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第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】
第161話 お話があるんですけど?
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「ラヴァン先生、ちょっと、お話があるんですけど……。」
「うん? 何かな?」
私とローレッタはロアの決闘の相手、トニヤ・アーチボルトの情報を集めるため、ラヴァン先生の研究室にやってきた。手分けして情報を集めることになり、ロアは先輩など学生中心で、私は先生方中心で、ということになった。もちろん、私の方が先生に警戒されにくいからなのだけれど……。
「何を聞きに来たか当ててやろう。ロアの決闘の相手についてだな?」
「う……。」
さすが、ラヴァン先生だ。察しが良かった。聞きに来ることくらい、ある程度予測していたのだと思う。それでも私だからこうなったけど、ロアだったら門前払いを喰らって、研究室にも入れてもらえなかったと思う。二人とも仲が悪いから。
「お願いです。教えて頂けませんか? 特に彼が下級クラスに降格させられた経緯を知りたいんです!」
彼がロアに挑む理由を探るためには彼の過去を知る必要があると思う。彼はおそらく元々は最下級のクラスにいたわけではないと私は考えた。名家の人間ならある程度良い待遇を与えられるはずだから。私もその恩恵を授かっている。
「……。」
先生は沈黙している。やっぱり話せないような内容なのかもしれない。先生という立場上、学生には公開できない情報は多いのかもしれない。でも、公開できるギリギリの範囲の情報を引き出したい。これはある意味、決闘に挑む二人の命にも関わるかもしれないのだから。
「お願いです! 話せる範囲で構いませんから!」
「そうは言われてもだな……。」
「旦那様、私からもお願いします。お姉様のご友人の助けになりたいのです。」
「ローレッタまで……。」
彼女に助けを求めた訳ではないけれど、一緒にお願いをしてくれた。私が困っているのを黙って見ていられなかったのかもしれない。でもその方が彼女らしい。やっぱり良い娘だ。
「ズルいぞ、二人とも! 私がこの状況で黙秘が続けられる訳がないじゃないか!」
「え? では話してもらえるんですね?」
思わず私とローレッタは顔を見合わせた。なんとか、状況は良い方向に動いた。後は交渉してどれぐらい情報が引き出せるか……。
「言える情報は限られている。それだけは承知しておいてくれ。それから、必要以上に他の者に話さないことを約束してくれ。」
「ありがとうございます。」
「では彼が最下級クラスに降格になった切っ掛けを話そう。彼は決闘に敗北し、現在の地位になったのだ。相手は教師だ。彼は負けるべくして敗北したのだ。」
「先生と決闘をしたんですか? 一体何故、その様なことを……?」
先生に決闘を挑むだなんて……。よっぽどのことがない限り、そんなことは出来ないはず。しかも、普通に考えれば勝ち目のない戦いなのはわかるはずなのに……。
「表向きは彼の友人を庇ったためだと言われているな。ここまでなら普通に当時のクラスメイトなどからも聞き出せるはずだ。だが、私から話せるのはここまでだ。」
表向きは……? まるで裏側があるかのような……? 先生は裏の情報を知っているのかもしれない。でも、話せるのはここまでと言った。裏の情報が聞けないのなら、表の情報をなるべく聞き出したい。
「では、相手の先生の名は?」
「うむ、それくらいなら……。ジェローム・アルカンシェル。七色の魔術師と呼ばれる男だ。この二つ名は聞いたことはあるだろう?」
「七色の魔術師!?」
噂は聞いたことがある。全属性の精霊魔法を使うことが出来るという天才がいると。火・氷・地・雷・水・風・木、七つの属性。大抵の人は一つしか適性がない。中には複数の属性を使いこなす人もいるけど、得意不得意は必ず出る。でも、その人は偏り無く全ての属性を使いこなすという。しかも、全て最高位の魔術を使えるとか。
「そんなとんでもない人に挑んだんですか? 信じられない!」
「ああ、その通りだ。正気の沙汰ではない。当然の事ながら、アーチボルトは完敗した。完膚無きまでに一方的にな。」
それでも、勝ち目の無い相手でも、挑むべき理由があった……? それを知るにはラヴァン先生からではなく、ご本人から聞き出した方が良いかもしれない。後は、先生側の裏の目的。これは機密情報だろうから、調べるのは難しそう。これは、トレ坊先生にも相談した方がいいのかもしれない……。
「うん? 何かな?」
私とローレッタはロアの決闘の相手、トニヤ・アーチボルトの情報を集めるため、ラヴァン先生の研究室にやってきた。手分けして情報を集めることになり、ロアは先輩など学生中心で、私は先生方中心で、ということになった。もちろん、私の方が先生に警戒されにくいからなのだけれど……。
「何を聞きに来たか当ててやろう。ロアの決闘の相手についてだな?」
「う……。」
さすが、ラヴァン先生だ。察しが良かった。聞きに来ることくらい、ある程度予測していたのだと思う。それでも私だからこうなったけど、ロアだったら門前払いを喰らって、研究室にも入れてもらえなかったと思う。二人とも仲が悪いから。
「お願いです。教えて頂けませんか? 特に彼が下級クラスに降格させられた経緯を知りたいんです!」
彼がロアに挑む理由を探るためには彼の過去を知る必要があると思う。彼はおそらく元々は最下級のクラスにいたわけではないと私は考えた。名家の人間ならある程度良い待遇を与えられるはずだから。私もその恩恵を授かっている。
「……。」
先生は沈黙している。やっぱり話せないような内容なのかもしれない。先生という立場上、学生には公開できない情報は多いのかもしれない。でも、公開できるギリギリの範囲の情報を引き出したい。これはある意味、決闘に挑む二人の命にも関わるかもしれないのだから。
「お願いです! 話せる範囲で構いませんから!」
「そうは言われてもだな……。」
「旦那様、私からもお願いします。お姉様のご友人の助けになりたいのです。」
「ローレッタまで……。」
彼女に助けを求めた訳ではないけれど、一緒にお願いをしてくれた。私が困っているのを黙って見ていられなかったのかもしれない。でもその方が彼女らしい。やっぱり良い娘だ。
「ズルいぞ、二人とも! 私がこの状況で黙秘が続けられる訳がないじゃないか!」
「え? では話してもらえるんですね?」
思わず私とローレッタは顔を見合わせた。なんとか、状況は良い方向に動いた。後は交渉してどれぐらい情報が引き出せるか……。
「言える情報は限られている。それだけは承知しておいてくれ。それから、必要以上に他の者に話さないことを約束してくれ。」
「ありがとうございます。」
「では彼が最下級クラスに降格になった切っ掛けを話そう。彼は決闘に敗北し、現在の地位になったのだ。相手は教師だ。彼は負けるべくして敗北したのだ。」
「先生と決闘をしたんですか? 一体何故、その様なことを……?」
先生に決闘を挑むだなんて……。よっぽどのことがない限り、そんなことは出来ないはず。しかも、普通に考えれば勝ち目のない戦いなのはわかるはずなのに……。
「表向きは彼の友人を庇ったためだと言われているな。ここまでなら普通に当時のクラスメイトなどからも聞き出せるはずだ。だが、私から話せるのはここまでだ。」
表向きは……? まるで裏側があるかのような……? 先生は裏の情報を知っているのかもしれない。でも、話せるのはここまでと言った。裏の情報が聞けないのなら、表の情報をなるべく聞き出したい。
「では、相手の先生の名は?」
「うむ、それくらいなら……。ジェローム・アルカンシェル。七色の魔術師と呼ばれる男だ。この二つ名は聞いたことはあるだろう?」
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「ああ、その通りだ。正気の沙汰ではない。当然の事ながら、アーチボルトは完敗した。完膚無きまでに一方的にな。」
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