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第3章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派【灰と青春と学園モノ!!】
第222話 君たちはどう生き残るのか?
しおりを挟む「揃ったな。では、追加実習についての概要を簡単に説明する。」
追加実習の初日の早朝、小さめの講義室に俺たちは集合していた。そこには担任のアンネ・リーマン先生もいた。実習の説明と案内のためだろう。加えて早朝なのは、通常の授業に影響するからだと思われる。俺らのせいで授業を止めるわけにもいかんもんね。
「場所はデス・マジーン島、ここで五日間生き残ること。手段は問わない。何が起ころうと生き残っていれば達成扱いとする。」
生き残っていれば? 手段は問わない? まるで何をしても生き残れないよ、と言っているかのようだ。しかも、犠牲者が出る前提である。もちろん学院側からすれば全員犠牲にさせるつもりなんだろうけどな。
「手段は問わない? ホントに? じゃあ、俺、武術使ってもいい?」
「却下だ。お前は例外。学長の取り決めは絶対だ。学長の意志決定は全てに優先する。この学院においてはな。」
それって手段を問わないって言わなくない?やはり問答無用で俺を始末したいようだな。でも、使っちゃうかもね? 命を失ってまで守りたくないし。そこんところわかっているんだろうか? 素直に死ぬヤツなんてどこにもいやしないのにねえ?
「知っての通り、あの島には多くの猛獣、魔獣の類いが生息している。それを倒し食らってもいい。逃げおおせるのも手の内だ。もしくは手なずけてしまっても構わない。生き残るためにはどのような対処をしても良い。」
普通に考えたら、凶悪モンスターに喰われちゃう可能性が一番高いと思うのだが? それと手なずけることも示唆してくるということは、こちらの動き感付いているかもしれんな。セクシー先輩はこちらの陣営にいるから何か秘策を授けられているというのは想定しているだろう。なにか手を打ってあると警戒しておいた方がいいかもな?
「各種野営キットなど、基本的なツールはこちらから支給する。もちろんこの中には水、食料の類いは入っていない。個人的な持ち込みも禁止とする。」
水・食料はないけど、テントとかは支給するってか? のんびり寝泊まりできりゃあいいけどな? それよりも何か忘れてません? 棺桶が必要なんじゃないですかね? いや、いらないか。魔獣に喰われるし。鳥葬ならぬ、獣葬ってか? いや魔獣に鳥系も含まれてるかもしれんけど。
「ハイハイ、質問! 生き残るって話になってるけど、島から脱出するってのはありなの?」
一応、根幹の部分なので聞いてみた。到底、逃げれるとは思えないが、念のため。学院側がどういう対策を取っているかは探っておきたい。
「脱出か? 無人島でサバイバルをせよと言ってるのにか? もちろん、そんなこと出来はしない。あの島は一種の閉鎖空間。逃げることはおろか、外部からの侵入も不可能だ。そういった支援は不可能だと思っておくのだな。」
環境的に対策は十分取ってあるということか。出ることも入ることも出来なくなっている。まるで、仮想空間みたいな環境だな? 似たような環境にしているのかもしれない。じゃあ、銀仮面は出てこないと仮定していいんだよね?
「俺からも質問だ。この課題は五人全員協力し合わなくてもいいんだよな? 生き残れば問題ないんだよな?」
「ちょっ!? トニヤ君、物騒な事言わないでほしいでヤンス!」
「確かに手段を選ばずに生き残れとしか言ってないもんな?」
トニヤがチームワークの是非についての質問をしてきた。確かにダンジョン実習ではチームが一丸となって立ち向かうことを推奨していたが、今回は生き残れとしか言っていない。当然出てくる疑問だ。とはいえタニシは動揺している。これが普通のリアクションだろう。俺も含めてタニシ以外はそういう反応をしていない。おかしいぞ?
「言及していないということは問わないという意味だ。五人全員で一丸となって立ち向かってもいいが、個人個人で立ち向かってもいい。手段は問わない、と言ったのは自由に任せるということだ。」
「わかった。考えておこう。」
意味深なこと言うな? トニヤは例の件の決着は付けてきたんだろうか? 顔つきは割と決意というか覚悟を決めたような雰囲気を醸し出している。この前の悩み苦しむ姿とはえらい違いだ。ちゃんと向き合ってきたと考えて間違いなさそうだ。でも……正直、俺の勘は危険を告げている。何かイヤな予感がしてしょうが無い。それはトニヤから感じる物だけではない。この教室全体から感じるのだ……。
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