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第3章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派【灰と青春と学園モノ!!】
第219話 今度は島流しらしいぞ!
しおりを挟む「何ぃ!? 無人島でサバイバルしろだとぉ!?」
嫌な予感がすると思っていたら、見事に的中! 不完全に終わったダンジョン実習を補足する形で課されることになった追加の実習! その内容が無人島で数日間生き残ることだったのである!
「最悪の実習だぜ。その舞台は学院の中でも悪名高い、デス・マジーン島だ! 一度入ったら二度と戻って来れない事で有名でな。あの場所はある意味流刑の地。実習を装った死刑みたいなもんだ。」
「とうとう、包み隠さず、本気で殺しにかかって来やがったか!」
決闘よりもあからさまに「死んで来いよ?」と言わんばかりの実習内容だな。本来のダンジョン実習で始末するつもりが失敗に終わったから、今度こそはと、本気で仕留めるつもりなんだろう。
「で? どんなところなんだ?」
「何日か生き残れ、とはなっているがたった一日ですら生き残るのは難しいとさえ言われている。」
「食料に出来そうなものがないとか、砂漠みたいに気温が高いとか、それ以前に無人島だから飲み水の確保が大変だったりとか?」
「そんな生っちょろいモンじゃないぜ! 食料探すどころか、自分たちが食料にされるだろうな。猛獣、魔獣のパラダイスなんだぜ、あそこは。」
モンスターだらけで、自分たちが食われる可能性の方が高いのか。巣とか餌場に放り込まれる様なものなのだろう。でもそれぐらいならなんとかなりそうな気もする。魔獣を見つけ次第、問答無用で殴り倒すヤベーやつが身内にいるから。俺だってそう簡単には負けない。
「島に着くなり、総力戦の準備をした方が身のためだろうな。降り立った瞬間から戦いは始まる。」
「まるで戦場みたいだな。」
「ある意味戦場だろうさ。生存競争って言う名前のな。」
「で、お勧めの生存プランとかある?」
「あるわけないだろ。実質、これは死刑みたいなもんだ。さっきも言っただろうが。」
足掻いても無駄、抵抗しても無駄、逃げようとしても無駄。トニヤはまるでそんなことを言い出しそうなツラをしていた。なんとか学院を出し抜いてやろう、暴いてやろうと、いつも躍起になっているヤツが諦めムードを醸し出している。もしかしたら、例の件もあるので自暴自棄になっているのかもしれない。
「俺にはあるぜ。生存プランが。」
「つまらんこと言ったら許さんぞ。」
「まあ、聞けよ。魔獣対策だが、俺らメンバーの中に魔獣キラーが一人いるよな? そいつを忘れてないか?」
「は?」
今は店で客引きをやらせているので不在だが、ヤツがやりがちな筋肉を見せつけるポーズとタマネギ頭手のジェスチャーで表現して見せた。まあ、ここまでしなくても憶測は付いているだろうけども。
「筋肉と爆発だけが取り柄の筋肉バカがいるだろう? ダンジョンだと本領を発揮できなかったが、屋外なら話は別だ。爆発し放題だし、ヤツはデーモンでさえ寄せ付けなかった実績がある。アーク・デーモンですら倒すくらいだ。頼りになるはずだ。」
ヤツは前の猿の魔王戦では苦戦しながらも、大暴れしていた。上位クラスのアーク・デーモンにはさすがに刃が立たなかったようだが、生還はしている。魔獣ぐらいでは死にはしないだろう。喰われても体内から爆発して脱出するほどだから心配ないだろう。
「あんなの一人いたくらいでどうにかなるもんか!」
「俺もいるじゃないか?」
「アンタは剣とか封じられてるだろ!」
「ホントに危険な状況になったら、武術くらい解禁するさ。そんな状況で禁止とか律儀に守ってたら命がいくつあっても足りないぜ!」
それぐらいはするし、剣だって生えてる木から木剣くらい作るさ。それこそサバイバルだ。現地調達。やれることはいくらでもあるはずだ。
「それにさ、相手は魔獣だ。身近に専門家がいるだろ? セクシー先輩に色々、魔獣の習性とか弱点とか聞けるだろうし。なんなら手懐け方を教えてもらうのもありかもな?」
「ヘッ! そんなうまくいくもんかよ!」
「いくさ! あともう一つ切り札がある。それは……、」
みんな首を傾げる中で、俺は人差し指をゆっくりと、ある人物へと向けた。
「オイ! これはどういう意味だ?」
指をさした人物、それはトニヤだった。これは冗談とかではない。意図があってそうしたのだ。
「どういう意味かって? こういう意味だ!」
(バキッ!!)
トニヤを思いっきり殴った。予想外の俺の行動にみんな騒然としている。となりにいたジムは殴られて吹っ飛んだトニヤに駆け寄った。
「何……しやがる!!」
最初は何が起きたのかわからないという様な顔をしていたが、次第に怒りの表情へと変わっていった。
「何って? お前に喝を入れてやったんだよ。お前、死ぬかもしれないって時に最高にらしくない顔をしていたからな?」
「うるさい!」
「無駄だとか思う前に、“例の件”、さっさと決着付けて来いよ。付けてこれば、戦いへの決心がつくだろうさ。出来ないなら、来なくてもいい。最初から諦めムードのヤツは来るべきじゃないだろうからな!」
「クソッ!?」
心底悔しそうな顔をしている。大切な人へのわだかまりがある状態で危険な課題に参加させるわけにはいかない。晴れない心で挑んでも、命を落としてしまうかもしれないからな。
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