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第1章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【学院編D・L・C】

第25話 不老不死研究の賜物

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「不老不死研究の賜物……。その様な物が存在していたんですね。」


 千年ほどの長い月日を生きてきた前学長が研究の末に生み出した物。それ自体が本当に効果のある物かどうかはわからないけれど、存在自体はみんな疑問には感じていないみたい。彼は実際に違う方法で擬似的な不老不死を手に入れていたのだから。


「それは一体どこに?」

「それが問題なのだよ。在処については誰も知らない。只、フェルディナンドが所有していたという情報しかないのだ。」

「そんな……。」


 実際に要求された物を手渡すことはないだろうけれど、もしもということもあるので準備はしておいた方がいい。渡すのも危険だけれど、魔神達が解き放たれる方が遙かに危ない。対処は難しいけれど、出来れば双方を阻止したいと学長は考えているはず。


「そこで私は考えた。ここに集まった諸君を2グループに分けて事に当たってもらおうと思う。一方はD・L・C対処のために迷宮に侵入、もう一方は学院にて賢者の石捜索。それでも良いかな?」


 一同全員が頷いた。みんなそれが最善の策だと考えているのだろう。本当なら賢者の石を持参の上で迷宮に赴くべきなんだろうけれど、D・L・C側もおとなしく待っていてくれるとは限らない。


「賢者の石捜索はトープス君とラヴァン君に当たってもらおうと思っているが、異論はないかね? 教員であり学院に長年いる二人の方が捜査はしやすいだろうからな。」

「そうですね。私達が事に当たった方が一般の目に付きにくいはず。これは極秘任務ですし、混乱を与えずに済みそうですしね。」


 この事件はまだ一部の人間にしか知らされていない。下手に公開すると、学院全体がパニックになってしまうことも考えられる。この前に大変なことがあったばかりなのに、更に刺激してしまったらと考えると、それが無難だと思う。


「迷宮に挑むのはフォグナー君以外は若者ばかりになってしまうが、良いかな?」

「構いません。僕やヴォルフさんはクルセイダーズの人間です。例え二人でも挑むつもりでいます。」

「オイドンも力添えさせて頂くつもりですたい。」


 二人はクルセイダーズでの実績もあるし、デーモンとの戦闘経験もある。もし、デーモンの封印が解かれていたら、彼らの力は必須になると思う。それは私も同じ。私
はある意味デーモンと同じ様なものなのだから。


「私も加わるわ。勇者が不在の今は、パートナーである私が代わりに事に当たります。」

「お姉様が迷宮に挑むのならば、私もお供致します。新たなボディを手に入れたのですから、それを十分に生かすべきとも考えています。」「みんな行くんだったらウチも行くよ。時代遅れの馬鹿共を成敗したいし。」

お、お嬢さんフ、フロイラインは控えておいて下さい! 何かあったらどうするんです!」

「でも、回復役は誰もいないよ? ウチがいかないと全滅するかもしれないじゃん!」

「それはそうですけど……。」


 ローラはともかく、ミヤコちゃんには参加を控えて欲しいのだけれど……。本人はやる気になっているし、回復魔術を使えるのはこの中では彼女だけ。


「フォグナー君、彼らを豊富な知識・経験で補ってやってくれ。」

「存じております。迷宮の構造やトラップに関しては私の力が役に立つはずです。何しろあの迷宮は私が生み出された時代の遺物ですからね。」


 フォグナーさんは現存する最古のミミックとも言われている。彼自身が迷宮や宝物庫のセキュリティだったとも言えるので、仕掛けの傾向や構造に詳しいはず。


「ハイハイ! 学長せんせーに質問! 私達以外に応援とか呼ばなかったんですか? クルセイダーズとか? この前も来てくれていたのにダメだったの?」

「それは無理なのだ。通常ならば通信魔術を使って要請することも出来るが、今は出来ない。この学院は今、外部と魔術的に遮断された状態にあるからだ。」

「遮断? 妨害されてるの?」

「左様だ。転移魔術による出入りも不可能な状況だ。おそらくはD・L・Cメンバーの一人、ロスト・ワードの仕業だと考えている。事件発覚の昨日からこの状況だ。早馬を走らせて要請に向かっているが、すぐには到達出来んだろうな。早くとも、三日以上はかかると見た方がよい。」


 元々、学院とクルセイダーズとの関わりは少ない。その背景には教団と魔術師協会との不和があるとされているけれど、とにかく双方共に介入を拒んでいる。今はフェルディナンドがいなくなったので、多少その関係性も緩和されると思うけれど、まだ時間はかかるはず。


「それはわかったけど、もっと重大な事に気付いちゃったんだけど?」

「それは何かね?」

「封印ってさ、基本、封印した人にしか解けないはずなのに、D・L・Cは解くって脅してきているんでしょ? おかしくない?」

「基本的にはな。だが彼らも出鱈目な言動をするとも思えん。何らかの解除方法を知っているのだろう。世の中には“魔法の鍵ディスペル・キー”と呼ばれるマジックアイテムも存在する。方法が全くないとは言い切れんのだよ。」


 違法な解除手段……。例えば、八刃の様な武術の技とかもある。それは私やロアといった一部の人間だけだけど、羊の魔王の様に勇者の剣を破壊する能力を持っている場合も考えられる。用心はしておいた方がいいのは間違いないと思う……。
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