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第1章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【学院編D・L・C】

第58話 全滅してしまうとは情けない!

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「おやおや、ファイアー・バードまでやられてしまったか。これでD・L・Cはみんな退場リタイアしてしまったワケか。おおファイアー・バード、全滅してしまうとは情けない! ってね。」


 ジュニアが大逆転してファイヤーさんに勝ったと思ったら、おかしな事が起こった! 二手に分断されて変な所に行ったと思ったら、元の場所に戻ってきた。先生たち大人チームと鬼さんが同じ空間にいる。ちょっと待って! エルるんが倒れてるよ! あっちはピンチじゃん!


「なるほど。牛の後継者さんでは鬼さんには敵わなかったか。でも間一髪死なずには済んだのでセーフといったところだね。死んだら蛇さんが怒りそうだし、良かった、良かった。」


 幻惑のトーストなんとかさんがワケのわからないことを言ってる。D・L・C全滅とか言ってたけど、アンタもその一人じゃないの? 他人事みたいに言ってるし、なんかキャラが変わっている気がする。そういう人だったっけ?


「うぬが妖術を解除したのか?」

「そーだよ。そろそろフィナーレにしようかと思って。君もそれを待ち望んでいるんでしょう?」

「封じられた魔神とやらを解き放つのだな? よかろう。我もそろそろ此奴らに飽き始めていたところだ。」

「待て! スカーレット・コアがなければ魔神の封印は解けないはず! やはりディスペル・キーを持っているのか!」


 賢者の石とか言うヤツかな? 先生達が取りに行ってたし、ここにいるってことは、今持ってるんだよね? でも、幻惑さんがそれっぽい真っ赤な石を持ってる。何アレ?


「たしかにディスペル・キーは持っていた。でも、これまでに全部使ってしまった。まあ、スカーレット・コアがあるから思い切って使えたんだけどね。」

「ああ!? 何故、貴様がそれを持っているんだ!」


 幻惑さんは手に持った赤い石をこれ見よがしにみんなへ見せびらかしている。驚いているけどラヴァン先生も似たような赤い石を取り出して見比べてる。似てるけど先生の持ってる石の方がちょっとオーラが出てない感じがするな。なんか偽物っぽいていうか……。


「綺麗に騙されてくれてたみたいだね。それはニセモノだよ! 君たちが手に入れる直前にすり替えておいたのさ。しかも、あのリアルな死んだフリにも見事に引っかかってくれてたよね? いやあ、こんなにうまくいくと、商売冥利に尽きるね、って思えてくるよ。」

「あれも偽装だったというのか? 血の匂いすら幻術で再現できるというのか……。」


 ラヴァン先生はがっくりと肩を落としてる。ウチはどんなことがあったのかは知らないけど、それだけリアルな死んだフリをされたんだろうなというのは伝わってくる。それを見かねてミミックさんがフォローしようと横にやってきた。


「ラヴァン先生、残念ですが私の懸念は当たってしまったようです。あそこにいる人物の正体は……、」

「おおーっと! イケナイ! 種明かしはやめてくれ給え、ミミック君! ボクの商売を潰してしまうつもりかい? 勘弁して欲しいな。ドッキリってのは仕掛け人がやるから面白いんだよ!」


 幻惑さんが更にキャラ崩壊を起こしている。あんな風にはっちゃけた人じゃなかったのに。どんどん狂っていってるような気がする。もうホント、悪魔じみた恐い表情をしている。そこから更に顔を真上に上げた。あり得ない角度で上を向いている。骨が折れてるんじゃないかってくらいに……。


「……ぐぇ!?」


 幻惑さんはイヤな声を上げた。死んだ時みたいなイヤな声。断末魔って言うヤツ? 首の角度的にあの状態は確実に死んでるはず。人間なら。口があり得ないくらい開き始めて、そこから変な物が飛び出ていた。……鳥のくちばし……?


「……ぐぼぁ!?」

(ズルズルッ!! ビチャッ!!)


 長いくちばしの次は鳥の頭が飛び出してきた! 白い頭……髪の毛みたいに頭の上の方は黒い模様が入っている。これって……アオサギ?


「……よいしょ、っと!」


 鳥の頭が出てきたかと思ったら、そこから一気に体が出てきた。まるで服でも脱ぎ捨てるかのように、鳥の頭を持った人間が幻惑さんの体から出てきた。何か道化師みたいな格好をした女の人だ。体の線がハッキリとわかるような派手な服を着ている。スタイルのいい美人……とは言っても頭はアオサギ。どう見ても人間じゃなかった。


「どうだい? みんなビックリしたんじゃない? これはもちろんロスト・ワード君の本物の体だよ。幻術じゃないから。種も仕掛けもゴザイマセン!」


 質の悪い冗談みたいだった。人の体を着ぐるみみたいにしてたなんて……。趣味が悪すぎる。幻惑さんの体は全身の骨が抜き取られたみたいにグタッと地面にうち捨てられている。だんだん気分が悪くなってきた……。


「……う、うえぇっ!?」

「ああっ、お嬢さんフロイライン!! しっかり!」


 気持ち悪くなり吐き出して倒れそうになったところをジュニアが抱き止めてくれた。


「おおっと!? ゲロっちゃったみたいだね。楽しんでくれてるみたいで嬉しいよ!」

「こんな質の悪い事を……よくも!!」

「おお、恐い恐い! 彼氏さんかな? 彼女思いで初々しいね!」

「ファニー・デビルですね? あなたは。デス・メッセンジャー配下の。」


 ミミックさんは鳥人間の正体に気付いていたみたい。デス・メッセンジャーって、メチャクチャ強いっていう魔王じゃなかったっけ? ここに封印されてるヤツと同じじゃん!


「そうさ、ボクの名はエフェメラ・アイローネ。またの名を…陽気な道化師ファニー・デビル!!」
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