【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】

第310話 嵐の王《ストーム・ルーラー》

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「我が名はフェルディナンド・A・シオン! 新世界に君臨する唯一神だ!」


 ますます強くなる風が一カ所に集まりつつあった。そして、薄らと人影の様な物が浮かび上がった。背格好は学長のものに似ている。ていうかそれよりも……、


「あのさ? 学長の名前ってそんなに長かったっけ? それとも神になって舞い上がって、ついついカッコイイ名前を口走っちゃったとか?」


 強くなったり、絶大な権力を手に入れると人っていうのは凄そうな名前を名乗ったりするものである。それは歴史が証明している。俺の故郷でも大昔に“宇宙大将軍”とか意味不明な称号名乗った人もいたみたいだし。この人は名乗った後アッサリ滅んだみたいだから、つまりそういう事である。かわいそーに!


「んな訳あるか、馬鹿! 元のラルスって名前は俺の親父の名だ。ヤツ自身が名乗った名前はシオン家初代当主の名前でもある。」

「ってことはつまり……?」

「初代当主……体は乗り換えていたため、表向きは代々の名を語ってはいたが、代替わりなど一度も無かったのだよ。」


 なにーっ! ずっと偽って党首の座に居座ってたてこと? 父親どころか爺さんだと思ってたら、ずっと昔からご先祖様が家にいたってことか。いやだなあ、それ。しかも乗り移られたら、その人の人格は消えるって事なんでしょ?ロクでもないヤツだな。


「神であろうとなかろうと、立ち塞がる脅威は斬り伏せるべし!」


 これまで沈黙を保っていた侍が先陣を切って学長に斬りかかった。手にした刀には雷光を纏わせている。間違いなく全力の攻撃を仕掛けるに違いない。


「…フン! ……ぬうっ! ……ハッ!」


 侍は学長の影らしきものにひたすら斬りかかる。どれもが必殺の一撃クラスの攻撃で並みの相手なら、その一撃一撃で絶命しているはずだ。それが……全く効いていない。一瞬、学長の姿は崩れるものの、次の瞬間には元に戻っている。侍の刀は文字通り空を斬っているだけだった。


「無駄よ、無駄。嵐そのものに武器で対抗するなど、愚の骨頂! 切り裂くとはどういうものか私が見せてやろう!」


 侍の体に切り傷が突然現れた。それから矢継ぎ早に全身にわたって切り傷が増えていった。侍はその衝撃で踊らされる様に揉みくちゃにされ、最終的に竜巻で巻き上げられ、離れた場所に落下した。


「む、無念……!」

「さ、侍ーっ!?」


 侍は起き上がろうとしたが、力尽きて倒れた。たった一回の攻撃でアイツを失神させるなんて……。アイツを倒そうったって、容易に出来ることじゃないのに!


「オイ、相棒! 姿形はなくてもお前にはあの技があるじゃないか。あの技ならダメージを負わせることが出来るんじゃないか?」

「あの技か!」


 あの技……霽月八刃なら姿形の無い物、幽霊とか魔法のエネルギーその物を斬ることも可能だ。これならいけるはず!


「侍へしたことの礼は俺がする! 風だろうが嵐だろうが、ぶった切る!」

「不可能だな! 我は神であるぞ!」


 接近自体はアッサリ出来た。つい直前まで接近さえ許さなかった男がえらい変わりようである。おおかた、神になったことで心に余裕でも出来たのだろう。


「霽月八刃!」


 手応えは感じる。だが、何も変化は起きない。それでもいいから続ける。


「霽月八刃!」


 今度も同じ。何かを斬った感触はあるが、それ以外何も起きなかった。

「霽月八刃!」

「霽月八刃!」

「霽月八刃!」

「霽月八刃!」

「霽月八刃!」


 何度も何度も繰り返す。繰り返しても何も変化が無い。奥義がここまで効かなかったのはこれが初めてだ。


「それが得意の秘剣か。なるほど。確かに魔力にさえ干渉する力を持っているようだ。並みの魔法生物程度ならそれで破壊することも出来るだろうな。」


 学長は俺の攻撃に全く動じず、技の分析さえしている。あえて何もしてこなかったのも技を見極めたかったからかもしれない。


「へっ、痛くもかゆくもないのかよ? 随分と余裕だな。」

「当然だ。嵐は何事にも動じない。お前のやっていることは、山を手で掘って崩そうとすることと同意だ。ほんの少し風を遮ったところで嵐を止めることなど出来ぬのだ。」


 手で掘って山をを崩すようなもの……言ってくれるじゃないか! ノーダメージではない。でも倒しきるダメージには全然届いてないってことかよ! 


「オイ、相棒、その技じゃない! 金剛石の王を斬ったあの技を忘れたのか!」


 たしかにそうだよな。空間ごとぶった切るあの技なら……でも、俺はある懸念があってあえて使っていなかったんだ。霽月八刃を何度も試した今、これを試すしか他に選択肢はなかった。


「虚心坦懐……絶空八刃!」


 余計な考えを消して、一心のうちに剣を振り下ろす。でも……霽月八刃と同じで少しの手応えしか感じなかった。


「金剛石の王を破った技か? そんなものは効かんよ。額冠の記録からみたから対策済みだ。いや、それ以前からの構想はあったから、見てなくとも効かなかっただろう。」

「なんでだ? なんで効果が無いんだ?」

「ファル、申し訳ないが、俺、最初から効かない予感はしてたんだよ。だってコイツ……本体の気配が感じられないんだ。」


 どんな敵であろうと、気配は多かれ少なかれ感じられるものだ。でも、目の前の学長にはそれが一切感じられない。あるのは……無数の風の気配だけだった……。
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