161 / 331
第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】
第161話 お話があるんですけど?
しおりを挟む
「ラヴァン先生、ちょっと、お話があるんですけど……。」
「うん? 何かな?」
私とローレッタはロアの決闘の相手、トニヤ・アーチボルトの情報を集めるため、ラヴァン先生の研究室にやってきた。手分けして情報を集めることになり、ロアは先輩など学生中心で、私は先生方中心で、ということになった。もちろん、私の方が先生に警戒されにくいからなのだけれど……。
「何を聞きに来たか当ててやろう。ロアの決闘の相手についてだな?」
「う……。」
さすが、ラヴァン先生だ。察しが良かった。聞きに来ることくらい、ある程度予測していたのだと思う。それでも私だからこうなったけど、ロアだったら門前払いを喰らって、研究室にも入れてもらえなかったと思う。二人とも仲が悪いから。
「お願いです。教えて頂けませんか? 特に彼が下級クラスに降格させられた経緯を知りたいんです!」
彼がロアに挑む理由を探るためには彼の過去を知る必要があると思う。彼はおそらく元々は最下級のクラスにいたわけではないと私は考えた。名家の人間ならある程度良い待遇を与えられるはずだから。私もその恩恵を授かっている。
「……。」
先生は沈黙している。やっぱり話せないような内容なのかもしれない。先生という立場上、学生には公開できない情報は多いのかもしれない。でも、公開できるギリギリの範囲の情報を引き出したい。これはある意味、決闘に挑む二人の命にも関わるかもしれないのだから。
「お願いです! 話せる範囲で構いませんから!」
「そうは言われてもだな……。」
「旦那様、私からもお願いします。お姉様のご友人の助けになりたいのです。」
「ローレッタまで……。」
彼女に助けを求めた訳ではないけれど、一緒にお願いをしてくれた。私が困っているのを黙って見ていられなかったのかもしれない。でもその方が彼女らしい。やっぱり良い娘だ。
「ズルいぞ、二人とも! 私がこの状況で黙秘が続けられる訳がないじゃないか!」
「え? では話してもらえるんですね?」
思わず私とローレッタは顔を見合わせた。なんとか、状況は良い方向に動いた。後は交渉してどれぐらい情報が引き出せるか……。
「言える情報は限られている。それだけは承知しておいてくれ。それから、必要以上に他の者に話さないことを約束してくれ。」
「ありがとうございます。」
「では彼が最下級クラスに降格になった切っ掛けを話そう。彼は決闘に敗北し、現在の地位になったのだ。相手は教師だ。彼は負けるべくして敗北したのだ。」
「先生と決闘をしたんですか? 一体何故、その様なことを……?」
先生に決闘を挑むだなんて……。よっぽどのことがない限り、そんなことは出来ないはず。しかも、普通に考えれば勝ち目のない戦いなのはわかるはずなのに……。
「表向きは彼の友人を庇ったためだと言われているな。ここまでなら普通に当時のクラスメイトなどからも聞き出せるはずだ。だが、私から話せるのはここまでだ。」
表向きは……? まるで裏側があるかのような……? 先生は裏の情報を知っているのかもしれない。でも、話せるのはここまでと言った。裏の情報が聞けないのなら、表の情報をなるべく聞き出したい。
「では、相手の先生の名は?」
「うむ、それくらいなら……。ジェローム・アルカンシェル。七色の魔術師と呼ばれる男だ。この二つ名は聞いたことはあるだろう?」
「七色の魔術師!?」
噂は聞いたことがある。全属性の精霊魔法を使うことが出来るという天才がいると。火・氷・地・雷・水・風・木、七つの属性。大抵の人は一つしか適性がない。中には複数の属性を使いこなす人もいるけど、得意不得意は必ず出る。でも、その人は偏り無く全ての属性を使いこなすという。しかも、全て最高位の魔術を使えるとか。
「そんなとんでもない人に挑んだんですか? 信じられない!」
「ああ、その通りだ。正気の沙汰ではない。当然の事ながら、アーチボルトは完敗した。完膚無きまでに一方的にな。」
それでも、勝ち目の無い相手でも、挑むべき理由があった……? それを知るにはラヴァン先生からではなく、ご本人から聞き出した方が良いかもしれない。後は、先生側の裏の目的。これは機密情報だろうから、調べるのは難しそう。これは、トレ坊先生にも相談した方がいいのかもしれない……。
「うん? 何かな?」
私とローレッタはロアの決闘の相手、トニヤ・アーチボルトの情報を集めるため、ラヴァン先生の研究室にやってきた。手分けして情報を集めることになり、ロアは先輩など学生中心で、私は先生方中心で、ということになった。もちろん、私の方が先生に警戒されにくいからなのだけれど……。
「何を聞きに来たか当ててやろう。ロアの決闘の相手についてだな?」
「う……。」
さすが、ラヴァン先生だ。察しが良かった。聞きに来ることくらい、ある程度予測していたのだと思う。それでも私だからこうなったけど、ロアだったら門前払いを喰らって、研究室にも入れてもらえなかったと思う。二人とも仲が悪いから。
「お願いです。教えて頂けませんか? 特に彼が下級クラスに降格させられた経緯を知りたいんです!」
彼がロアに挑む理由を探るためには彼の過去を知る必要があると思う。彼はおそらく元々は最下級のクラスにいたわけではないと私は考えた。名家の人間ならある程度良い待遇を与えられるはずだから。私もその恩恵を授かっている。
「……。」
先生は沈黙している。やっぱり話せないような内容なのかもしれない。先生という立場上、学生には公開できない情報は多いのかもしれない。でも、公開できるギリギリの範囲の情報を引き出したい。これはある意味、決闘に挑む二人の命にも関わるかもしれないのだから。
「お願いです! 話せる範囲で構いませんから!」
「そうは言われてもだな……。」
「旦那様、私からもお願いします。お姉様のご友人の助けになりたいのです。」
「ローレッタまで……。」
彼女に助けを求めた訳ではないけれど、一緒にお願いをしてくれた。私が困っているのを黙って見ていられなかったのかもしれない。でもその方が彼女らしい。やっぱり良い娘だ。
「ズルいぞ、二人とも! 私がこの状況で黙秘が続けられる訳がないじゃないか!」
「え? では話してもらえるんですね?」
思わず私とローレッタは顔を見合わせた。なんとか、状況は良い方向に動いた。後は交渉してどれぐらい情報が引き出せるか……。
「言える情報は限られている。それだけは承知しておいてくれ。それから、必要以上に他の者に話さないことを約束してくれ。」
「ありがとうございます。」
「では彼が最下級クラスに降格になった切っ掛けを話そう。彼は決闘に敗北し、現在の地位になったのだ。相手は教師だ。彼は負けるべくして敗北したのだ。」
「先生と決闘をしたんですか? 一体何故、その様なことを……?」
先生に決闘を挑むだなんて……。よっぽどのことがない限り、そんなことは出来ないはず。しかも、普通に考えれば勝ち目のない戦いなのはわかるはずなのに……。
「表向きは彼の友人を庇ったためだと言われているな。ここまでなら普通に当時のクラスメイトなどからも聞き出せるはずだ。だが、私から話せるのはここまでだ。」
表向きは……? まるで裏側があるかのような……? 先生は裏の情報を知っているのかもしれない。でも、話せるのはここまでと言った。裏の情報が聞けないのなら、表の情報をなるべく聞き出したい。
「では、相手の先生の名は?」
「うむ、それくらいなら……。ジェローム・アルカンシェル。七色の魔術師と呼ばれる男だ。この二つ名は聞いたことはあるだろう?」
「七色の魔術師!?」
噂は聞いたことがある。全属性の精霊魔法を使うことが出来るという天才がいると。火・氷・地・雷・水・風・木、七つの属性。大抵の人は一つしか適性がない。中には複数の属性を使いこなす人もいるけど、得意不得意は必ず出る。でも、その人は偏り無く全ての属性を使いこなすという。しかも、全て最高位の魔術を使えるとか。
「そんなとんでもない人に挑んだんですか? 信じられない!」
「ああ、その通りだ。正気の沙汰ではない。当然の事ながら、アーチボルトは完敗した。完膚無きまでに一方的にな。」
それでも、勝ち目の無い相手でも、挑むべき理由があった……? それを知るにはラヴァン先生からではなく、ご本人から聞き出した方が良いかもしれない。後は、先生側の裏の目的。これは機密情報だろうから、調べるのは難しそう。これは、トレ坊先生にも相談した方がいいのかもしれない……。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
元勇者の俺と元魔王のカノジョがダンジョンでカップル配信をしてみた結果。
九条蓮@㊗再重版㊗書籍発売中
ファンタジー
異世界から帰還した元勇者・冴木蒼真(さえきそうま)は、刺激欲しさにダンジョン配信を始める。
異世界での無敵スキル〈破壊不可(アンブレイカブル)〉を元の世界に引き継いでいた蒼真だったが、ただノーダメなだけで見栄えが悪く、配信者としての知名度はゼロ。
人気のある配信者達は実力ではなく派手な技や外見だけでファンを獲得しており、蒼真はそんな〝偽者〟ばかりが評価される世界に虚しさを募らせていた。
もうダンジョン配信なんて辞めてしまおう──そう思っていた矢先、蒼真のクラスにひとりの美少女転校生が現れる。
「わたくし、魔王ですのよ」
そう自己紹介したこの玲瓏妖艶な美少女こそ、まさしく蒼真が異世界で倒した元魔王。
元魔王の彼女は風祭果凛(かざまつりかりん)と名乗り、どういうわけか蒼真の家に居候し始める。そして、とあるカップルのダンジョン配信を見て、こう言った。
「蒼真様とカップル配信がしてみたいですわ!」
果凛のこの一言で生まれた元勇者と元魔王によるダンジョン配信チャンネル『そまりんカップル』。
無敵×最強カップルによる〝本物〟の配信はネット内でたちまち大バズりし、徐々にその存在を世界へと知らしめていく。
これは、元勇者と元魔王がカップル配信者となってダンジョンを攻略していく成り上がりラブコメ配信譚──二人の未来を知るのは、視聴者(読者)のみ。
※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
勇者パーティから追い出されたと思ったら、土下座で泣きながら謝ってきた!
蒼衣翼
ファンタジー
書籍化にあたりタイトル変更しました(旧タイトル:勇者パーティから追い出された!と、思ったら、土下座で泣きながら謝って来た……何がなんだかわからねぇ)
第11回ファンタジー小説大賞優秀賞受賞
2019年4月に書籍発売予定です。
俺は十五の頃から長年冒険者をやってきて今年で三十になる。
そんな俺に、勇者パーティのサポートの仕事が回ってきた。
貴族の坊っちゃん嬢ちゃんのお守りかぁ、と、思いながらも仕方なしにやっていたが、戦闘に参加しない俺に、とうとう勇者がキレて追い出されてしまった。
まぁ仕方ないよね。
しかし、話はそれで終わらなかった。
冒険者に戻った俺の元へ、ボロボロになった勇者パーティがやって来て、泣きながら戻るようにと言い出した。
どうしたんだよ、お前ら……。
そんな中年に差し掛かった冒険者と、国の英雄として活躍する勇者パーティのお話。

転生幼女は幸せを得る。
泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

配信者ルミ、バズる~超難関ダンジョンだと知らず、初級ダンジョンだと思ってクリアしてしまいました~
てるゆーぬ(旧名:てるゆ)
ファンタジー
女主人公です(主人公は恋愛しません)。18歳。ダンジョンのある現代社会で、探索者としてデビューしたルミは、ダンジョン配信を始めることにした。近くの町に初級ダンジョンがあると聞いてやってきたが、ルミが発見したのは超難関ダンジョンだった。しかしそうとは知らずに、ルミはダンジョン攻略を開始し、ハイランクの魔物たちを相手に無双する。その様子は全て生配信でネットに流され、SNSでバズりまくり、同接とチャンネル登録数は青天井に伸び続けるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる