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第1章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派Ⅱ【学院編D・L・C】

第23話 ダンジョン立て籠もり事件

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「この学院のダンジョンの一つを占拠するグループが現れたのです。しかも、前学長が所有していたと言われる“賢者の石”の譲渡を要求してきているようです。」


 ダンジョン立てこもり事件が発生? 一体誰が、何のために? それに加えて“賢者の石”って何? わからないことだらけなのでローラの話を聞いてみるしかなさそう。


「ちょ!? ローラ、突然すぎて意味わかんないよ! ダンジョンに引きこもったからなんなの? そんなの無視しちゃえばいいじゃん!」

「そういうわけにもいかないのです。あのダンジョンには強力な魔神が封印されているのです。占拠したグループは要求に応じなければ魔神を解き放つと脅迫してきているのです。」

「なにそれ!? 破れかぶれの犯行じゃん!」


 ミヤコちゃんは知らないみたいだけど、私はそのダンジョンの噂を聞いたことがある。学院の中にはいくつか危険な存在を封印したダンジョンが存在していると。それは禁忌を犯した魔術師だったり、伝説の魔獣や、今回のような魔神が封印されているみたい。古い物も多いため真偽は定かではなかったみたいだけれど、少なくとも一つは本物だったというわけね。


「で、その陰キャオーラ出しまくりな引きこもりグループって何者?」

「ミヤコちゃん? 印象だけで決めつけるのは良くないよ?」

「陰キャ……かどうかは存じませんが、恐るべき存在なのは確かです。彼らは前学長に封印されていた七人の禁忌の魔術師、デッド・ランド・カンパニーD・L・Cと呼ばれている者達なのです。」


 それは正に聞いたことのある噂のうちの一つだった。学院の革命を名目に学長に反旗を翻した七人の魔術師がかつていたと。数百年前の話のはずだけど、前学長の実体を知った今なら納得できる話ね。


デッド・ランド・カンパニーD・L・C? なんかイキった駆け出しの冒険者みたいなネーミングセンス! かっこ悪い~!」

「ミヤコちゃん……。」

「そういうイメージを持たれるかもしれませんが、一人一人がそれぞれの分野に優れた魔術師なのです。侮ってはいけませんよ。」


 元々は前学長フェルディナンドお抱えの側近の魔術師だったと思う。それがいつしか彼らの関係にヒビが入り、争い合う事態にまで発展した。最終的にフェルディナンドに敗れ、何処かのダンジョンに封印されたという……。大体、こういう流れの話だったはず。


「構成メンバーは瞬雷のサンダー・ボルト、爆裂のバニッシュ、岩壊のヴィーナス、千里眼のロング・フォース、死呪のラスト・ステイク、幻惑のロスト・ワード。そしてリーダーの獄炎のファイアー・バード。この七人がダンジョンに立てこもっているのです。」

「うわ~! ありがちな設定~。もっとひねれよ!」

「実は良くあるお話のモデルになったのは彼ららしいわ。そのありがちの設定の原点よ。」

「ええ~? 実在する人達が元ネタだったの? 本物がダサいって一番白けるパターンじゃん。」

「ミヤコちゃん? 彼らは別におもしろおかしいことをする集団ではないのよ?」

「でも、インフルエンサーのウチからしたら、あり得ないもん。ダサいもんはダサい!」


 今時の若い子に否定される伝説の存在……。今回、この娘は関わらせない方がいいかも。下手するとご本人達を目の前にして批判をしかねないから……。それ以前に危険だから関わらせたくないけど。


「コホン!」


 私とミヤコちゃんが元のネタ論争を繰り広げる中、突然ローラは咳払いをした。少しローラは困っているみたい。真面目に話を聞かないと……。


「ゴメンね、ローラ。話の腰を折っちゃって。」

「どうかお気になさらずに、お姉様。では気を取り直して、お話の続きをさせて頂きます。この話をお二人に聞いて頂いたのには理由があります。」

「その理由って……?」

「お二人に討伐隊に参加して頂きたいのです。」

「キタ~~!? 討伐クエスト来たよ、コレ!!」


 やっぱりそうなのね。薄々、そうじゃないかと思ってた。勇者ロアがいない今、私に声がかかるのは必然なように感じる。ましてや、この前の戦いに大きく関わっていたし、生還しているのだから、協力を求められてもおかしいことじゃない。


「いいよ、別に? ダサい連中に天誅! 怒りの制裁発動だ!」

「ちょっと、ミヤコちゃん! あなたは危険だから待機しておいて、お願い!」

「え? 危険? 問題児? そこまで言われたんならしょうがない! ミヤコ様が時代遅れの馬鹿共をお仕置きしてやる!!」

「そういう意味じゃなくて……。」

「ではひとまず、対策本部にいる学長の元へ向かいましょう。参加するかしないかはそちらで決めて頂くということで……。」


 止めようとしたら逆にミヤコちゃんの心に火を付けてしまった! こうなったらこの娘を止められる物は何もない。なんとかして彼女が危険な目に会わないようにサポートしないと……。
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