【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

Bonzaebon

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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】

第287話 相手の想定外を狙うべし!

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「ぬう! まるでのれんに腕押し、月夜に提灯の如き手応え!」


 拙者は今、二騎の騎兵型の人形兵と対峙している。砂塵武者と共に交戦していても、事態は膠着状態に陥っておる。何度も必殺の一撃を見舞ってはいるが、全ていなされる。


「打撃、斬撃をいなすのならば、拙者にも考えがある!」


 敵は我らを挟むようにして、円錐型の突撃槍を構え突進してくる。それぞれ背中合わせに一騎ずつ相手にするよう待ち構える。槍の穂先が眼前に迫る。この瞬間を待っておった!


「捕まえられる事など想定してはおるまい!」


 拙者は槍を脇で捕らえ、二の足で堪え突進を止める。後ろに下がってはゆくが相手の勢いは落ちていき、最終的に止まることとなった。


「フム、拙者の予測通り、黒き群雲は現れなかったでござるな。さて、ここからどうしてくれよう?」


 感情無き人形兵は力任せに槍の拘束は剥がそうと必死になっておる。拙者がこの後の攻撃を問うたところで、返答は帰ってこぬ。つまらぬ事よ。心ある武士ならばその問答で楽しめるのだがな。とはいえ拙者も人形兵を用いる身、とやかく言える立場ではないな。


「相手を捕らえた時はまずこれよ!」

(グンッ……ドシャアァァッ!!!)



 槍ごと相手を横に捻り、体勢を崩し、その場の地面に叩きつける。砂塵武者も同様の動きをさせている。相手が人間であれば槍から手を離し逃れることも出来ようが、この人形兵は腕と一体化しておる。それ故、この体術からは逃れられなかったのだ。


「このまま柔術の極みを叩き込んでくれよう!」


 地に伏した相手の首を掴み、折りに行く。急所とは言えぬだろうが、頭脳はここにあることは気配を探ればわかる。その次は胸部を狙う。心の臓の位置に動力源があるからだ。全て人の子と同じ位置に配しているのは拙者の砂塵武者も同様。やはり、人
形といえど同じ位置にするのは他の者も同じであるようだ。


(ミシッ……、)


 相手の首が軋んだ瞬間、拙者は異様な感覚に見舞われた! 体の質量が消失し、掴んでいたはずの相手の首は消え、気が付いたときには絞めの体勢で拙者は地面に横たわっておった!


「ぬう! 今のは!?」


 周囲を見渡せば人形兵が体勢を立て直し、起き上がっていた。離れたところに飛ばされておる! いや……転移させられたと言うべきか?その間、人形兵は再び突進する動きを見せていた。


「転移魔術を防御法に転化させた? おかしな事を思いつくものでござるな。」


 防御を固めるならば通常は甲冑の強度を高める、もしくは魔術などを用い弾く様な処理を施す。しかしそれでは拙者が試した様な投げ、関節技などの柔術に対処できぬ。柔術は甲冑を着けた敵に対処する術として拙者が習得したもの。それにすら対抗する手段を考案するとは見事なものよ!


「だが先程の一連の流れで対処法が見つかった様な気がするでござるな。あと一手で王手と言ったところでござろうな。」


 敵の突進を真上に跳躍する形でいなし、相手の下半身に馬乗りした。相手は振り落とそうとするが、拙者は再び首を捕らえ絞め技に移行する。


「さあ、早く逃れなければお主は死ぬるぞ。先程の妙技は使わなくとも良いのか?」


 遅い。打撃、斬撃には瞬時に反応するが柔術に対しては対応が鈍い傾向にあるようだ。今の攻撃はその確認のために行っている。反応出来ぬのなら、その隙を狙わせてもらう。


「さあ、発動させてみよ!」

(ミシッ……、)


 再び力を込めた瞬間に他所へ転移させられる。間合いも先程と同じといったところか。それで良い。拙者の必殺の一撃は遠めの間合いからである方が都合が良いのだ。


(ザザッ!!)


 相手は拙者に向き直り、次なる一撃を見舞おうと体勢を整えている。拙者もそれに合わせ技の構えを取る。次の一撃で勝敗を決するために。「閃光・雷覇滑走術!!」


(バヒュン!!)


 拙者の切り札、通常の滑走術よりも更に加速を重ね、閃光の如く移動する技。消耗が激しい故、相手を一撃で仕留める時のみ使う事にしておる。


「雷光瞬極屠!!!」


 相手の胸を瞬時に貫手で貫き、背中まで貫通させる。やはり、拙者の予測通り、認識できぬ程の速度であれば、あの妙技も発動出来なかった様だ。


(ズドン!!!!!)


 貫通音が後から響き渡った。あまりの速さ故、音の方が後から遅れて響くのだ。相手は絶命しておるようだが、妙技が発動しないか確認するため、刀で首を刎ねる。


「一番首討ち取ったりぃ!! 敵は高速の攻撃には反応できぬ! 各々方も試してみるが良かろう!」


 敵方の弱点を他の者にも知らしめた。攻略の糸口を見つけたのだ。ここから我らが優勢となろう。だが、武者震いが止まらぬ。これは拙者にとっての強敵がまだ近くにおるということ。人形兵の大将から感じる物ではない。恐らくはこの学院の主が動き始めたという事でござろう。
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