【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

Bonzaebon

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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】

第296話 四面楚歌でもお構いなし?

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「一通り、世の中を代表する愚か者が勢揃いしたというわけだな。」


 一部の人は本陣の結界内に待機してもらっているが、今回の騒動の主要な人物はみんなここに揃っている。学長はここで舌戦を繰り広げようとでも言うのだろうか? まさか、俺ら全員と戦おうなんて言わないよね?


「どっちが愚かもんだ、この野郎? 手下連れずにのこのこやってくるとは、いい度胸だな?」

「手下? あんな役立たず共は別にいらんよ。まあ、私の前ならば、如何なる人間も役立たずと言えるのだがな。」


 傲慢不遜、唯我独尊、いろんな例えが当てはまりそうなくらい、学長はふてぶてしかった。おまけに出来る限りのヘイトを方々から買おうとしている。


「失望したぞ、タルカス? 貴様、本気を出さなかったな? やろうと思えば、学院の掌握など、容易く行えたろうに。」

「私の手で人間をひねり潰したかっただけだ!そこへ勇者が現れ、計画に狂いが生じたのだ!」

「計画に狂いだと? 貴様に“破壊砲”のサンプルを何故与えたと思っているのだ? あれを一斉に放てば一網打尽に出来たであろう?」


 “破壊の術式”を使用できる魔道器。アレの出所は学長だったわけか。銀仮面が持っているエベリオンとかいう武器も学長側の組織が作り出したものと考えれば、そのことにも納得がいく。ゴーレムの反乱も学長の企みによって起きた出来事と見ることが出来る。


「人間の脆弱な部分まで似てしまうとは。嘆かわしいことだ。人間を超える新たな知的生物を生み出せると踏んだのだがな?」

「まるで、自分が生み出したみたいな口ぶりだな? クソ野郎?」

「気付いていなかったのか? 全ては私の思考実験のための布石だったのだよ。おかしいとは思わなかったのか? 我々、魔術師が作り出すゴーレムに不具合が生じるはずはない。ましてや、私が設計したものに欠点などあるはずもない。」


 それって、どういう……。たしかタルカスには他のゴーレムにはない欠陥が含まれていたと聞いた。魔王戦役の後、魔粒子による汚染、維持のコスト問題などのリスクがあったために、大量廃棄に至った。その中で不具合のあったタルカスだけが不運にも生き残り、仲間達の復讐のために時間をかけて準備していたと聞いた。


「私は魔王戦役の最中、人間のアップデートが必要であると感じるようになった。人間は戦いにおいては大半は体が脆弱で、心さえもちょっとしたことで壊れる。中にはスペック以上の力を発揮する英雄達もいたが、それはほんの少し、一握りの者だけだ。」

「アンタは弱者を否定するって言うのか!」

「否定? 粗方、指定水準のスペックにも到達していない価値のない存在ではないか? 彼らは存在するだけで、英雄、即ち優れた者達の足を引っ張る足枷に過ぎんのだ。同じ姿をしてるだけに質が悪い。似ていれば助けようとする。それが原因で命を落とす者までいたのだ。生きながらえば、更なる功績を残したかもしれぬのにな。」

「そこで私はゴーレムに覇権を握らせる事を思いついた。多種族、そして反感を持つ存在ならば弱者をためらいなく駆逐すると考えたからだ。」


 この男は恐ろしいことを言っている。魔王戦役を切っ掛けに人類抹殺を考えていたんだ。タルカスの反乱さえも長い時間をかけた陰謀の一部だったなんて……。


「だが、計画は徐々に道を逸れていった。タルカスが長い年月を経て、人間のような人格を獲得してしまったのだ。それ故、フォグナーのような他の人造生物や人間共と迎合し、手助けをし始めたのだ!」

「そこで私はタルカスに軌道修正を施すため、記憶の改竄を行った。人類を深く憎み、絶滅を決意させるほどの憎悪の記憶を植え付けたのだ!」

「学長、あなたが原因だったのか! タルカスを豹変させたのは、記憶の改竄を行ったからなのですな!」


 フォグナーは学長を非難している。友人タルカスの豹変ぶりに違和感を感じていたのだろう。でも、どんな手段を使って変えたのかは彼でも特定できていなかったのだろう。だから、彼やトープス先生が阻止できなかったのだろう。


「は、はは、私の人生の全ては学長の手の平の上で踊らされていたのか……。」

「全部なワケない! タルカス、アンタが心の内で抵抗していたから、学長も強硬手段を取らざるを得なかったんだ! アンタは人間に近付いていたんだ、紛れもなくな!」

「黙れ、勇者! 私にとっての害悪は貴様も含まれている!」

「害悪かよ? てめえもさんざ、俺の相方の持ち物から機密データを盗み取ってたんだろ? その行為は俺らクルセイダーズが介入する切っ掛けの一つになったってことだ!」

「それは詭弁だな。勇者を学院に立ち入らせる対価として当然の権利だ。非難されるいわれはない。」


 学長はこちら側が何と非難しようと、表情をほとんど変えていなかった。まるで感情など存在していないかのような振る舞いだ。トープス先生の言う通り、人の心を捨てたのは本当なのかもしれない……。

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