上 下
204 / 331
第3章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派【灰と青春と学園モノ!!】

第204話 次、行ってみよう!!

しおりを挟む

「ううっぷ! これでしばらくは何も食べなくて済むな!」


 ありえないくらいビッグサイズなメニューをなんとか、残しても文句言われない程度まで飲食した。まずはトースト。これはチーズたっぷりと銘打っているだけあって、ホントにたっぷりではあったが、ぱっと見、チーズの塊だった。チーズに埋もれて本体が見えない、なんて事態になっていたのだ!


「げふぅー! 飲み過ぎてお腹タプタプになっちまったでヤンスぅ!」

「オイオイ、ボッタクリ・サイズを自ら頼んでおいてそれはないぜ、タニシさんよ。」

「げふぅ! 飲み物はたっぷり飲むのが楽しいんでヤンス! まさにナイトメアンに悪夢な気分になるのがたまらんでヤンス!」


 悪夢とか言ってるが、眠気覚まし効果のあるコーヒーを飲んで、それを語るのはどうなのか? しかもナイトメアン・コーヒーって普通よりも濃いめじゃなかったか? ますます夢から遠のく行為をするのはどうなんだよ! ないわぁー!


「いやぁ! 腹一杯ッスわぁ! 満足ッスわぁ! まだなんとか、別腹で何かいけそうッスわぁ!!」


 ゲイリーは腹一杯とか言ってる割に別腹いけるとか言ってやがる! そして、ことあるごとに俺の方にチラッ、チラッと目線を送ってくる。さては貴様……俺の残りを狙っているなッ! コイツ自体、パーティーとかの大人数で取り分けるサイズの謎ケーキを頼んでやがったクセに! まだ食べると言うのかッ! 三種か? 俺が頼んだ三種とも欲しいのか? このイヤしんぼめ!


「さあ、そろそろ行こうぜ? 十分休んだだろ?」

「休めてねえよ! むしろ腹一杯で休まないといけない羽目になったわ!」

「何だよ? 情けねえな。」

「お前がダメダ・コーヒーの罠にはめるからだろ! 初心者だからってからかいやがって!」


 トニヤはニヤニヤしながら、俺を非難する。俺を非難しているが、元凶はコイツ自身だ。ついでに言うとダメおじもだが。


「そういえば、さっきからオジサンの姿が見えないでヤンス。どこ行ったヤンス?」

「いつの間にかいなくなってたな?」


 頼んだメニューに気を取られて放置していたら、どこかへ雲隠れしてしまったようだ。オジサンの狙いは例のエロ人形だけのはずだから、他にこのダンジョンに来る目的はないはず。とはいえ本当に周囲に気配はない。あの人に気配を消す技術があるとも思えない。何処へ?


「ほうわぁーーーっ!? 流されるでぎゃンスぅ!?」


 通路の奥から、オジサンの悲鳴らしき声がきこえてきた。ついでに水が流れるような音も聞こえてくる。この通路には水に関する物は何もなかったと思うが? 何があったのか? 


(ザザザザーーーーッ!!!)

「おうわぁーーっ!? ダメでガンス!? このままでは海の藻屑になるグワンスぅ!」


 大量の水と共にオジサンが流されてきた! おまけにワケのわからないことまで口走っている。どんどん水の量が増えて、俺らの所まで迫ってきた。


「と、とりあえず、逃げるぞ!」


 みんな急いで立ち上がり、全力ダッシュで逃げる! しかし、腹一杯だから苦しい! チクショウ! なんでこんな時にダンジョンで洪水に巻き込まれるんだ? 


「オイ、トニヤ! コレも“異変”のうちか?」

「まあ、そうだろうな。突然起こる洪水、コレも七不思議、№6だな!」

「なんかこの学院の七不思議、このダンジョンに偏ってないか? おかしいぞ!」

「知るかよ!」


 押し寄せてくる水流から逃げながら、トニヤに疑問を投げかけた。これも七不思議であったらしい。どんな七不思議だよ。ダンジョンで水に流されるってどういう事だよ。とはいえ、以前は砂に流された事を思い出した。狭い通路が続くから、とりあえず侵入者を流しとけ、的な発想なのだろう。ムカつくなぁ。


「おお? とりあえず収まったみたいだぞ!」


 水流は収まった。流されることはなかったが足首の辺りまで濡れてしまった。これは切り抜けられたが、大分通路を逆走してしまった! 嫌な予感がする……。


「あ! 表示が“0”になっちまってるぅ!」


 てことは最初からやり直し? 嘘だろ、オイ! あんなんありか? 卑怯すぎるだろ! そのまま進むには溺れてでも留まれと言うんかい!


「おじさん! 一体、何をしたんでヤンしゅかぁ!」


 タニシがオジサンにキレている。タニシは水の中に入るのが嫌いなので、キレているんだろう。多分、元凶はオジサンだろう。俺らの攻略は振り出しに戻ったし、あれは“異変”とは関係なさそうだしな。


「いやぁ、アッシも驚いたでガンス。トイレで用を足して流そうとしたら、ウ○チが詰まって水が溢れてしまったでガンス! てへっ!!」


 ちょ! なんでダンジョン内にトイレがあるんだよ! しかも水洗式か! 無駄に豪華すぎるだろ! 誰が何のために設置した? 今まで通過したときは無かったのに!


「『てへっ』じゃねーよ!!」


 俺とタニシはブチ切れた! オジサンのヘンなちょっかいのせいで台無しにされたんだから、キレるしかない! なんなんだろ? こんなんでダンジョンは突破できるんだろうか?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!! 国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。 幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。 彼はもう限界だったのだ。 「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」 そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。 その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。 その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。 かのように思われた。 「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」 勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。 本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!! 基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。 異世界版の光源氏のようなストーリーです! ……やっぱりちょっと違います笑 また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。

飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。 ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。 そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。 しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。 自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。 アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

処理中です...