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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】
第257話 もう既に始まっている!
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「我々が戦うこと自体が学長の思惑に誘導されてしまうという風に思いませんか?」
「学長か? 構わんよ! 敢えて思惑に乗り、この機に乗じて人間共を駆逐する! ヤツはその後で始末すれば良い。如何に魔力が強大であろうとヤツも一人の人間。我らの圧倒的戦力の前にはあっという間に屈服するだろう!」
策に嵌まったと見せかけて、後に学長を制圧するつもりでいるようだ。彼らの戦力は人間を圧倒する物があるのは確かかもしれない。何しろ、体の強度が違うし、飲み食いせずに半永久的に動き続ける事が出来る。とはいえ、人造の魔法生物。対策されれば稼働すら出来なくなる弱点については考えているのだろうか?
「学長を甘く見ている、魔術師への対策が疎かになっている、と思っているのではないか? 我らは新技術を開発した。むしろ魔術には強くなっている。切り札故、易々とは見せはしないがな!」
「対策済み、ということですね。」
もし一戦交える羽目になったら、魔術は容易に使用しない方がいいかもしれない。この自信は明らかに優位に立ち回れる可能性があるからこそだと思う。通常の魔術師でさえ、無効化、吸収、反射などの技を駆使する者がいるのだから。
「対策もした上で戦力でも圧倒的に上回る。かねてより我らは様々な場所に伏兵を忍ばせてきた。あらゆる魔道器、監視システム、魔力を使用した設備への魔力供給する魔力炉に至るまで、我らは掌握している。この学院に携わり、頼っている者ほど愕然とするであろう。自分たちの無力さに苛まれる事となろう!」
「なるほど。全ての制御が手の内にあるから、無力化も容易い、と?」
「日々、何気なくこき使ってきた物に裏切られ、滅んでゆく。その滑稽たる様を見たくてたまらぬのだ! 」
この学院では魔道器を多用した設備が充実している。それらを使った暮らしは物凄く快適だと思う。それらが使用できず、物によってはそれが牙を剥いて襲いかかってくる。早くこの学院の全ての人々にその事実を知らせないと大変なことになる!
「それだけではないぞ。設備だけではない。貴様らの隣人、見知った者の中には我らの息がかかった者達がいる! トープスから聞いているだろう? 我々は人間ソックリのゴーレムを作り出すことが出来る。見た目では判別する手段もない。それが突然襲いかかる! これで混乱が起き、誰もが疑心暗鬼に駆られる事となる!」
僕もその事実を知らされたのは、昨日のことだった。Mrsグランデのご友人のローレッタさんがゴーレムであると知らされた時は信じられなかった。見た目はわからなかったけど、腕の内側から隠し武器を展開したときは信じざるを得なかった。明らかに人では無い物が内蔵されていた。これらの話をしたトープス先生も半分ゴーレムであり、事故で失った下半身を差し替えているという事だった。
「でも、トープス先生は言っていました。全てのゴーレム、義肢の使用者達があなたに賛同しているわけではないと。あなたは彼ら同胞にさえ手をかけてしまう可能性もあるのですよ? それにトープス先生の様に制止しようとする人もいるはずです!」
.「大した問題ではない。彼らも私に賛同することとなる。秘密裏に細工をしておいたのだ。こうして貴様らと話をしている間に、学院各地で火種が巻き起こっていることだろう! 貴様らが私を止めようとしている事自体が無駄だったのだ!」
「そんな!?」
もう既に事は起こっている? 嘘であると思いたいけど、こうしている間にも戦いは始まっているのかもしれない。嘘を言うメリットなどないはずだからだ。それは彼が言っていた様に圧倒的戦力を持っているからでもある。
「やはり戦いを止めることは出来ませんか?」
「くどい! もう既に始まっているから、貴様らの行為は無駄だ。我らの憎しみの炎は誰であっても消すことが出来ぬのだ!」
「もうやっちまおうぜ、コイツら! もう全部バーンってやっちまえばいいんだよ!!」
「ゲイリーさん!」
「なんだ? そっちにも血の気が多いヤツがいるじゃないか! 来いよ! 俺が相手になってやる!!」
僕の制止を無視してゲイリーさんはタルカスに向かっていった。血の気が多い人だとは勇者さんから聞いていたけど、ここまでとは……。こうなってしまったからには僕とヴォルフさんも戦わなければいけなくなる。周りのゴーレム達も次々と戦闘準備を始めている。
「どうやらオイ達も戦わなければいかんバイ!このままでは確実に殺されてしまうでゴワス!」
「もう止められないんですね。悔しい……くっ!?」
(ゴギィィン!!!)
早速、ゴーレムの刃が向けられてきた! 咄嗟に防げたから良かったものの、明らかに明確な殺意のある一撃だった。こうなったからには交戦を止めることは出来ない。
「ドスコーーーーーイ!!!」
(バシィィィン!!!!)
僕に斬りかかってきたゴーレムを、ヴォルフさんは平手で突き飛ばした! 全身金属のゴーレムを突き飛ばすなんてなんてパワーなんだ!
「最強タッグ再びでゴワス! オイ達の恐ろしさを思い知らせてやるでゴワスよ!」
「僕達、熱き炎のタッグがこの場を守り抜きます! 覚悟して下さい!」
本気で戦うとはいえ、彼らの命を奪うわけにはいかない。あくまで戦闘不能にする事を心掛けて戦うしかない。勇者さんがいつもそうしている様に。
「学長か? 構わんよ! 敢えて思惑に乗り、この機に乗じて人間共を駆逐する! ヤツはその後で始末すれば良い。如何に魔力が強大であろうとヤツも一人の人間。我らの圧倒的戦力の前にはあっという間に屈服するだろう!」
策に嵌まったと見せかけて、後に学長を制圧するつもりでいるようだ。彼らの戦力は人間を圧倒する物があるのは確かかもしれない。何しろ、体の強度が違うし、飲み食いせずに半永久的に動き続ける事が出来る。とはいえ、人造の魔法生物。対策されれば稼働すら出来なくなる弱点については考えているのだろうか?
「学長を甘く見ている、魔術師への対策が疎かになっている、と思っているのではないか? 我らは新技術を開発した。むしろ魔術には強くなっている。切り札故、易々とは見せはしないがな!」
「対策済み、ということですね。」
もし一戦交える羽目になったら、魔術は容易に使用しない方がいいかもしれない。この自信は明らかに優位に立ち回れる可能性があるからこそだと思う。通常の魔術師でさえ、無効化、吸収、反射などの技を駆使する者がいるのだから。
「対策もした上で戦力でも圧倒的に上回る。かねてより我らは様々な場所に伏兵を忍ばせてきた。あらゆる魔道器、監視システム、魔力を使用した設備への魔力供給する魔力炉に至るまで、我らは掌握している。この学院に携わり、頼っている者ほど愕然とするであろう。自分たちの無力さに苛まれる事となろう!」
「なるほど。全ての制御が手の内にあるから、無力化も容易い、と?」
「日々、何気なくこき使ってきた物に裏切られ、滅んでゆく。その滑稽たる様を見たくてたまらぬのだ! 」
この学院では魔道器を多用した設備が充実している。それらを使った暮らしは物凄く快適だと思う。それらが使用できず、物によってはそれが牙を剥いて襲いかかってくる。早くこの学院の全ての人々にその事実を知らせないと大変なことになる!
「それだけではないぞ。設備だけではない。貴様らの隣人、見知った者の中には我らの息がかかった者達がいる! トープスから聞いているだろう? 我々は人間ソックリのゴーレムを作り出すことが出来る。見た目では判別する手段もない。それが突然襲いかかる! これで混乱が起き、誰もが疑心暗鬼に駆られる事となる!」
僕もその事実を知らされたのは、昨日のことだった。Mrsグランデのご友人のローレッタさんがゴーレムであると知らされた時は信じられなかった。見た目はわからなかったけど、腕の内側から隠し武器を展開したときは信じざるを得なかった。明らかに人では無い物が内蔵されていた。これらの話をしたトープス先生も半分ゴーレムであり、事故で失った下半身を差し替えているという事だった。
「でも、トープス先生は言っていました。全てのゴーレム、義肢の使用者達があなたに賛同しているわけではないと。あなたは彼ら同胞にさえ手をかけてしまう可能性もあるのですよ? それにトープス先生の様に制止しようとする人もいるはずです!」
.「大した問題ではない。彼らも私に賛同することとなる。秘密裏に細工をしておいたのだ。こうして貴様らと話をしている間に、学院各地で火種が巻き起こっていることだろう! 貴様らが私を止めようとしている事自体が無駄だったのだ!」
「そんな!?」
もう既に事は起こっている? 嘘であると思いたいけど、こうしている間にも戦いは始まっているのかもしれない。嘘を言うメリットなどないはずだからだ。それは彼が言っていた様に圧倒的戦力を持っているからでもある。
「やはり戦いを止めることは出来ませんか?」
「くどい! もう既に始まっているから、貴様らの行為は無駄だ。我らの憎しみの炎は誰であっても消すことが出来ぬのだ!」
「もうやっちまおうぜ、コイツら! もう全部バーンってやっちまえばいいんだよ!!」
「ゲイリーさん!」
「なんだ? そっちにも血の気が多いヤツがいるじゃないか! 来いよ! 俺が相手になってやる!!」
僕の制止を無視してゲイリーさんはタルカスに向かっていった。血の気が多い人だとは勇者さんから聞いていたけど、ここまでとは……。こうなってしまったからには僕とヴォルフさんも戦わなければいけなくなる。周りのゴーレム達も次々と戦闘準備を始めている。
「どうやらオイ達も戦わなければいかんバイ!このままでは確実に殺されてしまうでゴワス!」
「もう止められないんですね。悔しい……くっ!?」
(ゴギィィン!!!)
早速、ゴーレムの刃が向けられてきた! 咄嗟に防げたから良かったものの、明らかに明確な殺意のある一撃だった。こうなったからには交戦を止めることは出来ない。
「ドスコーーーーーイ!!!」
(バシィィィン!!!!)
僕に斬りかかってきたゴーレムを、ヴォルフさんは平手で突き飛ばした! 全身金属のゴーレムを突き飛ばすなんてなんてパワーなんだ!
「最強タッグ再びでゴワス! オイ達の恐ろしさを思い知らせてやるでゴワスよ!」
「僕達、熱き炎のタッグがこの場を守り抜きます! 覚悟して下さい!」
本気で戦うとはいえ、彼らの命を奪うわけにはいかない。あくまで戦闘不能にする事を心掛けて戦うしかない。勇者さんがいつもそうしている様に。
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