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第1章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【学院編D・L・C】
第56話 不死鳥は何度でも蘇る。
しおりを挟む「ジュ、ジュニアーっ!?」
リキシィが脳筋魔術師を倒して、後は他のヤツを倒して楽勝かな、と思ったら、そうはならなかった。ウチらの暫定エースのジュニアがやられそうになっていた。
「ハハハ、貴様らの仲間は死んだ! たった今火葬を行っているところだ。」
「ウソだ! ジュニアがアンタみたいなのに負けるもんか!」
「現実を見な。もう手遅れだ。俺の炎に焼かれて死ななかったヤツなんていない。敵に対してわざわざ火葬までやってるんだ。むしろ俺に感謝するべきだな。」
何か質の悪い冗談みたいだった。さっき見たときは勝てそうな感じだったのに、一転して負かされるなんて考えたくなかった。
「さあ、次は貴様らの……って、ヴィーナス! Ms.リーマン! やられたのか!」
脳筋が倒された所は見ていたからわかるけど、ローラが裏切り先生を倒していたのには気付かなかった。見てみると、ローラの足元には首が転がっている。腕からカマキリ剣が出ているから、一思いにスパッとやっちゃったんだろう。味方だから良かったけど、あの子そういう事さらっとやっちゃうから恐い。敵じゃなくて良かった。あと、あの怪しいオジサンは敵二人と何やら話をしているだけみたい。何してるんだろ? 二人を足止めしてくれてるんだから、やられるよりはいいのかも。そういう意味では凄くない?
「ガキ共にやられるとは情けない奴等め! 代わりに俺がガキ共全員まとめて灰にしてやる!」
ファイヤーなんとかさんはフリーになっている二羽の火の鳥をウチらの所にけしかけようとしていた。最初の時はオジサンが吹き飛ばしてくれたけど、ウチらにナントカ出来るのか、コレ? あんだけデカい火の塊を相殺するのは大変なのに、二つもいたらどうにもならないよ!
「みんな仲良く灰になっちまいな!」
一羽の火の鳥がウチら目掛けて飛んできた。すかさずリキシィがウチを庇うように立ちはだかった。でもさすがにリキシィがどんだけ強くても火の鳥に焼かれちゃうと思う。コレを防ぐ手がないんだもん……。
「キシャァァァァッ!!!」
「……どうした? 何故、そこで止まる? 言うことを何故聞かないのだ?」
ウチらの手前で火の鳥が止まった。ピタッと。魔術が言うことを聞かないなんてことあるの?コントロールを間違えたとかならありそうだけど、生き物の姿にして操りやすくしたコレでなんでそんなことが起きるのか、ワケがわからなかった。
「キシャァァァァッ!!!」
「待て! 何故、俺の方を向く? お前が倒すべき相手はそこにいるだろう?」
「……倒すべき相手はあなたです。」
火の鳥がしゃべった! この声はジュニアだ! 何が起きたの? 死んで火の鳥に生まれ変わった? でも、敵の魔術が生み出した物だからそんなことが起きるはずない。あれこれ考えてたら火の鳥がジュニアの姿に変わっていった!
「ジュニア!」
「心配をかけてすみません、お嬢さん。僕はもう負けません。」
「何故だ! 貴様は燃え尽きたはず! 燃え尽き……ハッ!?」
「あちらで燃えているのは僕のコートです。炎の幻術、バーニング・ヘイズ。見様見真似で再現してみました。」
「俺の魔術の真似だと!?」
さっきまでジュニアが燃えていると思っていたのに、燃えていたのは上着だけだった。見間違い? そうじゃなくて本当にそう見えていただけだった? 炎の魔術で幻術みたいなことが出来るなんて思わなかった。
「馬鹿な! しかし、炎で受けた傷だけは治らないはず!」
「再生の炎ですよ。フェニックスは炎の中から蘇るんです!」「あの伝説の魔術をやったというのか! 貴様のような小僧が! 俺でさえ再現できなかったというのに!」
何が起きているのか理解できなかった。炎で傷が治る? そんなこと出来るの? でもジュニアはそれをやった。実際に起きてるんだから難しい理屈なんて考える必要はないか。同じ属性なら魔力に変換して取り込むことは出来るって言うし。そういう原理なんだろう。
「ええい! こんなものはまぐれに決まっている! 二度も三度も起こせないことを思い知らせてやる!」
ファイヤーさんは残りの一羽に加えて、もう一羽火の鳥を作り出してジュニアへけしかけた。蘇ったジュニアも追従剣を展開してあの技を出そうとしていた。ジュニアはコレで決着を付けるつもりなんだ!
「赫灼の雨!!」
火の鳥は剣で切り刻まれていく! 実体はない火の鳥だけど、斬られる度に姿がぼやけていって、最後は只の火の塊になっちゃった! そしてそれはジュニアの剣に取り込まれてしまった。完全に吸収して自分の物に変えちゃったんだ!
「馬鹿なぁ!? 俺達がこんな所で……、」
ファイヤーさんは最終的にジュニアの剣でバッサリ斬られて、元は自分の放った炎で焼かれる羽目になった。昔はクソ強いとか言われてたらしいけどやっぱ、ずっと封印されていたから今のウチらに対応しきれなかっただろう。こんな老害にはなりたくないな。
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