上 下
62 / 93
第1章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【学院編D・L・C】

第61話 パリィなんて余裕です!!

しおりを挟む

「牛の後継者ちゃんが復活するまでがタイムリミットだろうね。キミ達はその時まで生き残っていられるかな?」

「あなたが倒れた所で終了ですよ。ここから先は僕達が一歩も通しませんよ!」


 お嬢さんフロイラインMrs.フラウグランデを介抱している間にアイローネを押さえないといけない。命に別状はなさそうだけど、回復魔法で回復できない上に武器を破壊されてしまったようだ。意識を取り戻しても、無理はさせられない。なんとしてでも守り抜く!


「それはないなー。ないない。あり得ないよ。何人死ぬかな? 全滅かな? D・L・Cと同じ末路を辿ると思うよ!」

「その減らず口を動かないようにして差し上げます!」


 先手を取ったのはローレッタさんだった。彼女は両腕に仕込んだ刃を展開して、アイローネに斬りかかった。刃が首に到達するかと思われたその時、甲高い金属音と共に攻撃が弾かれた。


「パリィ!!」


 寸前でアイローネのレイピアによって阻まれた。それに構わずローレッタさんは矢継ぎ早に攻撃を仕掛けていく。攻撃の度に金属音が鳴り響き、一度も相手の体に掠りもしていなかった。完全に攻撃を読まれている……? いや、違う。よく見るとアイローネの動きは不規則なので、技術的に防いでいるとは言いがたかった。全て反射神経だけで捌かれてしまっているんだ!


「パリィ! パリィ! パリィ! 君の攻撃は見てからパリィなんて余裕で出来るよ! ちゃんと見て防げば当たりはしない!」

「いつまでも悪ふざけばかり! 許しません!」


 ローレッタさんは通常よりもスピードを乗せた攻撃を繰り出した。相手はその攻撃にも更に早いスピードで躱し、刃をマントで絡め取った。


「キミに普通の攻撃が効かないのは良く知っている。でもこうしちゃえば反応しない。マントを巻き付けただけだからね!」


 アイローネは絡めたマントを引き、ローレッタさんを転倒させようとした。彼女は抵抗したが、それでもアイローネは強引に引いたため刃の付いた腕諸ともねじ切る結果になった。


(バギンッ!!!)

「……くっ!?」

「抵抗せずに地面に倒れていれば良かったのに。大切な腕が取れちゃったよ! まあ、倒れたとしてもそのままの勢い余って止め刺しちゃったかもしれないけど?」


 恐ろしい強さだ! 力も早さも桁が違う。恐らく、アクセレイションの使用によるものだろう。あれは魔力の使用量で効果も倍増すると言われている。膨大であればあるほど、常軌を逸した能力を発揮出来るそうだ。目の前にいる魔神は四天王の配下だ。並の魔王以上の強さを持っている事もこれで納得が出来た。


「男子の方はどうした? さっきから黙って見てるばっかりじゃないか? 何人がかりでも相手をしてあげるよ?」

「言わせておけば!」

「あっ! 良いこと思いついた! ちょっと待ってて。儚き羽毛アルッチナツィオーネ!」


 アイローネは頭から羽毛を抜き取り、フッと吹き飛ばした。その羽毛は瞬く間に人の姿になった。いや正確には鳥人間…アイローネと似た姿をしていた。分身と言ってもいい姿だった。しかも、それが四人いる!


「なんかビビリ過ぎちゃってるみたいだから、ハンデをあげよう。キミ達一人一人が相手をするといい。強さは大体、ボクの四分の一くらいの強さだ。勝てたらボク本体が相手をしてあげる!」


 ハッキリ言って僕達は舐められている。とはいえ全員でかかっても勝ち目はないかもしれない。ローレッタさんが簡単にあしらわれた上に腕をいとも簡単にねじ切ってみせた。その光景を見た僕達は怯んでしまったのは間違いない。全部見透かされていると言っても良かった。


赫灼の雨ハイス・ロット・レーゲン!!」

「おおっと! いきなり大技だね! その調子で来ないと死んじゃうかもしれないよ!」

「火炎祭り!!」


 僕は先頭を切って攻撃を仕掛けた。一撃目から倒す勢いで立ち向かう。それに乗ってくれたのかヴォルフも攻めの姿勢で分身達に襲いかかった。とにかく僕達二人が前衛を務めないといけない。ラヴァン先生や傷付いたローレッタさんを危険にさらすわけにはいかないんだ。


「必死だねぇ! でも、どんどんその勢いで来ないと倒せないよ! 本体はもっと強いからね!」


 僕達は全力で攻撃を仕掛けても、全くと言っていいほど当たらなかった。僕は追従剣オービタル・ブレイドを展開して攻撃を仕掛けているのにだ。実質三人で戦っている様なものだが、相手には余裕で攻撃を躱されていた。これでも本体よりは弱いと言うのだから、とんでもない強さだ。


「そこの赤い剣のキミ! まだ本気を出してないでしょう? さっきのファイアー・バードとの戦いで身に付けた力を見せてご覧よ!」

「……クッ!?」


 確かに前よりも強い魔術を使えるようにはなったけど、この道化師に通じるんだろうか? 通用するかどうかはわからない。でも、やってみないと全滅する可能性がある。一か八か……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...