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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】
第326話 弱いヤツ、みーつけた!
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――――数日前。
「案外使えないヤツだったな、あの学長。」
「長生きしていたとはいえ、所詮はただの老人だったということよ。」
俺とリンは学院から撤退する事を決めた。学長との戦いのどさくさに紛れて勇者を抹殺する事も考えたが断念した。周囲の人間が厄介者揃いだったので、それら全てを相手にするのは危険だと判断したからだ。
「まさか、ドラゴンズ・ヘヴンの首領が現れるとは思わなかった。」
「しかも腹心と言われる邪竜も一緒だったわ。彼らを相手にするのは割に合わない。パトロンからもっと報酬をもらわないとやる気にはならないわね。大物中の大物だもの。」
「勇者に加勢するために出てきたみたいだな。敵対しているはずの勇者にそこまでするとは思わなかったぜ。」
ヤツらのスパイが学院にいるのは感知していたし、捕らえもした。それだけなら良かったが配下の東洋人も現れ、俺達と交戦した。そいつが聞いていた情報よりも遙かに手強く、不覚を取ってしまった。“魔骸布”を損傷させられるとは思いもしなかった。
「早くあのお方に報告しなければいけないわね。勇者以外に警戒しないといけない人間が多かったもの。」
「そうだな。早いとこずらかろう。こんな場所とはおさらばだ……、」
こちらを見ているヤツがいる。人気の無いところにいたはずが、いつの間にか捕捉されていた。アイツは確か……勇者と一緒にいたゴリラ野郎だ!
「よーわいやーつ、みーつけた!!」
「なんでお前がこんなとこにいる?」
「きひひ! こんなところでイチャイチャしてたら……ぶっ殺したくもなるだろうが? もれなく爆発させてやんよ!」
ヤツは死んだはずじゃなかったのか? 三日程前にタルカスに殺されたはずだし、その後もコイツが真っ二つになる様子も確認していた。この野郎は人間なのか? それともソックリなのが何人かいるのか? そうじゃないと説明がつかない。
「とりあえず雷小僧は死んどけ! ぶるわぁぁっぁぁっ!!!」
「死ぬのはお前だ!」
ゴリラ野郎は血走った目をこちらに向けながら魔獣のように襲いかかってきた。俺は迎え撃つため、“金の魔骸布”の兜を被り戦闘態勢に入った。こんなゴリラは俺が殺してやる! 初対面の時からイチャモンを付けてきたコイツは勇者よりも許しがたい存在だった。
「爆、竹撃!!!!」
(ドゴォォォアアアン!!!!!!)
ヤツは剣を振り下ろし、爆炎を発生させた。並みの人間なら即死だろが、当然魔骸布には傷一つ付けることは出来やしない。喰らって怯んだと見せかけ、アヴェリオンを発射準備をした。
「爆発の礼だ。コイツを食らいな!」
(ズドォォォォォォン!!!!!!)
これはただの爆発で済まされない。食らえば誰であろうと消滅する破壊の術式だ! どんな手段を使おうと防ぐことは出来ない。発動した以上は止めることが出来ないのだ。ざまあみやがれ……?
「ざぁんねん!! 俺ッチには効きましぇ~ん!!」
破壊の閃光はあらぬ方向へとねじ曲げられ、ゴリラ野郎には命中しなかった。ヤツの周りには何やら黒いモヤが発生している。これはまさか……タルカスが開発した“相転移力場”か!
「なんでお前がそれを使えるんだ!」
「俺ッチに不可能はありましぇ~ん!! なんか適当にやったら成功した! つまり俺ッチは天才ってこと!」
そんな馬鹿なことがあってたまるか! あの魔術は開発するのに数百年近くかかっている。そんな簡単に真似る事が出来る代物じゃない。
「とりあえず、死ね☆ 爆熱……爆刃!!!」
「こんなヤツを相手にしている暇はない。この場は引くわよ!」
リンは俺の手を引き瞬間移動でゴリラから離れた。遠くで爆裂音が響いている。一歩遅れていたら爆発に巻き込まれていただろう。とはいえ、あんな物は効かないけどな。
「逃げなくても、アイツには勝てたはず! なんで逃げた?」
「わからないの? あの技は勇者の技と同じ。魔骸布では防げないわ。一回目の攻撃はワザと防げるような攻撃にしていたのよ。」
「あんなゴリラにそんな高等な戦術が使えるわけが……。」
「甘いわね。アレは馬鹿を装ってるだけよ。アレは“羊”の手の者よ。油断してはいけない。」
アイツが……? しかも勇者の仲間のフリをしたスパイだったのか? 信じがたい事実だ。
「得体の知れない敵を相手にするのは危険すぎる。とにかく今は無事に撤退することを考えるのよ。」
「そう…だな。こんなところで死ぬわけにはいかないよな。」
これから俺はリンに付いていく。この学院とはおさらばだ。あの勇者を倒すためには手段を選ばない。だから、リンのパトロンに従うことにした。気に入らないアイツは必ず俺が倒すと誓ったんだ。あの時の屈辱を晴らすために……。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『ただ戦って相手を倒す事は正しいのだろうか?』
それに答える者は誰もいない。答えがあるかどうかもわからない。
ただ、答えを断定し、思考停止するのは何か違うような気がする。
第二部、完。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
最後までご愛読いただき、誠にありがとうございます。
気に入って頂けましたら、感想、レビューをお願い致します。
今後も勇者参上シリーズは続きます。第3部は↓のリンクからです!
【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~
https://www.alphapolis.co.jp/novel/937348841/872904770
「案外使えないヤツだったな、あの学長。」
「長生きしていたとはいえ、所詮はただの老人だったということよ。」
俺とリンは学院から撤退する事を決めた。学長との戦いのどさくさに紛れて勇者を抹殺する事も考えたが断念した。周囲の人間が厄介者揃いだったので、それら全てを相手にするのは危険だと判断したからだ。
「まさか、ドラゴンズ・ヘヴンの首領が現れるとは思わなかった。」
「しかも腹心と言われる邪竜も一緒だったわ。彼らを相手にするのは割に合わない。パトロンからもっと報酬をもらわないとやる気にはならないわね。大物中の大物だもの。」
「勇者に加勢するために出てきたみたいだな。敵対しているはずの勇者にそこまでするとは思わなかったぜ。」
ヤツらのスパイが学院にいるのは感知していたし、捕らえもした。それだけなら良かったが配下の東洋人も現れ、俺達と交戦した。そいつが聞いていた情報よりも遙かに手強く、不覚を取ってしまった。“魔骸布”を損傷させられるとは思いもしなかった。
「早くあのお方に報告しなければいけないわね。勇者以外に警戒しないといけない人間が多かったもの。」
「そうだな。早いとこずらかろう。こんな場所とはおさらばだ……、」
こちらを見ているヤツがいる。人気の無いところにいたはずが、いつの間にか捕捉されていた。アイツは確か……勇者と一緒にいたゴリラ野郎だ!
「よーわいやーつ、みーつけた!!」
「なんでお前がこんなとこにいる?」
「きひひ! こんなところでイチャイチャしてたら……ぶっ殺したくもなるだろうが? もれなく爆発させてやんよ!」
ヤツは死んだはずじゃなかったのか? 三日程前にタルカスに殺されたはずだし、その後もコイツが真っ二つになる様子も確認していた。この野郎は人間なのか? それともソックリなのが何人かいるのか? そうじゃないと説明がつかない。
「とりあえず雷小僧は死んどけ! ぶるわぁぁっぁぁっ!!!」
「死ぬのはお前だ!」
ゴリラ野郎は血走った目をこちらに向けながら魔獣のように襲いかかってきた。俺は迎え撃つため、“金の魔骸布”の兜を被り戦闘態勢に入った。こんなゴリラは俺が殺してやる! 初対面の時からイチャモンを付けてきたコイツは勇者よりも許しがたい存在だった。
「爆、竹撃!!!!」
(ドゴォォォアアアン!!!!!!)
ヤツは剣を振り下ろし、爆炎を発生させた。並みの人間なら即死だろが、当然魔骸布には傷一つ付けることは出来やしない。喰らって怯んだと見せかけ、アヴェリオンを発射準備をした。
「爆発の礼だ。コイツを食らいな!」
(ズドォォォォォォン!!!!!!)
これはただの爆発で済まされない。食らえば誰であろうと消滅する破壊の術式だ! どんな手段を使おうと防ぐことは出来ない。発動した以上は止めることが出来ないのだ。ざまあみやがれ……?
「ざぁんねん!! 俺ッチには効きましぇ~ん!!」
破壊の閃光はあらぬ方向へとねじ曲げられ、ゴリラ野郎には命中しなかった。ヤツの周りには何やら黒いモヤが発生している。これはまさか……タルカスが開発した“相転移力場”か!
「なんでお前がそれを使えるんだ!」
「俺ッチに不可能はありましぇ~ん!! なんか適当にやったら成功した! つまり俺ッチは天才ってこと!」
そんな馬鹿なことがあってたまるか! あの魔術は開発するのに数百年近くかかっている。そんな簡単に真似る事が出来る代物じゃない。
「とりあえず、死ね☆ 爆熱……爆刃!!!」
「こんなヤツを相手にしている暇はない。この場は引くわよ!」
リンは俺の手を引き瞬間移動でゴリラから離れた。遠くで爆裂音が響いている。一歩遅れていたら爆発に巻き込まれていただろう。とはいえ、あんな物は効かないけどな。
「逃げなくても、アイツには勝てたはず! なんで逃げた?」
「わからないの? あの技は勇者の技と同じ。魔骸布では防げないわ。一回目の攻撃はワザと防げるような攻撃にしていたのよ。」
「あんなゴリラにそんな高等な戦術が使えるわけが……。」
「甘いわね。アレは馬鹿を装ってるだけよ。アレは“羊”の手の者よ。油断してはいけない。」
アイツが……? しかも勇者の仲間のフリをしたスパイだったのか? 信じがたい事実だ。
「得体の知れない敵を相手にするのは危険すぎる。とにかく今は無事に撤退することを考えるのよ。」
「そう…だな。こんなところで死ぬわけにはいかないよな。」
これから俺はリンに付いていく。この学院とはおさらばだ。あの勇者を倒すためには手段を選ばない。だから、リンのパトロンに従うことにした。気に入らないアイツは必ず俺が倒すと誓ったんだ。あの時の屈辱を晴らすために……。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『ただ戦って相手を倒す事は正しいのだろうか?』
それに答える者は誰もいない。答えがあるかどうかもわからない。
ただ、答えを断定し、思考停止するのは何か違うような気がする。
第二部、完。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
最後までご愛読いただき、誠にありがとうございます。
気に入って頂けましたら、感想、レビューをお願い致します。
今後も勇者参上シリーズは続きます。第3部は↓のリンクからです!
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https://www.alphapolis.co.jp/novel/937348841/872904770
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