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第3章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派【灰と青春と学園モノ!!】
第180話 太陽戦隊の方でしたっけ?
しおりを挟む「開店早々、順調じゃないか。」
とうとう、“タニシ食堂”開店の日がやってきた。噂を聞きつけてやってきた人達でごった返している。店からあふれて行列ができている。ベヒモス料理のときの常連さんもチラホラ見えるな。
「まさか噂のガツ丼が学院で食べられるなんて夢みたいだ!」
「ガツ丼以外に独自のメニューも展開するらしいぞ。」
「これで自分の食事事情は大きく改善する! 出店ありがとう!」
「何を食べようかな?」
行列の中から様々な声が聞こえてくる。そのほとんどが店に対する期待のようだ。客は本家ガツ森と同じで男ばっかりだ。この辺はもうちょっと策を講じる必要があるな。タニシ食堂のコンセプト的に老若男女問わずというのを目指しているし。
「大忙しで目が回るでヤンス!」
「店長、これ、どうしたらいいんすか?」
混んでいるからこそ、店員も忙しくなる。学生バイト店員を早速雇い入れているので、その指示をしてやる必要がある。事前に教育なども行ったとはいえ、本番はまた勝手が違ってくる。状況に合わせて臨機応変に対応しないといけない。
「グヘヘ、大した盛況ぶりでおまんなぁ。」
下品な笑い声と野太い声が聞こえてきた! この特徴的な口調……オーク族に違いない!
「この前はおもろいもん見さしてもろたのぉ。勇者のあんちゃん。」
「あーっ!? さ、さ、」
この前のハンバーグ選手権のゲスト審査員!サヨちゃんの代役として出てきた、胡散臭さ抜群のグルメ評論家! えーっと、名前が出てこない。何だっけ?
「さ、サンゲン・オオカニさんでしたっけ?」
「ちゃうわ!」
「じゃ、じゃあ、サンデー・オオモリ?」
「ちゃう!! シバいたろか!!」
「ん~? あ、思い出した! サンバルカン・センタイさんだ!」
「更に正解から遠のいとるやんけ、ワレぇ! ドタマ、カチ割ったろか!!」
あれぇ? 絶対、正解だと思ったのになぁ?えーと、サン、サン、サン……?
「……サワヤカ・サンクミさんで合ってますよね?」
「ちゃうわぁ!! なめとんかい、ワレェ!! わしゃ、サンディー・オオタニじゃあっ!!」
「……サンデー・ウェブリ?」
「ワレ、どこまでボケ倒すんじゃ、ボケぇ!! 耳ん中、ドリルでかっぽじったろかい!!」
「え? そんなんできるんですか?」
「ホンマにやったろか! 今度、ドリル持って来たるわぁ!!」
オッサンにキレられている間に、タガメおじさんが合間を見てやってきた。開店初日だったので、様子を見に来てくれていたのだ。
「なんで、サンディーがこんな所にいるんでガンス?」
「オウ、タガメはん、景気よろしゅうおまんなぁ?」
「冷やかしに来た? アッシの甥っ子のデビューを祝いに来てくれワケではないガンスよねぇ?」
そうだよ。なんでこんな所にいるんだ? 普通にガツ丼を食べに来たワケではないよな? なんだかあやしい商売をしてるみたいだし、邪魔しに来たんじゃ……?
「ワシがここにおるっつう事はやな、アレしかあらへんやろ?」
「……アレ? まさか……優勝とか……?」
「んなわけあるかい! どこから優勝みたいなんを連想しとんねん!」
「いや、なんとなく頭に浮かんだもんで……。」
「銭やがな、銭! 銭の匂いがプンプンしとるんや、この学院は!」
そんなに匂いがするもんなんだろうか? もしかして、貴重なキノコを探すのには豚の嗅覚が必要になるのと同じ原理だろうか? ちょっと違うか?
「またまた、アッシの邪魔しにきたんでガンスな? ホント、懲りないヤツでガンスねぇ。」
「ええがな! 商売っちゅうモンは競い合った方がお互い儲かんねん! アンタとは腐れ縁やから逃げられると思とったら大間違いやでぇ!」
タガメおじさんの商売敵だったとは。いやなもんだな。こんなオッサンに付き纏われるのは疲れそうでイヤだ。お金の話ばっかりしてきそうだもん。
「まあ、よう見ときや! その内、人気をかっさらう店がオープンするさかい。ワシら“アホうま”グループの力を見せたるわ! ほな!」
サンデーのオッサンは去って行った。わざわざ宣戦布告しに来る辺り、準備自体はもう始めているのかもしれない。タガメおじさんは怯まずに堂々とした面持ちでオッサンの背中を眺めていた。
「おじさん? あのオッサンの店って有名なの?」
「うん。アッシらのグループに対抗する形で競合店を出してくるんでガンスよ。“ガツ森”には“ウマ山”、“ガッツ・バーガー”には“AHO・バーガー”、“オガワッキー・フライド・チキン(OFC)”には“ウマ揚げの達人”、“ガッツリ!?・ステーキ”には“アホほどウマいステーキ!?”とか。挙げたらキリがないでガンス。」
「……エェ!?」
対抗意識メラメラじゃないか! というかオガワグループの店がそんなにあったとは! 行く先々の都市部でたまに見かけるが、おじさんとオッサンの熾烈な戦いが行われていたんだな……。
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