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第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】
第164話 極端派奥義 第二弾!!
しおりを挟む「ぐわあああああっ!?」
突然、瓶から吹き出したゴッツンにより、一瞬にしてトニヤは液体にまみれた。普通ならただ水浸しになるだけだが、静電気を体に纏わせていたのなら話は違う。水に濡れていると雷が体に伝いやすくなるそうだ。こうすればヤツは自滅することになる。
「クソッ! 舐めたマネしやがって!」
雷の防御は解除してダメージを抑えたようだが、おかげでこの防御法は封じることが出来た。水浸しにすれば雷の防御魔法を封じる事が出来ると、トレ坊先生から教わったのだ。当然、これは武術ではないのでセーフ、のはず。
「ふはは! 俺の秘技を使わずとも、魔法を封じる手段はあるんだぜ!」
ゴッツンに入れた物体は炭のかけらだ。どうもシュワシュワする飲み物に微細な穴の空いたものを入れると噴出するらしい。前にサヨちゃんがタニシにこれを喰らわせて遊んでいたのを見て、原理を教えてもらったのだ。水をかける手段として何か無い物かと考えていたところ、ゴッツンを飲んでいたタニシを見て思い出したのだ。
「ぜってぇ許さねぇ!! ブッ殺す!!」
「鬼さんコチラ! 手の鳴る方へっ!」
このままでもブチ切れているが、更に煽る! 初対面のときからキレやすいのはわかっていたし、魔術師を相手にするなら冷静さを失わせるのは有効だからだ。冷静に頭が回ってこそ真価を発揮できるのが魔術師、って話をトレ坊先生から聞いた。
「ライトニング・ウイップ!!」
(バチバチッ!!)
一筋の雷光が俺を貫こうとした。でも、初回の一撃と同じく直線的な攻撃のため、かわすのは簡単だった。
「バーカ! 躱せたと思ったら大間違いだ!」
背後に嫌な気配を感じた。その勘に従って身を屈めてかわす。頭上を雷光が通り過ぎる気配がした。道理で雷撃の音が止まないはずだ!
「どぅわっ!?」
(バチバチバチッ!!!)
最初のアレは前振りだったワケだ。雷光が鞭のようにしなって迸っている。ウィップって鞭って意味だったか? 魔法名がヒントになっていたとはね。俺が異国人だからこそ通用するだまし討ちだろう。
「そら、そらっ! 目一杯、縄跳びを楽しみな!」
命がけの縄跳びとも言える様相だった。縦横無尽に雷光の鞭が迸り、俺を捕らえようとしている。流石に剣や槍と違って身がしなる分軌道が読みにくい。おまけに実体がない雷なので通常の鞭よりも柔軟に動き回る。まるで生きた蛇のようでもある。
「舐めたマネをしてくれやがった礼だ! 俺の雷撃で散々苦しませてやる!」
この状況で鞭をもう一本増やした! 空いていた方の手にも展開させたのだ。これはそろそろ、あの技を使わざるを得ないか。
「そらよっ! 死んじまいなっ!!」
左右から横薙ぎの一撃が振るわれる! 交差するタイミングを見極め、例の技を使うために精神を研ぎ澄ます。
(バ………………チッ!)
急に時間の進みが遅くなった気がした。雷光の鞭の動きが止まっているように見える! これならタイミングを合わせやすい! 交差する点に魔力を込めた拳を合わせる。
(極端派奥義……峨嶺辿征!!)
(パンッ!!!!)
周囲に空気が弾けたような音が響き渡る! 音と共に雷光の鞭は消滅した。消えてしまったというのにトニヤは事態に気付いていない。鞭が当たったものと勘違いしている。俺はその隙を見逃さなかった。
(バスンッ!)
ヤツの土手っ腹に拳をありったけの力で叩き込んだ。もちろん武術と判定されない程度に適当に殴っている。
「ぐあっ!? ば、バカな!? ウイップは当たったはず……?」
「もちろん当たったさ。むしろ、当たった後に起きたことが重要なんだ。」
当てて無効化した。無効化のための“1”の魔力を拳に込めて、魔法その物に当てて消滅させる。前回の決闘で使用した孤影承禅は精神魔法に対しての防御法だ。今回は攻撃魔法に対しての防御法なのだ。どちらかと言えばコチラの方が目に見える分、やりやすい。
「クソッ、止めを刺せ!」
「もういいだろ、これで十分だ。」
トニヤは今の一撃で負けを認めたようだ。それなら、これ以上続ける意味はない。審判に掛け合って……、
(ビシ、ビシッ!)
どこからともなく何かがひび割れたような音がした。何か床に違和感があるような……?
(ボゴアッ!!!!!)
急に足元が不安定になり、宙に浮いた様な錯覚が起きた! まさか床が崩れたのか! 気付いたときには、元いた位置が遙か上側にあった。床の下は深い大穴になっていたようだ……。
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