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第3章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派【灰と青春と学園モノ!!】

第184話 MG(マッタリグレード)・Ver.Ta(バージョンタニシ)

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「何なんだよ、C・F・Mって?」


 実習に挑むメンバーを結成したついでに色々作戦会議をしようということになった。ジムにも声をかけ参加させている。そこで急にハリキリ始めたのがタニシだ。久々に例のアレをやることになったのだ。


「キャンプ・ファイヤー・ミーティングの略だよ。ダンジョンに挑む前の安全教育みたいなもんだ。」

「“ファイヤー”ではないでヤンス! “ファイアー”でヤンス!」

「どう違うんだよ?」

「な? メンドクサイだろ? でも付き合わないと、ダンジョン入ったときに小言を言われまくると思うぜ?」


 タニシはダンジョンの話になると、止まらなくなる。いらん豆知識、ウンチクを延々と語り始めるので、犬だけど暴れ牛みたいに止まらないし、止められなくなる。だから、メンドクサイのだ。


「ハイ! 皆さん、始めるでヤンスよ!」

「ハイハイ。」

「そこ! ハイは一回でヨシ!」


 ダンジョンのことになると突然強気になり始める。こうなると、もう誰にも止められない。暴れ牛は解き放たれたのだ!


「まずは一個目! この状況、アナタならどうする?」


 問題を出題すると共に、何か人形と土台を持ってきてセッティングを始めた。ダンジョンの壁と兜を被った猫…ボウケンねこが土台に配置された。今回は絵ではない模様。意外な展開だ。


「猫さんはダンジョンの攻略中、分かれ道に差し掛かりました。どちらに行こうか迷っています。分かれ道の右側の先は曲がり角になっていて、左側は先が暗くなっています。どんなトラブルが考えられますか? コマンド?」

「その前にナニコレ? 今回は絵じゃないのか?」

「わふっふっふ! よくぞ聞いてくれました! これはCFMの進化形、CFM・MG(マッタリグレード)・Ver.Ta(バージョンタニシ)でヤンス!」


 何だよそれは? MGとか、バージョンタニシとか。大層な名前を付けたり、絵を人形に置き換えただけでやることは同じじゃないか。変に凝ったりしやがって。


「出題の絵を人形に置き換えただけじゃないか?」

「そこ! うるさい! 素人は黙ってなさい!!」


 怒られた。何だよ、ツッコミ待ちだと思ってたのに……。つまんないの。


「なんだ? これに答えればいいのか? じゃあ……右側に行こうとして曲がり角に待ち構えていた魔物に襲われる。」


 トニヤが速攻で答えた。でも割と普通の回答だ。初心者だからしょうがないか。


「そうそう、そんな感じ! ハイ、他は?」

「じゃあ僕も。左側を進んで、暗くて見えなかったので、罠に気付かず作動させてしまう。」


 ジムも真面目な回答だ。ここは俺が勇者の貫禄を見せてやらないとな!


「次は俺! 分かれ道はどっちも罠だと思ったので、第三の道を掘り出そうとしたが、落盤して生き埋めになる!」

「あああーっ! また、アニキの悪癖が始まったでヤンスぅ! そんなあり得ないシチュエーションは問題外でヤンス!」

「ええーっ? でも、その方が面白いじゃん?」

「そんなネタ回答はいらないでヤンス!」


 そうかなあ? いい回答だと思ったんだが。タニシにはイマイチ刺さらなかったようだ。別のヤツを考えよう。


「俺ッチもいいっすか? 分かれ道どっちがいいか迷ったので、筋トレしながら考えていたら、エネルギー切れで死亡するッス!」

「何故迷ったら筋トレなんでヤンスかぁ! ダンジョンでは意味不明な死に方でヤンスぅ!」

「いやいや、マッチョ業界ではたまにある事故ッスよ? 知らないんスか? マッスル・ノウザン氏はそれで死んだんすよ! まだ若いッスのに!」

「そんな人知らないでヤンス! それはダンジョンの話じゃなくて、筋トレの話でヤンス! マッチョ要素はいらないでヤンスよぅ!」


 チクショウ! その手があったか! 弟子に一本取られてしまった! くそう、筋肉ゴリラも意外と侮れないな!
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