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第1章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【学院編D・L・C】
第26話 裏社会で出回っている……?
しおりを挟む「あれは確か……邪竜レギンが所有する財宝の一つでは?」
ラヴァン先生が有名な伝説を口にした。知識のある人なら大抵知っている伝説だ。ロアやサヨさんから聞いたから、私は所在を知っている。他言無用という条件で、私自身もドラゴンズ・ヘヴンに関係した人間だからということで話を知らされた。ヴァル・ムングが魔法の鍵で竜の隠れ里の結界を破ったそう。里の存在も公にされていないので、極秘情報となっている。
「伝説上ではそう語られているな。正確には所在はわからん。それにも関わらず、レプリカが裏社会で出回っているという噂がある。真偽は定かではないがね。」
ドラゴンズ・ヘヴンは裏社会の組織と繋がっている。盗賊ギルドや暗殺ギルド、海賊などとも繋がりがあると噂されている。それらの組織を通じて取引し、資金源としている可能性は高そう。
「しかも封印が解けてから、彼らが計画を実行するまでタイムラグがあった。その間に手に入れている可能性もある。」
あれから二週間程度経っている。封印が解けたのが前学長がなくなった直後と考えると、何らかの準備をしていたのかも。
「その他の懸念として、彼らに協力する存在がいることも挙げられる。彼らは今の時代の知識は乏しいはずだ。その割には事をスムーズに運びすぎている様に思える。もし協力者がいると仮定すれば合点がいく。警戒はした方がいいだろうな。」
前学長の関係者といえば、シルヴァンとゴルディアン、そして、アンネ・リーマン先生が挙げられる。彼らはあの事件の後、行方不明となっている。学院を離れた可能性もあるけれど、もしかしたら、事件に関わっているのかもしれない。D・L・Cに協力し、ロアや私達に対して、報復を考えていても不思議じゃない。
「それでは作戦を実行するとしよう。諸君らの健闘を祈る!」
私達は二手に分かれて事件に対処することになる。外部からの支援と勇者不在のまま学院の命運をかけた戦いを始めることになった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「普通はこんなところにダンジョンがあると思わないよね~。」
「だからこそ今まで存在を気付かれずに済んだんだと思うよ。誰にも気付かれずに、封印を監視し続けないといけないから。」
魔神の迷宮は学院の旧大書庫に存在していた。この学院の中でも一、二を争う古さの建造物。ダンジョン入り口を偽装するため、ダンジョンの監視所としての役割を作るために建造されたと、フォグナーさんが道中に説明してくれた。現在、書庫としては使用されておらず、立ち入り禁止となっている。あくまで表向きは。
「迷宮は地下五階からとなっていますが、警戒はしておいて下さい。彼らが罠を仕掛けている可能性があります。」
いくらフォグナーさんでも新たに設置された罠まではわからない。途中までは只の書庫だからといって警戒を怠ると痛い目を見る。
「ふっるい書庫なんでしょ? 中には年代モノの本とかいっぱいありそう! 売ったら結構お金になるんじゃない?」
「目的を忘れないで下さいよ? 我々の目的は立てこもり犯を捕縛または討伐する事にあるのですから。」
「ただの探索でもダメよ。ここは学院の施設なんだから。」
「ちぇーっ!」
ミヤコちゃんの言動を私とフォグナーさんが窘めた。罠そのものともいえるフォグナーさんが人を窘めるのはかなりシュールな光景だった。古代から存在する遺物だからこそ出来ることなのかもしれない。
「先程も見たとおり、正面玄関はすでに破られた形跡があったので、こちらの緊急用の裏口を使います。」
フォグナーさんは建物の入り口に施されたカモフラージュを解除した。何もない壁のところにドアが現れる。玄関側も偽装はされていたけれど、不自然な所はいくつかあり、幻術でうまく破壊の跡を隠していた。最近施された物だったため、おそらく犯人はD・L・Cだと思う。そのまま入ったら罠にかかってしまうのは目に見えてる。
「裏口? 従業員以外お断り、スタッフオンリー的なところ?」
「う~ん、それだと表現が近代的すぎますが、簡単に言うとその様な所です。非常時用の出入り口が用意されているのです。これならば彼らに感知されにくいと思います。」
こちらは正面玄関とは違って、見つかって侵入された形跡がない。だから、D・L・Cにも見つかっていないはず。ここなら比較的安全かも。とはいえ警戒はした方が良さそう。未発見を装っているだけかもしれない。
「じゃあ早く入ろ! 行くぞ、伝説のダンジョンのバックヤードツアー!」
「お嬢さん、遊びに行くんではないですよ!」
「いいじゃん! 硬いことゆーな!」
これから本当の戦いが始まる。その硬くなりがちな雰囲気を和らげてくれているんだと思いたい。ミヤコちゃんも考え無しに行動することは少ないし、結構、ちゃっかりしてるから……。
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