?に次いで二位くらいのペースを保っていた。
「フッ、随分と余裕かましてくれるじゃねえか、新入りさんよ! しょうがねぇ、ここは奥の手を使わせてもらう!」
「げぇ、まさか!? 親分があの大技を使うというのか?」
「オイ、ニイチャン! ホイップ追加だ!」
「やっぱり“毒を食うなら皿までも”を使うつもりだぁ!」
親分は店員を呼び寄せ、プリンにトッピングを追加しようとしていた! しかもホイップクリームだとぉ? 余計に重くなるから食べづらいのでは? いや、待てよ? 味変を狙っての追加かもしれない! 同じ物を食べ続けると飽きるし、それが原因で食べる勢いも遅くなる可能性がある。それを味変でカバーしようというのか? なかなか策士だな、親分さんよ!
「むむ! 親分さん、禁じ手を使うとは良いお度胸ね! わたくしも負けられませんわ! ちょいと、貴方? チェリーを追加してくださいな!」
「何ぃ!? 婦人まで奥の手を使うつもりだ! あの幻の“錯乱チェリー盛り”を見ることが出来るなんて!」
錯乱……? 確かに錯乱しているとしか言いようがない。間もなく店員がサクランボの山盛りを持ってきた! こんなん食うの捗るどころか、余計にたべられなくなるんじゃ……? 味変ってレベルじゃねーよ!
「レロレロレレロレロ!」
「出た! “タマ転がし”!? 幻に次ぐ幻の連発だ!」
なんか婦人が舌の上でサクランボを転がしている! その行為に意味はあるのか?食うの止まってるじゃないか! 舌の上でチェリーを転がすってなんか卑猥な感じがするのは気のせいだろうか?
「ち、チクショー!? みんなして、大技なんか使いやがって! 私も負けてらんないんだけど!」
ミスター?はライバル達からのプレッシャーを受けてとんでもないことを始めた! 更にスプーンを二本追加して四刀流状態に移行した!
「見よ、これが究極の秘技“XX”!! あっという間に蹴散らしてくれるわ!」
もうワケがわからなくなってきた。超人絶技っていうかこれは超人珍技だ。そんなこんなでいつの間にか全員がラストパートに突入し始めたのだった……。
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