296 / 331
第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】
第296話 四面楚歌でもお構いなし?
しおりを挟む「一通り、世の中を代表する愚か者が勢揃いしたというわけだな。」
一部の人は本陣の結界内に待機してもらっているが、今回の騒動の主要な人物はみんなここに揃っている。学長はここで舌戦を繰り広げようとでも言うのだろうか? まさか、俺ら全員と戦おうなんて言わないよね?
「どっちが愚かもんだ、この野郎? 手下連れずにのこのこやってくるとは、いい度胸だな?」
「手下? あんな役立たず共は別にいらんよ。まあ、私の前ならば、如何なる人間も役立たずと言えるのだがな。」
傲慢不遜、唯我独尊、いろんな例えが当てはまりそうなくらい、学長はふてぶてしかった。おまけに出来る限りのヘイトを方々から買おうとしている。
「失望したぞ、タルカス? 貴様、本気を出さなかったな? やろうと思えば、学院の掌握など、容易く行えたろうに。」
「私の手で人間をひねり潰したかっただけだ!そこへ勇者が現れ、計画に狂いが生じたのだ!」
「計画に狂いだと? 貴様に“破壊砲”のサンプルを何故与えたと思っているのだ? あれを一斉に放てば一網打尽に出来たであろう?」
“破壊の術式”を使用できる魔道器。アレの出所は学長だったわけか。銀仮面が持っているエベリオンとかいう武器も学長側の組織が作り出したものと考えれば、そのことにも納得がいく。ゴーレムの反乱も学長の企みによって起きた出来事と見ることが出来る。
「人間の脆弱な部分まで似てしまうとは。嘆かわしいことだ。人間を超える新たな知的生物を生み出せると踏んだのだがな?」
「まるで、自分が生み出したみたいな口ぶりだな? クソ野郎?」
「気付いていなかったのか? 全ては私の思考実験のための布石だったのだよ。おかしいとは思わなかったのか? 我々、魔術師が作り出すゴーレムに不具合が生じるはずはない。ましてや、私が設計したものに欠点などあるはずもない。」
それって、どういう……。たしかタルカスには他のゴーレムにはない欠陥が含まれていたと聞いた。魔王戦役の後、魔粒子による汚染、維持のコスト問題などのリスクがあったために、大量廃棄に至った。その中で不具合のあったタルカスだけが不運にも生き残り、仲間達の復讐のために時間をかけて準備していたと聞いた。
「私は魔王戦役の最中、人間のアップデートが必要であると感じるようになった。人間は戦いにおいては大半は体が脆弱で、心さえもちょっとしたことで壊れる。中にはスペック以上の力を発揮する英雄達もいたが、それはほんの少し、一握りの者だけだ。」
「アンタは弱者を否定するって言うのか!」
「否定? 粗方、指定水準のスペックにも到達していない価値のない存在ではないか? 彼らは存在するだけで、英雄、即ち優れた者達の足を引っ張る足枷に過ぎんのだ。同じ姿をしてるだけに質が悪い。似ていれば助けようとする。それが原因で命を落とす者までいたのだ。生きながらえば、更なる功績を残したかもしれぬのにな。」
「そこで私はゴーレムに覇権を握らせる事を思いついた。多種族、そして反感を持つ存在ならば弱者をためらいなく駆逐すると考えたからだ。」
この男は恐ろしいことを言っている。魔王戦役を切っ掛けに人類抹殺を考えていたんだ。タルカスの反乱さえも長い時間をかけた陰謀の一部だったなんて……。
「だが、計画は徐々に道を逸れていった。タルカスが長い年月を経て、人間のような人格を獲得してしまったのだ。それ故、フォグナーのような他の人造生物や人間共と迎合し、手助けをし始めたのだ!」
「そこで私はタルカスに軌道修正を施すため、記憶の改竄を行った。人類を深く憎み、絶滅を決意させるほどの憎悪の記憶を植え付けたのだ!」
「学長、あなたが原因だったのか! タルカスを豹変させたのは、記憶の改竄を行ったからなのですな!」
フォグナーは学長を非難している。友人タルカスの豹変ぶりに違和感を感じていたのだろう。でも、どんな手段を使って変えたのかは彼でも特定できていなかったのだろう。だから、彼やトープス先生が阻止できなかったのだろう。
「は、はは、私の人生の全ては学長の手の平の上で踊らされていたのか……。」
「全部なワケない! タルカス、アンタが心の内で抵抗していたから、学長も強硬手段を取らざるを得なかったんだ! アンタは人間に近付いていたんだ、紛れもなくな!」
「黙れ、勇者! 私にとっての害悪は貴様も含まれている!」
「害悪かよ? てめえもさんざ、俺の相方の持ち物から機密データを盗み取ってたんだろ? その行為は俺らクルセイダーズが介入する切っ掛けの一つになったってことだ!」
「それは詭弁だな。勇者を学院に立ち入らせる対価として当然の権利だ。非難されるいわれはない。」
学長はこちら側が何と非難しようと、表情をほとんど変えていなかった。まるで感情など存在していないかのような振る舞いだ。トープス先生の言う通り、人の心を捨てたのは本当なのかもしれない……。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】勇者学園の異端児は強者ムーブをかましたい
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、pixivにも投稿中。
※小説家になろうでは最新『勇者祭編』の中盤まで連載中。
※アルファポリスでは『オスカーの帰郷編』まで公開し、完結表記にしています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる