【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~

Bonzaebon

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第1章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【学院編D・L・C】

第32話 “七人”だったはず……?

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「何故、僕達に攻略をさせるんでしょう? 攻略自体は彼らの方が優位なはずなのに……。」 

 
 ダンジョン攻略は次第に進み、現在は第四階層の封印を解いて第五階層へと向かおうとしているところだった。進む毎に次第に敵やトラップも強力になっていき、疲労も溜まってきていた。その前に傷の治療と体力回復のための休憩を取っているところだった。それでもグランツァ君は耐えきれず、思わず悪態を口に出してしまった。


《知りたいか? まず第一に貴様らの実力を測るためだ。今現在の主流の戦法を知ることで、対処法を構築しやすくする。》


 彼らは伝説の魔術師。とはいえ数百年の前の人間ということもあり、今現在の魔術のレベルや知識、世界情勢には疎いという弱点がある。そのためにアンネ先生と結託しているのだろうし、私達の戦う姿を見ることで、その戦い方を分析することが出来る。このダンジョン攻略後の展開も見据えて行動しているみたい。


《第二に、我々も強さに自信はあるが万が一ということもある。消耗も出来るだけ押さえたいのだ。》


 援軍、クルセイダーズ以外の救援もあり得るかもしれない。賢者の石を入手後、ラヴァン先生とトープス先生もここへやってくるかもしれない。そのための交渉材料として私達の存在も上乗せさせられるかもしれない。そうなるとますます不利な状況になる。それまでに何か策を考えておかないといけない。でも、他にも気になることがある。それは……、


「あなた方は“七人”だったはずですよね? 先程、一人少ないように感じましたが……?」

《フフ、どうしてだろうな? 最初から七人いたのかもしれんし、七人もいなかったかもしれない。さあ、どうだろうな?》


 わざと答えをぼかしている。七人目の存在を敢えて曖昧にすることで、私達の不安を煽ろうとしている。おそらく何らかの重大な秘密を隠しているのかもしれない。もしかしたら残りの一人が迷宮の外で、ラヴァン先生達や学長の動きを監視しているのかもしれない。


《さあ、休憩はそこまでだ。さっさと次の階層へ行け! 時間は無限にあるわけではないのだぞ。》


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「何よ、アレ! ズルすぎない? これじゃ前にも進めないよ!」

「オイが思い切って活路を開くバイ!」

「ダメです! いくらあなたでも、矢で蜂の巣にされてしまいます!」


 第五階層から更に攻略が困難になってきた。第一階層の最後に待ち構えていた強固で大柄なゴーレムが標準で配備されるようになっていた。一方で小柄なゴーレムは援護専用として割り切った配置がされていて、クロスボウや下級の攻撃魔法で的確に攻撃を加えてきた。しかも、迷宮の地の利を生かして、大柄なゴーレムが行く手を阻むので、先に排除することも出来ない。


「いっそ、ここは僕が……、」

「待って! 私ならなんとか出来るかもしれない。」


 ここまで闇の力は使わずに温存してきた。この力は公にするわけにはいけないから。特にD・L・Cの人達に知られるのはリスクが大きいと思っていた。使用できることがわかれば彼らにも警戒されてしまうだろうし、悪用させられる危険もある。でも、もうそういう事を考えている場合じゃない。このままだと誰かが犠牲になってしまうかもしれないから。


「みんなはここにいて! 私が活路を開いてみせる!」

「無理をしてはいけません! Mrsフラウ・グランデ!!」


 グランツァ君の制止を聞かず、私は決死の覚悟で飛び込んでいった。襲い来る巨躯のゴーレムを足場代わりにして、その後方へと飛び込んだ。当然、後衛のゴーレム達はクロスボウを一斉に私へと向ける。このままでは普通に矢で針のむしろにされてしまうだろう。そう、普通なら。


「アクセレイション、円旋封壊!!」


 周りから矢が放たれるよりも早く、アクセレイションで身を屈め、大鎌を円弧を描くように一閃させた。援護用のゴーレム達はこれで一掃できた。次は巨躯のゴーレム達が大斧を振りかざして迫ってきていた。


「ハイス・ロット・レーゲン!!」

「鎧袖一触捻り!!」


 次は……と思っていた所へ味方の援護が入った。全て私が全力を出せば全てを一掃できると思っていたのに。とはいえ二人には感謝しないといけない。


「無理はしないで下さいよ。この中では一番強いのはあなたなのは承知していますが、ある意味切り札でもあるんですから。あまり思い詰めてはいけませんよ。」

「そうかもね。あまり全てを見せてしまうと、後で不利になってしまうかもしれない……。援護、ありがとう。」


 連携で敵の防衛網を突破して安心していると、管制室から私の行動に関して話し合っているのが聞こえてきた。


《アクセレイション? 何故、あの娘は魔族の技を使える? 説明してもらおうか、ミス・リーマン?》

《あの娘は以前、デーモン・コアの欠片を体に有していたことがあるのですよ。》

《ほう、なるほど。面白い人材を見つけてしまったな。利用価値はありそうだ。》


 ファイアー・バードが意味深な発言をした。私が闇の力を使える事を利用しようと考えている? 確かに珍しい使い手なのは自覚しているけれど、何か裏がありそう。
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