【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

Bonzaebon

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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】

第259話 守り抜きたい物がある!!

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「ははっ! 無様だな! ゴーレムといえど、私の魔術の前ではただの人形同然!」

「ローレッタ!? 君はなんてことをしたんだ! 私ならあの程度の魔術に耐えきれるというのに……。」

「……ううっ。ラ、ラヴァン様……。」


 私は首だけの姿になってもまだ生きている。人間の脳に相当する部分さえ残っていれば、死ぬことはない。もし体が機能停止しても、緊急用の安全装置が作動して、しゃべることは出来る。まだ、緊急用の稼働モードに移行しきれていないので、思ったように口が動かなかった。


「私を囮にしてアンネ先生を叩いてくれても良かったのだ! それが最善、その方が合理的だったはずだ!」

「私は……ラヴァン様の…苦しむ姿を……見たくなかったのです……。」


 少しずつ稼働が安定してきたので、口が動くようになった。まだぎこちないけれど、アンネ先生の気を逸らせないといけない。私を粉砕した水蛇はまだ展開したままでいるから。


「フフ、魔術師にあるまじき行動だな。一時の感情に流され、我が身どころか守るはずだった対象さえ揃って滅んでしまうとは!」

「私もそう思う。いや、以前の私なら平気でそう言っていただろう。私は今気付いた! ローレッタが気付かせてくれたのだ! 魔術師にあるまじき行動だとしても、守り抜かなくてはならない物があると!」

「その結果、滅ぶのだ、貴様らは。 私も感謝しなくてはならない。こうも簡単に反乱分子を始末出来るのだからな!」


 宙を漂っていた水蛇が再び獲物の姿を定めて、襲いかかろうとしていた。ラヴァン様は私の頭を抱えたままで、無防備な状態だった。


「二人仲良く死ぬがいい!」


 水蛇が勢いを付けてこちらに向かってくる!もう間に合わない…と思ったところで異変が起きた!


「戦技一0八計が一つ! 落鳳波!!」

(バシャアアアアッ!!!)


 割って入ってきた人物の声と共に水蛇の首が切り落とされた! 建物の入り口の方を見ると勇者様がそこにいた。


「勇者参上!! ゴメン! ちょっと来るのが遅かったかな?」

「き、貴様!? よくも水蛇を!」

「勇者ロア!」


 勇者様の腕を見ると、切断されていた腕が元通りになっていた。ということは手術は成功して、終了したみたい! 良かった。トープス先生が難航すると言っていたけれど、予定通りに終われたんだ。


「ローレッタ? もしかして、死んでしまったのか?」

「いえ。この通り……五体不満足では…ありますが、何とか生きて…います。」

「無茶したんだな? エルが悲しむぞ? でも俺が復活したから、もう大丈夫だ!」


 その通りかもしれない。お姉様が今の私の姿を見たら卒倒してしまうかもしれない。でも、ラヴァン様をお救いするためにこうなったのだから、少しは許してもらえるかもしれない。


「貴様一人来たところで状況が変化するものか!」

「え~? そんなこと言っちゃっていいの? この前、ハンデありの俺に完敗しちゃったのにねぇ。俺に敵わないと思ったから、手術中を狙おうとしてたんでしょ?」

「うるさい! 黙れ!」

「図星じゃん!」


 首を失ったはずの水蛇はいつの間にか元通りになっていた。今度は攻撃対象を勇者様に変え襲いかかっていった。それでも、勇者様は構えようともせずに仁王立ちのままでいた。しかも、剣すら手にしていない!


「こないだの水蛇か。素手だったから苦戦したけど、武器ありの俺にこれが通用すると思うなよ?」

「何を言う! 今も素手のままではないか!」

「素手? 見た目はな。今の俺は手刀でも強いぞ! 霽月八刃!!」


 迫り来る水蛇に対して、勇者様は手刀を振った。すると水蛇はピタッと動きを止め、ただの水となり霧散した。


「ば、馬鹿な!? 私のアクア・サーペントが手刀で崩壊するなど……!?」

「スゲえ! 自分でもビックリだ! 手刀でもこの威力! 実際に剣を抜いたらと思うと、想像が付かないな!」

「ありえない!? 手刀如きで負けるとは!?」

「だから言っただろ武術を舐めるなって。」


 アンネ先生は狼狽え、後ずさりしていた。あの一瞬の出来事でここまで戦意を喪失させる事が出来るなんて! 勇者様は凄い! お姉様から聞いていた話よりもとんでもない方だった!


「天破、陽烈八刃斬!!」


 勇者様はあっという間にアンネ先生との距離を詰め、手刀の一撃を繰り出していた。その瞬間、暖かい太陽の光が閃いたような気がした。まるで、あれは太陽の一撃、慈悲の光に見えた。これが勇者様の力……!?


「うぐあっ!? な、なんだこれは!?」

「アンタはムカつくけど、殺さない。アンタらみたいなのと同類になっちまうからな。代わりに今後二、三日は魔法が使えないようにしておいた。その間、魔法使えない人の気持ちを味わってろよ。」

「馬鹿な!? ま、魔封じだと!? くっ!? 魔術が発動しない!?」


 アンネ先生は必死で魔術を発動させようとしていた。あらゆる方式、基礎的な物から実戦的なものまで試しても、何も起きない。勇者様の言葉通り、先生は何も出来なくなってしまっていた。


「ラヴァン、ローレッタの事は頼んでいいか? 俺は他のみんなの所に行かないといけない。」

「言われなくても、そうするつもりだ。」

「ラヴァン様、トープス先生のところへ連れて行って下さい。すぐに元通りには出来なくても、応急処置はしてもらえるはず。」

「ああ。」

「じゃあな! 俺はエルの所へ行ってくる!」


 勇者様は急いで去って行った。タルカス様があちこちにゴーレムを配置しているのだとすれば、あちらの寮も危ないかもしれない!
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