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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】
第246話 私が魔術学院学長、ラルス・A・シオンであ~る!!
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「緊急告知って、何事でヤンスかねぇ? ねぇ、エルしゃん?」
「え? ええ。なんでしょうね?」
昨日、授業が終わったくらいの時間に、学長から学院の人々全てに対して連絡があった。翌朝に緊急告知があるとのことだった。しかも、講義室には行かずに寮内で待機を言い渡された。今まで体験したことのない異例の事態。でも、私はそれに従わず、DIY寮の所へ来ていた。
「サプライズで特別試験とか、特別実習とか?はたまた、突然のお祭り開催とか……だったりして! それだったら、嬉しいでヤンス!」
タニシさんは発言の内容に合わせて、小躍りを始めた。尻尾を振りながら軽快に踊っている。でも、周囲の人々は特に反応せず、冷ややかな態度を変えなかった。やっぱり、この前の事件のことをまだ引きずっているのかもしれない。本来、中心にいるはずの人物がいないから。
「はあ。あっしだけが元気になっても仕方ないヤンスね。でも、何も出来ずに待機してるのはシンドイでヤンス。」
「みんな、気持ちはわかってると思いますよ。あのことを気にかけてるから、気が晴れないだけで。戻ってくれば、みんな明るくなると思うから……。」
とは言ってみたものの、自分も不安を拭えない。今の試みがうまくいくかどうか不透明で、いつまでかかるかもわからない。なにせ初めての試みだっていうから、関わっている人たちの方が大変だと思う。私はそれに直接関われないから遠くで祈っていることしかできない。
「しかし、意外な人まで関わってるのがスゴいでヤンス。メイちゃんは当然でヤンすけど、ローラしゃんにミャーコちゃんまで関わっているでヤンス。ここだけ聞いたらハーレム遊びでもしてるんじゃないかって思うでヤンスよ!」
「タニシさん、トープス先生が抜けてますよ!先生の協力がないと、こんな大がかりなコトできなかったんですよ。」
「ああ! ピッカリ先生のこと忘れてたでヤンス!」
「ちょっと! それは失礼ですよ!」
もう、タニシさんたら……。本人に聞かれたらと思うとヒヤヒヤする。それどころかローラにも聞かせたくない。あの子はトープス先生を尊敬してるから、タニシさんであっても、恐い目に会わされると思う。あの子は怒らせると恐いタイプ。それはダンジョン実習の時に見ているから……。
《魔術学院、学長ラルス・A・シオンである。学院に所属する全人員に告ぐ! 本日を以て、学院は新体制にシフトする。》
「は、始まったでヤンス!?」
「新体制? 何のことかしら?」
昨日の予告と同じく全員に対して、思念波を送っている。突然の新体制宣言。事前に先生方からも全く話がなかった上、噂も特に出回っていなかった。想像が付かない。急にそんなことを始めるなんて……。
《我が学院にて画期的な試みを実施する。この試みは人類の進化、魔術の発展に
大きく貢献するものと、私は確信している。所属する諸君は誇りに思うが良い。》
学長の話は大きく飛躍している。進化とか発展とか、魔術を学んで習得する学院に何を求めているんだろう? 話の要点は掴めないけれど、なんだか怖いことを言っているような気がする。
《学院内には様々な人間が存在している。教鞭を振るう者、勉学に励み魔力を高める者、魔術を研究し真理を追究する者。その中に於いても才能の違い、生まれの血統の違いもあるだろう。魔術によって生命を吹き込まれた者もいるだろう。》
色んな人がいるのは知っている。私のような闇の力に浸食された人やタニシさんのような獣人、ローラの様な人工の生命体もいる。それが新体制とどう関係があるのだろう?
《誰が最も優れているか? いや、誰が覇権を握るかと言ってもいい。共存・協力・調和を求める者もいるだろう。だが、それは正しいのか? 平和というものは停滞どころか衰退を促進する。ではどうすればそれを防げるか? 本来、競い合ってこそ人類、生物は進化をする。争い無しに発展は為し得ない!》
話の風向きが変わってきた。恐い方向へと突き進んでいっている。私は恐れてる。ひょっとしてこれは恐ろしいことの始まりなのではないかと。でもそれは全力で否定したい!
《新体制とは“バトルロイヤル”を実施することを意味する! 諸君、互いに競い合え、争い合え、殺し合え! 徒党を組んでも、たった一人で戦いに挑んでも構わない。手段も問わない! ただし、逃げ出す事は認めない。徹底して戦うことを求める!》
バトルロイヤル? 競い戦わせる? 殺し合うことすら認める? 何を言っているの? ここは魔術を学ぶための学院のはず! そんな恐ろしいことをするために訪れた訳じゃない!
《最後に生き残った者には最大の栄誉を与えよう! 世界の支配、運営に関わる組織に入門する事を認める! 勝ち残った先には全てを手にする事が出来ると考え給え!》
学長は狂っている。こんな事を平気で言えるなんて……。もしかしたら、彼を狙っていたのはこの新体制に反抗させないためだったのかもしれない。それなら、今までの出来事の辻褄が合ってくる。なんとかしてこの体制を阻止しないと、大変なことになる!
「え? ええ。なんでしょうね?」
昨日、授業が終わったくらいの時間に、学長から学院の人々全てに対して連絡があった。翌朝に緊急告知があるとのことだった。しかも、講義室には行かずに寮内で待機を言い渡された。今まで体験したことのない異例の事態。でも、私はそれに従わず、DIY寮の所へ来ていた。
「サプライズで特別試験とか、特別実習とか?はたまた、突然のお祭り開催とか……だったりして! それだったら、嬉しいでヤンス!」
タニシさんは発言の内容に合わせて、小躍りを始めた。尻尾を振りながら軽快に踊っている。でも、周囲の人々は特に反応せず、冷ややかな態度を変えなかった。やっぱり、この前の事件のことをまだ引きずっているのかもしれない。本来、中心にいるはずの人物がいないから。
「はあ。あっしだけが元気になっても仕方ないヤンスね。でも、何も出来ずに待機してるのはシンドイでヤンス。」
「みんな、気持ちはわかってると思いますよ。あのことを気にかけてるから、気が晴れないだけで。戻ってくれば、みんな明るくなると思うから……。」
とは言ってみたものの、自分も不安を拭えない。今の試みがうまくいくかどうか不透明で、いつまでかかるかもわからない。なにせ初めての試みだっていうから、関わっている人たちの方が大変だと思う。私はそれに直接関われないから遠くで祈っていることしかできない。
「しかし、意外な人まで関わってるのがスゴいでヤンス。メイちゃんは当然でヤンすけど、ローラしゃんにミャーコちゃんまで関わっているでヤンス。ここだけ聞いたらハーレム遊びでもしてるんじゃないかって思うでヤンスよ!」
「タニシさん、トープス先生が抜けてますよ!先生の協力がないと、こんな大がかりなコトできなかったんですよ。」
「ああ! ピッカリ先生のこと忘れてたでヤンス!」
「ちょっと! それは失礼ですよ!」
もう、タニシさんたら……。本人に聞かれたらと思うとヒヤヒヤする。それどころかローラにも聞かせたくない。あの子はトープス先生を尊敬してるから、タニシさんであっても、恐い目に会わされると思う。あの子は怒らせると恐いタイプ。それはダンジョン実習の時に見ているから……。
《魔術学院、学長ラルス・A・シオンである。学院に所属する全人員に告ぐ! 本日を以て、学院は新体制にシフトする。》
「は、始まったでヤンス!?」
「新体制? 何のことかしら?」
昨日の予告と同じく全員に対して、思念波を送っている。突然の新体制宣言。事前に先生方からも全く話がなかった上、噂も特に出回っていなかった。想像が付かない。急にそんなことを始めるなんて……。
《我が学院にて画期的な試みを実施する。この試みは人類の進化、魔術の発展に
大きく貢献するものと、私は確信している。所属する諸君は誇りに思うが良い。》
学長の話は大きく飛躍している。進化とか発展とか、魔術を学んで習得する学院に何を求めているんだろう? 話の要点は掴めないけれど、なんだか怖いことを言っているような気がする。
《学院内には様々な人間が存在している。教鞭を振るう者、勉学に励み魔力を高める者、魔術を研究し真理を追究する者。その中に於いても才能の違い、生まれの血統の違いもあるだろう。魔術によって生命を吹き込まれた者もいるだろう。》
色んな人がいるのは知っている。私のような闇の力に浸食された人やタニシさんのような獣人、ローラの様な人工の生命体もいる。それが新体制とどう関係があるのだろう?
《誰が最も優れているか? いや、誰が覇権を握るかと言ってもいい。共存・協力・調和を求める者もいるだろう。だが、それは正しいのか? 平和というものは停滞どころか衰退を促進する。ではどうすればそれを防げるか? 本来、競い合ってこそ人類、生物は進化をする。争い無しに発展は為し得ない!》
話の風向きが変わってきた。恐い方向へと突き進んでいっている。私は恐れてる。ひょっとしてこれは恐ろしいことの始まりなのではないかと。でもそれは全力で否定したい!
《新体制とは“バトルロイヤル”を実施することを意味する! 諸君、互いに競い合え、争い合え、殺し合え! 徒党を組んでも、たった一人で戦いに挑んでも構わない。手段も問わない! ただし、逃げ出す事は認めない。徹底して戦うことを求める!》
バトルロイヤル? 競い戦わせる? 殺し合うことすら認める? 何を言っているの? ここは魔術を学ぶための学院のはず! そんな恐ろしいことをするために訪れた訳じゃない!
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