313 / 331
第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】
第313話 手足はなくとも、まだ戦える!
しおりを挟む
「ううっ……あんまりだよ…こんなこと……。」
「この野郎! 絶対に許さねえ!」
俺がダルマ状態にされる前から、エルとファルは行動を制限されているみたいだ。俺が金縛りにされたみたいに。エルが俺の手足を回収出来たのは遠くへ吹き飛ばされたからでもある。おそらく学長はあえて取りに行ける状態にして、エルを弄んでいるのだろう。このままじゃ済まさない! こんな横暴をいつまでも許すわけにはいかない。
(バンッ!!)
「ぐっ!?」
その時、俺は頭を踏みつけられる感触がした。姿は見えないが、学長に決まっている。影というか風の姿でもそういう事が出来るとは器用なモンだな。さすが神様、ってか。
「今この状況で試してやろう。勇者の力を振るってみせよ! 奇跡とやらが神にどこまで対抗できるか実験してやろうじゃないか。」
無理難題を押しつけつつ、俺の頭をグリグリと地面に押しつける。ここまで意地の悪い敵は初めてだ。魔王、魔族でもここまで酷いヤツはいなかった。むしろ、彼らの方がまともとさえ思えてくる。神様っていうより、邪神、悪神と呼んだ方がしっくりくる。それをわかってんのかな、ご本人さんは?
「ほれ、早くしろ! 私はせっかちだから結果を早く求めたがるのだよ。やりにくいのであれば私が手伝ってやろう!」
「あっ……きゃあああっ!!!」
学長は金縛りで捉えた上でエルの体を宙に浮かせた。自分ばかりに標的が向くのかと思っていたら……今度はエルにまで危害を加えようというのか!
「貴様だけを苦しめただけでは、あまり苦痛を与えられないことに気付いた。だから、貴様の仲間、伴侶を傷付ければどうなるのかな? 一般的にはその方が有効らしいじゃないか。絆とか言う綺麗事というものは!」
(ザザザザザザザザンッ!!!!)
「うわぁぁぁぁぁっ!!!!」
「エルーーーーーっ!!!!!!!」
彼女は無残にも学長の起こした無数の鎌鼬で全身を切り刻まれた。当然の事ながら大量の出血も伴っている。俺の時とは違って出血も起きるような傷付け方をしている。
「ほう! さすがだな。魔王の欠片を受け継いだだけのことはある。並みの人間なら即死するほどのダメージを与えたのだがな。やはり、魔の力、闇の属性は興味深い物がある。次の研究対象にするとしよう。」
「やめろ! エルを傷付けるな! 傷付けるなら俺だけにしてくれーっ!!!」
(ザンッ!!)
「ううっ!!!」
「ああっ!? なんてことを!!」
学長はあろうことか、女性にとって大切な顔に対して傷を加えた。右頬に大きな切り傷。女性に対してこの仕打ちはあんまりだ! 鬼畜にしても度が過ぎている!
「何故、このような事をしたかわかるか? 貴様が口答えばかりで奇跡を起こさないからだ。当然の仕打ちだ。どれ、もっとやりやすくしてやろうか?」
「うあっ!?」
今度は左目をまぶたごと縦に切り裂いた! ただ傷を付けただけでなく、目まで傷付けた!
「やめろぉ!!!!」
「だったら、早くしろ。早くせねば、この女の顔は潰れてしまうだろう。そうさせたくないのなら、結果を出せ。この世は結果が全てなのだ。過程がどうあろうと結果が出なければ意味はないのだ!」
何か手はないのか? 実際、今は手どころか足さえもない。残っているのは体と頭のみ。ここから何かしないといけない。何も無くともどうにかしないといけない! でないと俺は……エルのパートナーとしての資格はない!
「うう……気にしないで、ロア……。私は簡単には死なない。死ねない体だから……。こんな傷くらい“魔王の復活”の力で何とかなるから……。」
確かにわずかだが全身の傷が再生し始めているのがわかる。彼女はまだ希望を捨てていない。俺と一緒に戦ってくれているんだ!
「そういえば……、」
俺はふと視線をあらぬ方向へと向けた。その視線の先には俺の剣が落ちていた。剣はほんのわずかに光を帯びていた。健気にも俺に居場所をアピールするように、諦めるなと言っている様にさえ思えた。
(俺はまだ戦える。まだ戦う手段はある!)
そう思った瞬間、剣は俺の近くまで引き寄せられるかのように移動してきた。でも、どうする? 手がないんじゃ剣は握れない。
(そうだ! 掴むだけなら、まだあるじゃないか!)
俺は剣を掴んだ。手以外の部分で! まだ、口っていう物が残っているんだ! これなら、なんとか剣を使える! ここからなら、なんとでもなる! 学長に手痛い反撃を入れてやれるはずだ。
「むっ!? いつの間に!? 剣を回収していたとは! だが、どうするね? 私に足蹴された状態でどう動くのかね?」
俺は腹筋、背筋の力を振り絞り、寝返りをうつ時の要領で回転を加え剣を振るった! 手足はなくとも、究極奥義は極められる!
(天破陽烈八刃斬!!!!)
剣を加えているため、口には出せなかったが頭の中で全身全霊を込めて叫んだ! この願いの一撃が学長の本体に届くように!
「この野郎! 絶対に許さねえ!」
俺がダルマ状態にされる前から、エルとファルは行動を制限されているみたいだ。俺が金縛りにされたみたいに。エルが俺の手足を回収出来たのは遠くへ吹き飛ばされたからでもある。おそらく学長はあえて取りに行ける状態にして、エルを弄んでいるのだろう。このままじゃ済まさない! こんな横暴をいつまでも許すわけにはいかない。
(バンッ!!)
「ぐっ!?」
その時、俺は頭を踏みつけられる感触がした。姿は見えないが、学長に決まっている。影というか風の姿でもそういう事が出来るとは器用なモンだな。さすが神様、ってか。
「今この状況で試してやろう。勇者の力を振るってみせよ! 奇跡とやらが神にどこまで対抗できるか実験してやろうじゃないか。」
無理難題を押しつけつつ、俺の頭をグリグリと地面に押しつける。ここまで意地の悪い敵は初めてだ。魔王、魔族でもここまで酷いヤツはいなかった。むしろ、彼らの方がまともとさえ思えてくる。神様っていうより、邪神、悪神と呼んだ方がしっくりくる。それをわかってんのかな、ご本人さんは?
「ほれ、早くしろ! 私はせっかちだから結果を早く求めたがるのだよ。やりにくいのであれば私が手伝ってやろう!」
「あっ……きゃあああっ!!!」
学長は金縛りで捉えた上でエルの体を宙に浮かせた。自分ばかりに標的が向くのかと思っていたら……今度はエルにまで危害を加えようというのか!
「貴様だけを苦しめただけでは、あまり苦痛を与えられないことに気付いた。だから、貴様の仲間、伴侶を傷付ければどうなるのかな? 一般的にはその方が有効らしいじゃないか。絆とか言う綺麗事というものは!」
(ザザザザザザザザンッ!!!!)
「うわぁぁぁぁぁっ!!!!」
「エルーーーーーっ!!!!!!!」
彼女は無残にも学長の起こした無数の鎌鼬で全身を切り刻まれた。当然の事ながら大量の出血も伴っている。俺の時とは違って出血も起きるような傷付け方をしている。
「ほう! さすがだな。魔王の欠片を受け継いだだけのことはある。並みの人間なら即死するほどのダメージを与えたのだがな。やはり、魔の力、闇の属性は興味深い物がある。次の研究対象にするとしよう。」
「やめろ! エルを傷付けるな! 傷付けるなら俺だけにしてくれーっ!!!」
(ザンッ!!)
「ううっ!!!」
「ああっ!? なんてことを!!」
学長はあろうことか、女性にとって大切な顔に対して傷を加えた。右頬に大きな切り傷。女性に対してこの仕打ちはあんまりだ! 鬼畜にしても度が過ぎている!
「何故、このような事をしたかわかるか? 貴様が口答えばかりで奇跡を起こさないからだ。当然の仕打ちだ。どれ、もっとやりやすくしてやろうか?」
「うあっ!?」
今度は左目をまぶたごと縦に切り裂いた! ただ傷を付けただけでなく、目まで傷付けた!
「やめろぉ!!!!」
「だったら、早くしろ。早くせねば、この女の顔は潰れてしまうだろう。そうさせたくないのなら、結果を出せ。この世は結果が全てなのだ。過程がどうあろうと結果が出なければ意味はないのだ!」
何か手はないのか? 実際、今は手どころか足さえもない。残っているのは体と頭のみ。ここから何かしないといけない。何も無くともどうにかしないといけない! でないと俺は……エルのパートナーとしての資格はない!
「うう……気にしないで、ロア……。私は簡単には死なない。死ねない体だから……。こんな傷くらい“魔王の復活”の力で何とかなるから……。」
確かにわずかだが全身の傷が再生し始めているのがわかる。彼女はまだ希望を捨てていない。俺と一緒に戦ってくれているんだ!
「そういえば……、」
俺はふと視線をあらぬ方向へと向けた。その視線の先には俺の剣が落ちていた。剣はほんのわずかに光を帯びていた。健気にも俺に居場所をアピールするように、諦めるなと言っている様にさえ思えた。
(俺はまだ戦える。まだ戦う手段はある!)
そう思った瞬間、剣は俺の近くまで引き寄せられるかのように移動してきた。でも、どうする? 手がないんじゃ剣は握れない。
(そうだ! 掴むだけなら、まだあるじゃないか!)
俺は剣を掴んだ。手以外の部分で! まだ、口っていう物が残っているんだ! これなら、なんとか剣を使える! ここからなら、なんとでもなる! 学長に手痛い反撃を入れてやれるはずだ。
「むっ!? いつの間に!? 剣を回収していたとは! だが、どうするね? 私に足蹴された状態でどう動くのかね?」
俺は腹筋、背筋の力を振り絞り、寝返りをうつ時の要領で回転を加え剣を振るった! 手足はなくとも、究極奥義は極められる!
(天破陽烈八刃斬!!!!)
剣を加えているため、口には出せなかったが頭の中で全身全霊を込めて叫んだ! この願いの一撃が学長の本体に届くように!
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
気づいたら隠しルートのバッドエンドだった
かぜかおる
ファンタジー
前世でハマった乙女ゲームのヒロインに転生したので、
お気に入りのサポートキャラを攻略します!
ザマァされないように気をつけて気をつけて、両思いっぽくなったし
ライバル令嬢かつ悪役である異母姉を断罪しようとしたけれど・・・
本編完結済順次投稿します。
1話ごとは短め
あと、番外編も投稿予定なのでまだ連載中のままにします。
ざまあはあるけど好き嫌いある結末だと思います。
タグなどもしオススメあったら教えて欲しいです_|\○_オネガイシヤァァァァァス!!
感想もくれるとうれしいな・・・|ョ・ω・`)チロッ・・・
R15保険(ちょっと汚い言葉遣い有りです)
第六天魔王と恐れられし男転生す〜〜剣と魔法の世界で成り上がれ〜〜
揚惇命
ファンタジー
かつて日の本に第六天魔王と恐れられ、最も天下に近かった男がいた。
その男の名を織田信長《オダノブナガ》という。
尾張という小さな国から天下を掴めるまでに成り上がった男は、信頼していた臣下の手によって、この世を去ろうとしていた。
燃え盛る炎の中、首を見つからせないため、キリスト教の奴隷商人から救い出した黒人の男の手によって、その命を捨てた。
思えば裏切られることの多い人生であった。
血を分けた弟に殺されかけ、大事な妹を託すに値すると判断した男にも裏切られ、保護して上洛を手伝った将軍にも裏切られ、何度も裏切りを繰り返す男にも殺されかけ、自分が見出した臣下に暗殺を謀られたこともあった。
そして、今最も信頼を寄せていた男にどうしようもないまでに追い込まれた。
彼は信頼する小姓からの報告を受け、呟く『是非も無し』と。
それは、最も信頼していた男を賞賛する言葉だった。
アイツならもうどうしようもないと。
しかし、簡単に首をくれてやるのは不服だ。
苦々しく桔梗紋を見て、アイツを困らせてやろうと燃え盛る火の中、黒人の男に命じる『我が首、金柑頭に渡すでないぞ』金柑頭とは、最も信頼する男に信長が付けた渾名である。
首が飛び、命が事切れた信長であったが目を覚ますとそこは日の本とは似ても似つかない、どちらかといえば西洋のような街並みであった。
これは、織田信長が剣と魔法の世界に転生し、弱小国のそのまた小さな郡から皇帝へと成り上がる物語である。
異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く
りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!
【完結】たとえあなたに選ばれなくても
神宮寺 あおい
恋愛
人を踏みつけた者には相応の報いを。
伯爵令嬢のアリシアは半年後に結婚する予定だった。
公爵家次男の婚約者、ルーカスと両思いで一緒になれるのを楽しみにしていたのに。
ルーカスにとって腹違いの兄、ニコラオスの突然の死が全てを狂わせていく。
義母の願う血筋の継承。
ニコラオスの婚約者、フォティアからの横槍。
公爵家を継ぐ義務に縛られるルーカス。
フォティアのお腹にはニコラオスの子供が宿っており、正統なる後継者を望む義母はルーカスとアリシアの婚約を破棄させ、フォティアと婚約させようとする。
そんな中アリシアのお腹にもまた小さな命が。
アリシアとルーカスの思いとは裏腹に2人は周りの思惑に振り回されていく。
何があってもこの子を守らなければ。
大切なあなたとの未来を夢見たいのに許されない。
ならば私は去りましょう。
たとえあなたに選ばれなくても。
私は私の人生を歩んでいく。
これは普通の伯爵令嬢と訳あり公爵令息の、想いが報われるまでの物語。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読む前にご確認いただけると助かります。
1)西洋の貴族社会をベースにした世界観ではあるものの、あくまでファンタジーです
2)作中では第一王位継承者のみ『皇太子』とし、それ以外は『王子』『王女』としています
よろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
誤字を教えてくださる方、ありがとうございます。
読み返してから投稿しているのですが、見落としていることがあるのでとても助かります。
いずれ最強の錬金術師?
小狐丸
ファンタジー
テンプレのごとく勇者召喚に巻き込まれたアラフォーサラリーマン入間 巧。何の因果か、女神様に勇者とは別口で異世界へと送られる事になる。
女神様の過保護なサポートで若返り、外見も日本人とはかけ離れたイケメンとなって異世界へと降り立つ。
けれど男の希望は生産職を営みながらのスローライフ。それを許さない女神特性の身体と能力。
はたして巧は異世界で平穏な生活を送れるのか。
**************
本編終了しました。
只今、暇つぶしに蛇足をツラツラ書き殴っています。
お暇でしたらどうぞ。
書籍版一巻〜七巻発売中です。
コミック版一巻〜二巻発売中です。
よろしくお願いします。
**************
気づいたら異世界ライフ、始まっちゃってました!?
飛鳥井 真理
ファンタジー
何だか知らない間に異世界、来ちゃってました…。 どうするのこれ? 武器なしカネなし地図なし、おまけに記憶もなんですけど? 白い部屋にいた貴方っ、神だか邪神だか何だか知りませんけどクーリングオフを要求します!……ダメですかそうですか。
気づいたらエルフとなって異世界にいた女の子が、お金がないお金がないと言いながらも仲間と共に冒険者として生きていきます。
努力すれば必ず報われる優しい世界を、ほんのりコメディ風味も加えて進めていく予定です。
※一応、R15有りとしていますが、軽度の予定です。
※ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
※連載中も随時、加筆・修正をしていきます。(第1話~第161話まで修正済)
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が子離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
引退した嫌われS級冒険者はスローライフに浸りたいのに!~気が付いたら辺境が世界最強の村になっていました~
微炭酸
ファンタジー
「第17回ファンタジー小説大賞」にて『キャラクター賞』をいただきました!
ありがとうございます!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
嫌われもののS級冒険者ロアは、引退と共に自由を手に入れた。
S級冒険者しかたどり着けない危険地帯で、念願のスローライフをしてやる!
もう、誰にも干渉されず、一人で好きに生きるんだ!
そう思っていたはずなのに、どうして次から次へとS級冒険者が集まって来るんだ!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる