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第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】

第163話 電光石火の戦い

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「俺の事を色々探っていたそうじゃないか?」


 翌日、決闘が始まる直前、俺とトニヤは対峙していた。このタイミングまでヤツは一切、俺の前には姿を見せなかった。朝からの授業にすら出ていなかったのである。


「そらそうよ! 対戦相手について調べるのは基本だろ?」

「フン、よく言うぜ。戦闘には関係ない情報でも探ってたんだろ?」


 姿を見せない間に俺らの動向も探っていたとは。ヤツの交友関係はよくわからんが、同じ最下級クラスの中に協力者くらいはいるかもしれない。そいつらに監視されていた可能性はありそう。


「戦闘に直接関係なくても、役に立てることは出来るんだぜ? 内容によっちゃ、相手の動揺を誘ったり出来るし。」

「頭脳戦なんて、柄にもないようなことをするわけがない。行き当たりばったりが関の山だぜ? 例の魔術無効化のトリックを暴いてやるぞ。」


 どこからか、俺がアホキャラだというのが漏れてしまったか。いやいや、見てればそれくらいはわかるか。行き当たりばったりになるのは、大体いつも妙なトラブルに見舞われるからなんだが……。魔術無効化に関しても、トリックなど特にないから、これはヤツのハッタリなのだろう。


「さて、皆様、時間となりましたので、早速、決闘を開始したいと思います!」


 司会は前と同じ人だ。だが会場は違う。今回は古代のコロシアムを再現した伝統ある設備が選ばれた。学院の先生の中には考古学を研究している人もいるらしいので、こういう趣味全開の建築物は敷地内にいくらでもあるらしい。


「決闘開始!!」

(バチィッ!!!)


 始まると同時に一筋の閃光が俺を襲う! トニヤが速攻で電光魔法を仕掛けてきたのだ。ある程度は読めていたので、手を上げようとした時点で回避の準備をしていた。回避と同時に接近する手立ても考えていた!


「喰らえ! ただの何の変哲も無いパンチ!」


 パンチは余裕でかわされた。だが手は止めない。魔法を使う隙を与えないように攻め続ける。魔術師相手に集中できる時間を作らせてはいけない!


「俺の電光速射を躱すとは大したヤツだな! だが、先読みしたくらいでどうにかなると思うなよ!」

(バチッ!!)

「……てっ!?」


 何回目かのパンチがヤツの体を掠めそうになったとき、触れた部分から何かに弾かれたような痛みが走った。何か扉の金具とかに触れようとして静電気が走ったときと似ている。静電気でも体に纏わせてるんだろうか? 雷魔法を使うからにはそれぐらいはしてきそうだ。


「使わないのか、無効化を? 無しで俺に勝てるほど甘くはないぜ? それとも、ただ単に使えないのかな?」


 静電気を警戒する俺を見かねたヤツの方から、素手による攻撃を仕掛けてきた。形勢が逆転した。これは無効化を使わざるを得ないか?


(バチッ……バチィッ!!)


 攻撃の度に体に静電気が迸る。実質、俺へのダメージは少ないから、生殺しもいいとこだ。だが、俺が何も対策を用意してないワケじゃない。ここは一発……。


「ササッ…っと!」

「……!? なんだそれは? それを使って俺を殴るつもりか?」 


 俺は懐からゴッツン・ゴーの瓶を取り出した。当然、中身も入っている。未開封の瓶だ。


「それとも、その中身を俺にかけて感電させようって魂胆か? 適当に投げたりしたぐらいで俺を水浸しに出来ると思うなよ?」


 ヤツは軽いフットワークを見せて、当てるのは不可能とばかりにアピールしている。それでも構わず、俺は栓抜きで瓶の蓋を開ける。栓抜きはタニシから予備をもらっておいたのだ。ついでに瓶の中へあるものを入れ、瓶の口をヤツへ向ける!


「喰らえ! ゴッツン・スプラッシュ!!」

「無駄だ! そんな物で……、」

(ブシャアアアアアアアッ!!!!)


 勢いよく中身の液体が噴き出した! 意表を突かれたトニヤはまともにそれを浴びた! まさか、前に見たサヨちゃんのイタズラがこんなところで役に立つとは思わなかったぜ!
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