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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】

第263話 タルカスの切り札

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爆熱火炎弾プロミネンス・バーストを完全消滅させただと! ありえん! たかが剣技一つで?」


 なんか、そのリアクションには飽きたな。しかもコイツら俺の情報を仕入れて散々警戒して、手術中を狙ったりしてくるクセにね。事前情報、信じてなかったのかな?


「しかも、手刀でな! 俺はそれだけパワーアップしたってことよ! ところで、アンタ、タルカスなのか?」

「その通りだ。私の本体は今、トープスの教員棟前でお前の仲間と戦っている。この女は義手を通して利用しているだけの私の駒にすぎん。」


 ローレッタに片腕を切り落とされたはずのヘイゼル。義手を付けてもらったのか。でもそれが操られるきっかけになったみたいだな。まさか、ゴーレムそのものだけじゃなく、義手の使用者まで操れるとは。俺やトープス先生達が操られていないのは、先生が何らかの対策をしていたのだろう。


「手術終わったのね。でも、あんまり無理しちゃダメよ。」

「ああ、今は慣らしのつもりで戦わせてもらうさ!」


 エルが腕のことを気遣う。治り立てだから、あまり無理は出来ないのは事実だ。また、怪我をしてしまったら、再び危機に陥ってしまう。


「慣らしのつもりだと! 舐められたものよ! 私を相手に手を抜くなどありえんわ!」

「いや、今はアンタを相手にしてるヒマはないんだわ。他にやることがある。」


 タルカスに乗っ取られたヘイゼル?に向かって突進する。言葉とは裏腹に向かっていくので相手は迎撃する気満々だ。そうだ、いい子だ。そのまま。来い!


「粉砕してくれるわぁ!」

(ブンッ!!)

「……とうっ!」


 大きく振りかぶった攻撃を避けつつ、馬跳びの要領でヘイゼルを飛び越え、争い合ってる集団の元へ向かった。そして、そのまま……、


「天破、陽烈八刃斬!!」


 一団を全てなぎ払う様に放つ! もちろん、人々には傷一つ付けていない。あくまで、タルカスの制御能力を断ち切るための攻撃だ。


「……!? 一体、私は何を?」

「暴れていた人が一瞬でおとなしくなった!」

「一体、何が起きたの?」


 一瞬の出来事だったため、あちこちから驚きの声が上がっている。こちらの集団は大丈夫そうだな。あとは身内のDIY寮の方に行かなくては!


「魔王の娘に続いて、不可解な技を使いおって! このままうまくいくと思うなよ!」


 こちらの異変に気が付いたタルカス。再び俺に攻撃を仕掛けてこようとしているが、その背後から俊敏に近付こうとしている人影がいた。


「これ以上、あなたの好きにはさせません!」

「何!? ジム・ワーロック! 貴様、私に刃向かうというのか!」


 ジムはタルカスを後ろから羽交い締めにしている。ここはジムに任せて寮に向かうとしよう。


「行ってください、勇者さん! ここは僕が……。」

「ああ、任せたぜ!」

「……ジム・ロック・スペシャル!!」

「ぐ、ぐぎぁ!?」


 ジムはなんと……俺の、というかジェイのコピー技を再現してタルカスを極めて動けなくしている。たった一回見た技を完コピするとは、やるじゃないか。それを見て安心した俺は寮に向かう。


「霽月八閃!!」

「わひーっ! みんな、落ち着くでヤンス!」


 エルとタニシが時間稼ぎをしてくれていたようだ。割とこの中にもゴーレムだったメンバーがいたようだ。見た目では全然わからなかったのに……。


「天破、陽烈八刃斬!!」


 全体を一閃し、タルカスからの呪縛を解き放つ。これでこの辺り一帯の混乱は収まったはずだ。あとは、タルカスに支配されたヘイゼルを解き放つだけだ。


「ぐぬーっ!? たった一人、勇者が現れただけで、覆されてしまうとは! かくなる上は、切り札を出し惜しみしている訳にもいかんな!」


 タルカスは苦し紛れに何かをした。ジムの技に極められているので、身動きできないのはそのままだが、義手が奇妙な光を発したのがわかった。


(ヴォン!!)


 不気味に低い音を立て、空間に裂け目が出来、その中から黒光りした鎧を纏った人影が数体現れた。人の気配を全く感じない、冷たい殺気を纏った不気味な連中だった。


「クク、これが我々の切り札、ウォリアー・ワンだ! これをそこらのゴーレムと一緒にしない方がいいぞ!」


 新型のゴーレムなのか? 威圧感が半端ないだけで、さほど特別にも感じられないが……。連中の中の一体がジムとタルカスのもとへ向かっていく!


「……!」

「くっ、やる気なのか!」


 ジムはタルカスを解放し、黒戦士に向き合った。アイツもアレが脅威であることを悟ったのだろう。


「……破壊デストラクション!!」

(ボンッ!!)


 黒戦士はジムに手の平を向ける。手の平には謎の穴が空いていた。それをジムの胸に向けた途端、大穴が空いてジムは後ろに吹き飛ばされた! しかも、“破壊デストラクション”だと!


「究極の術式とやらも我々にかかればこの通り! ウォリアー・ワンは使いこなせるのだ! 人間にはここまでの力は行使できまい!」


 あの黒光りゴーレム全てがあの“破壊デストラクション”を使いこなすというのか! やべぇ! 俺はあの魔法を相殺出来るが、みんな出来るわけじゃない。これは大変なことになってきたぞ!
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