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第1章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【学院編D・L・C】
第59話 陽気な道化師
しおりを挟む「ポジョス様配下、五色羽が一人、エフェメラ・アイローネ。コレがボクの正式な肩書きね。陽気な道化師ってのはあくまで君たち人間が呼んでる二つ名だから。間違えないよーに!」
悪魔の道化師はケラケラと笑いながら、自分の肩書きをアピールしている。誰もそんなこと求めてないのに。平気で空気を読まない行動を取って、神経を逆なでしてくるような感じだ。ヤッパリ、コイツは悪魔だ。
「実はココに封印されているガンダー君もボクと同じく五色羽の一人さ。長らく五色羽のメンバーが揃うことはなかったけど、久方ぶりの大集合になりそうだ。」
「我すらも欺くとは。中々の妖術を使いよる。うぬも魔の者だったとはな。道化の物の怪よ。」
鬼も気付いていなかったなんて……。D・L・Cに紛れ込んで仲間を解き放とうとしていたって事? あの人達をダマして、捨て駒にして、仲間を封印から解いて戦争を仕掛けようとしている。やり口が汚い。悪魔ってこんなに達が悪いんだ……。
「やはり全ての黒幕はあなただったと言うわけですね? おかしいと思ったんですよ。フェルディナンドが自分の死後を想定しているなんて。彼らしくないと思っていたんです。」
「まあ、その辺はちょっとした伏線をワザと残しておいたのさ。そういうヒントを残しておかないと演出として面白くないからね。あくまでこれは喜劇なんだよ、ミミック君?」
「喜劇だなんて……ふざけたことを……。」
「君はボクと同じく人間じゃないのに、随分と人間らしい物の考え方だねぇ。もっと頭を柔らかくした方が面白おかしく生きていけると思うよ?」
悪魔が説教するなんてふざけてる。しかも喜劇? 何考えてんの? ウチらの事をなんだと思ってんの? だんだん腹が立ってきた。
「茶番が長い! 早くせんか! うぬが相手をするのならば話は別だが?」
「しょうがない。鬼さんも怒っているし、さっさと封印を解くとするか。ボカぁ、肉体労働好きじゃないんで。ガンダー君なら君の遊びに付き合ってくれると思うよ。」
道化師は赤い石…賢者の石を封印の門の前に掲げた。しばらくすると黒い大きな穴みたいな物が宙に現れ、ゴゴゴ、と変な音を立て始める。グワグワ、という鳴き声と共に黒いアヒルの頭を持った鳥人間が出てきた。
「俺を娑婆に解き放ったのはお前か、サギ野郎?」
「失礼な! レディに対して野郎呼ばわりはやめろ。助けてやったんだから少しは感謝しな!」
「どうも、クソありがとうございました! サギ野郎!!」
「だから野郎じゃないって言ってんだろうが!」
魔王配下のサギとアヒルが悪ふざけを繰り広げている。ウチらとしては世界を滅ぼされるかもしれないって事を恐れてるのに! 悪ふざけの延長線でそんなことされるのはたまったモンじゃない!
「うぬが封じられた魔神か? 我の期待に応えられるのであろうな?」
「なんだコイツは? 人間のクセに生意気な!」
「ああ、彼は東洋の魔族なんだ。喧嘩の相手を求めて君に会いに来たそうなんだ。相手してやってよ。久し振りに外に出たリハビリ代わりにはちょうどいいだろう?」
「リハビリ? コイツが俺の力に耐えられるのかねぇ?」
(ボッ!!!!)
ガンダーは右手の平を鬼に向けて黒い物を放った! それに対して鬼も片腕を突き出して何かをした。何が起きたのかわからなかったけど、何かを弾いたような音がした。続いてガンダーも手の平ではたくような動作をした。それがその後何度も繰り返された。
「我の“一指黒閃波”を弾いて返すとは、やりおる。」
「おうおう! 俺のキャッチボール遊びに付き合えるヤツなんてそうそういないぜ! やるじゃないか!」
「あれはサンダーボルトの魔術を弾いた技では……? それを弾いて返すガンダー……、我々とは次元が違いすぎる!」
ラヴァン先生はアレと似たやりとりを見たんだ? ウチと違って何をしてるのか多少はわかるのかもしれない。ウチには何が起きてるのかサッパリわかんないよ……。
「うぬは我と相対するに相応しい。これは受けられるか? 極凄螺旋豪!!!」
鬼は両方の手の平を前に突き出して、黒い渦の塊をガンダーに向けて放った! さっきまで跳ね返し合っていた黒い塊を飲み込んで相手まで向かっていった。
「大した闇の力だ! 俺の攻撃とどっちが強えかな? ブラック・エッグ・インパルス!!!」
ガンダーも負けじと黒く大きな卵形の塊を口から吐き出した! それが鬼の放った塊とぶつかり大爆発を引き起こす! その衝撃でウチらは大きく吹き飛ばされた。
「なんなの、コレ!? これじゃそのまま迷宮が壊れちゃうよ!」
それぐらい桁外れの力だった。こんな奴等を外に出しちゃったら、本当に世界が滅んじゃうよ……。
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