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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】

第311話 影のようなもの

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「気配が感じられないって、そんなことがあるか? 怖じ気づいたのかよ!」

「それはお前も薄々感じてるんじゃないか? 魔力の源がどこにあるか感じられないはずだ。」

「ば、馬鹿言え。」


 俺とファルは基本的に相手の気配を探る方法が異なっている。戦士と魔術師では戦いで使う力が闘気と魔力、どちらに重きを置いているかで違ってくる。その両者でさえ探ることが出来ない。エルにしたって同様だと思う。ファルよりも素直にそれを顔に出している。


「ハッハッハッ! 気付いてしまいおったか! 私は不死身だ。神だからな。ここにいるのはあくまで私の影のようなものだ。」


 ここにいるのは影みたいなものだって? 通りで気配を感じないはずだ。影をいくら斬ったって倒せるはずがない。


「神はあくまで現世には仮初めの姿で降臨する。貴様らただのケダモノ如きとは格が違うのだよ!」


 確かに言われてみればそういう話は聞いたことがある。神話とか伝説とかに出てくる神々も人に乗り移ったり、竜とかの伝説の生物の姿になって現れる話が多い気がする。そういうのは本当の話だったのか? それはともかく目の前の学長がそれをやっている。


「まあ、でも影って言ってるくらいだから、本体はどこかにあるんだろうぜ。それを倒せば勝ち目はある。」

「勝ち目? 本体を探す? 寝言を言うな。貴様の到達できない次元にいるからこそ、私は神なのだ。決して到達できぬ次元に畏怖し、怯えるが良い!」


 なにも効かないかもしれない。でもヤツ自身の言葉から推測すると、丸っきりノーダメージってワケではなさそうだ。それに同じ技を使えるのは俺以外にもう一人いる。


「なあ、エル? わずかでもダメージを与えられそうなのは俺達だけだ。それを延々と繰り返そうと思う。付き合ってもらえるか?」

「何言ってるの! 手伝わないはずないじゃない! 私はあなたのパートナーなのよ。どこまでも、行き先が天国だろうと地獄だろうと付いていくわ!」

「勇者の最強の相棒を自称する俺でも、流石に愛のパートナーには敵わないな。お前ら二人を援護する。ヤツには邪魔をさせない。ひたすら攻撃に没頭してくれ!」

「美しい友情だな。だが、そんな物は無価値だ。所詮、なれ合いに過ぎんのだよ!」


 無価値? 無意味? そんなことはどうでもいい! あくまでヤツにとっては、って話だ。否定されたとしてもそれが俺達の生きる原動力なんだ! 力尽きるまで戦い続けてやる!


「霽月八刃!」


 俺とエルの息の合った攻撃を学長に浴びせる。それでも手応えは薄い。それでもいいからひたすら攻撃を続ける。時折来る風魔法の迎撃はファルが相殺してくれている。これをひたすら続けるしかない。勝てる可能性はこれしかないから。


「いつまで続けるつもりだ? 無駄なあがきを?」

「決まってるだろ! アンタを倒すまでに決まってるじゃないか!」

「……いい加減にしないか。」


 学長は苛立ちを込めた声で言った。もう俺達の行いには付き合ってられない、と言いたげな感じだ。だが、相変わらず俺達への対応は淡々としている。


「無駄なことを続けてどうなるのだ? いくら続けようと事態は好転しない。それだけで勝てると思ったら大間違いだ。世界を舐めるな。“神”を舐めるのは大概にし給え!」


 その時俺達は爆発的な突風で吹き飛ばされた。学長は怒りを爆発させた。俺達の行いが気に食わなかったのだろう。希望を捨てずに戦い続ける姿が気に障ったのかもしれない。


「もういい! 私が甘かったようだな。良いだろう。見せてやろうじゃないか。神の圧倒的な力を! 平伏せ! 畏怖せよ! これが神の力だ!」


 学長の影は衝撃波を放った。ただの衝撃波ではない。それこそ世界その物を真っ二つにするかのような迫力だった。自分の真横を通り過ぎていっただけでも、それだけの衝撃を感じた。そして実際の威力は……、


「なんだ……これ……!?」


 すぐ側に大きな地割れが出来ていた。しかもそれがどこまでも続いている。途中にある建物や樹木すら問答無用で切り裂かれている。そして限りなく深い。底が見えない程だ。


「これが神の力だ! これでも手加減したぐらいだ。本気を出せば大地が崩壊してしまうからな。貴様らを殺そうと思えばいつでも殺せるのだよ。」


 未だかつて無い強敵だ。今まで桁外れの強敵達と戦ってきたが、格が違いすぎる。例え、ヴァル・ムングやサヨちゃんがいても勝てるかどうかわからないレベルだ。どうやってコイツに勝てばいいんだ……。
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