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第3章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派【灰と青春と学園モノ!!】

第204話 次、行ってみよう!!

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「ううっぷ! これでしばらくは何も食べなくて済むな!」


 ありえないくらいビッグサイズなメニューをなんとか、残しても文句言われない程度まで飲食した。まずはトースト。これはチーズたっぷりと銘打っているだけあって、ホントにたっぷりではあったが、ぱっと見、チーズの塊だった。チーズに埋もれて本体が見えない、なんて事態になっていたのだ!


「げふぅー! 飲み過ぎてお腹タプタプになっちまったでヤンスぅ!」

「オイオイ、ボッタクリ・サイズを自ら頼んでおいてそれはないぜ、タニシさんよ。」

「げふぅ! 飲み物はたっぷり飲むのが楽しいんでヤンス! まさにナイトメアンに悪夢な気分になるのがたまらんでヤンス!」


 悪夢とか言ってるが、眠気覚まし効果のあるコーヒーを飲んで、それを語るのはどうなのか? しかもナイトメアン・コーヒーって普通よりも濃いめじゃなかったか? ますます夢から遠のく行為をするのはどうなんだよ! ないわぁー!


「いやぁ! 腹一杯ッスわぁ! 満足ッスわぁ! まだなんとか、別腹で何かいけそうッスわぁ!!」


 ゲイリーは腹一杯とか言ってる割に別腹いけるとか言ってやがる! そして、ことあるごとに俺の方にチラッ、チラッと目線を送ってくる。さては貴様……俺の残りを狙っているなッ! コイツ自体、パーティーとかの大人数で取り分けるサイズの謎ケーキを頼んでやがったクセに! まだ食べると言うのかッ! 三種か? 俺が頼んだ三種とも欲しいのか? このイヤしんぼめ!


「さあ、そろそろ行こうぜ? 十分休んだだろ?」

「休めてねえよ! むしろ腹一杯で休まないといけない羽目になったわ!」

「何だよ? 情けねえな。」

「お前がダメダ・コーヒーの罠にはめるからだろ! 初心者だからってからかいやがって!」


 トニヤはニヤニヤしながら、俺を非難する。俺を非難しているが、元凶はコイツ自身だ。ついでに言うとダメおじもだが。


「そういえば、さっきからオジサンの姿が見えないでヤンス。どこ行ったヤンス?」

「いつの間にかいなくなってたな?」


 頼んだメニューに気を取られて放置していたら、どこかへ雲隠れしてしまったようだ。オジサンの狙いは例のエロ人形だけのはずだから、他にこのダンジョンに来る目的はないはず。とはいえ本当に周囲に気配はない。あの人に気配を消す技術があるとも思えない。何処へ?


「ほうわぁーーーっ!? 流されるでぎゃンスぅ!?」


 通路の奥から、オジサンの悲鳴らしき声がきこえてきた。ついでに水が流れるような音も聞こえてくる。この通路には水に関する物は何もなかったと思うが? 何があったのか? 


(ザザザザーーーーッ!!!)

「おうわぁーーっ!? ダメでガンス!? このままでは海の藻屑になるグワンスぅ!」


 大量の水と共にオジサンが流されてきた! おまけにワケのわからないことまで口走っている。どんどん水の量が増えて、俺らの所まで迫ってきた。


「と、とりあえず、逃げるぞ!」


 みんな急いで立ち上がり、全力ダッシュで逃げる! しかし、腹一杯だから苦しい! チクショウ! なんでこんな時にダンジョンで洪水に巻き込まれるんだ? 


「オイ、トニヤ! コレも“異変”のうちか?」

「まあ、そうだろうな。突然起こる洪水、コレも七不思議、№6だな!」

「なんかこの学院の七不思議、このダンジョンに偏ってないか? おかしいぞ!」

「知るかよ!」


 押し寄せてくる水流から逃げながら、トニヤに疑問を投げかけた。これも七不思議であったらしい。どんな七不思議だよ。ダンジョンで水に流されるってどういう事だよ。とはいえ、以前は砂に流された事を思い出した。狭い通路が続くから、とりあえず侵入者を流しとけ、的な発想なのだろう。ムカつくなぁ。


「おお? とりあえず収まったみたいだぞ!」


 水流は収まった。流されることはなかったが足首の辺りまで濡れてしまった。これは切り抜けられたが、大分通路を逆走してしまった! 嫌な予感がする……。


「あ! 表示が“0”になっちまってるぅ!」


 てことは最初からやり直し? 嘘だろ、オイ! あんなんありか? 卑怯すぎるだろ! そのまま進むには溺れてでも留まれと言うんかい!


「おじさん! 一体、何をしたんでヤンしゅかぁ!」


 タニシがオジサンにキレている。タニシは水の中に入るのが嫌いなので、キレているんだろう。多分、元凶はオジサンだろう。俺らの攻略は振り出しに戻ったし、あれは“異変”とは関係なさそうだしな。


「いやぁ、アッシも驚いたでガンス。トイレで用を足して流そうとしたら、ウ○チが詰まって水が溢れてしまったでガンス! てへっ!!」


 ちょ! なんでダンジョン内にトイレがあるんだよ! しかも水洗式か! 無駄に豪華すぎるだろ! 誰が何のために設置した? 今まで通過したときは無かったのに!


「『てへっ』じゃねーよ!!」


 俺とタニシはブチ切れた! オジサンのヘンなちょっかいのせいで台無しにされたんだから、キレるしかない! なんなんだろ? こんなんでダンジョンは突破できるんだろうか?
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