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第3章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派【灰と青春と学園モノ!!】
第201話 学院の七不思議No.8“パチ番出口”
しおりを挟む「おいおい、こんなところに何か書いてあるぞ?」
俺たちはダンジョンに入り、早速、何らかの異変に出くわした。壁に注意書きが書かれていたのである! 何らかの施設とか倉庫とかじゃあるまいに、入ってくる人間に注意を促しているのである。
「なになに……? 『ここから先、八番入り口を目指して通路を進むこと。ただし、何か異変があれば引き返すこと!』ナニコレ?」
「こ、これは!?」
注意書きを読み上げると、ゲイリーが突然、声を張り上げた。今日は朝からCFMの間はずっとふて寝を決め込んでいたというのに、急に元気になりやがって! 珍しく何かに気付いたんだろうか?
「これはアレっすよ! アレしかないッスよ!!」
「アレって何だよ?」
「もちろんそれは……爆発、ッスよ!!!」
「却下!」
「師匠、ソレはないッスよ! 俺の渾身の上策なんスから!」
「下策ですらないので却下!」
全くもう! 隙あらば爆発じゃないか! 爆発でなんでも解決できると思うなよ! ほら見ろ! トニヤとジムが呆れてんじゃないか! 恥ずかしい!
「……なんだか、この文言、どこかで聞いたことがありますね? 既視感を感じます。」
「ああ。俺もそれを考えていた。これが所謂、学院七不思議というヤツだな。」
「七不思議だと?」
初めて聞いたなそんなこと? ここ最近は行方不明事件の手掛かりとか、タニシ食堂の新メニュー開発で手一杯になっていたしなぁ。学生の間で広まっている無関係な噂までチェックはしてなかった。まあでもありがちな雑談のタネだから、どこにでもあるんだなという感じはする。
「学院の七不思議No.8、通称“八番出口”。」
「七不思議とか言っといて、NO.8、ってどういうこと?」
「さあな? それも七不思議の内って事だよ。」
「意味わかんない!」
七個までなのに八個目があるとは!? まさか“十二人の魔王”とかも実は十三人いたりして……。深く考えるのはやめとこう。
「ここでは八番入り口だが、それはセン公どもがアレンジしてダンジョンのトラップに組み込みやがったんだろうな?」
「こんなの邪道でヤンスよ! 王道から逸れてるのは認めないでヤンス!」
「いや、お前の意見がどうあれ、挑戦は避けられないぞ。観念しな。」
いちいちウルサいなダンジョン奉行は! そんなだから、ゲンコツのおっちゃんに丁稚奉公に出されるんだ。いつまでも最新鋭のトラップに対抗できなくなるぞ。
「で、噂の上ではどうなってる?」
「一見、シンプルに見えて厄介なトラップだ。異変の見極めが難しいんだよ。わかりやすい物から微妙すぎて判別がつかないヤツとか。とにかく八回見極めて通過しないと突破できない仕組みだ。」
要するに間違い探し? それが八回繰り返されると? まあでも、専門的な知識はいらなさそうだな。そこまで質が悪いワケではないのでは?
「何とかなるだろ。行くぞ。」
「そりゃどうかな? このトラップは不具合も発生する。制作者の予期していない“異変”が発生することもあるんだぜ? そうなりゃ、“異変”と“不具合”の見分けはつかない。」
「なんだよそれ! 理不尽極まりないじゃないか!」
「そうだ。理不尽だ。理不尽でもトラップ側はそれを容赦なく失敗と見なす。その繰り返しでいつまでも突破できないヤツもいるらしいぜ?それがコレの恐ろしいところだ。」
「グ、グムー!?」
いつまでも突破できない場合もある? その割にはそういう情報が出回ってるのは不自然だな。まあ野暮なツッコミは止めておこうか。
「トニヤ? お前、ヤケに詳しいなこのトラップに? まさか、お前こそがこの七不思議の発信源じゃないだろうな?」
その可能性はある。コイツとリン先輩も一応疑った方がいいかもしれないし。ローラの話とは噛み合わない件もあるしな。やまをかけてみたのだ。
「まさか? 実は俺、このトラップにかかったことがあったんだ。結果は見ての通りって事だ。」
「突破経験があると言うんだな?」
「その通り。その上での忠告っつーことだ!」
経験済みって事? なるほどね。だからペラペラしゃべるのか。
「そうと決まれば、ヤッパリ爆発ッスね!!」
「いいから、お前はもう黙ってろ!」
「マチョバボーーーン!?」
「変な奇声まで、エロ犬のマネせんでいいから!」
おしゃべりはここまでにしといて、攻略に乗り出すとするか。まだダンジョンに入ったばかり。いつまでも、入り口付近で手間取ってるワケにはいかない!
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