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第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】

第159話 オレが何故ここにいるのか、を考えろ。

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「師匠、俺ッチ、また大物を捕まえちゃったッス! 大物っつても、ナリは小さいッスけど!」


 額冠あり・なしの感覚の違いを考えていたら、ゾッとするような声が聞こえてきた! これで三度目や……。ちょっと目を離した隙に……、子供やペットから目を離すなとは昔からいわれているものの、弟子から目を離すなとは聞いたことがない。今度は何を捕まえたというのか?どうせまた、やっかいなトラブルに巻き込まれるに違いない。


「エピオン……!? どうしてここに?」


 エルの声を聞いて俺はハッとした。俺のいる位置からでは捕まえてきた何かは、ゲイリーが背中側に隠しているせいで少ししか見えない。エルから正体を知らされ、ほんの少し見えている髪の毛、気配だけでも認識はできた。特に気配は独特だからわかりやすいのだ。


「もういいだろ! 離せよ、木偶の坊!」

「生きの良い小僧だぜ! やっぱ爆発で一発シメといた方が良かったッスかね?」

「離してあげて、ゲイリー君。」

「ハイ、しゃあないッスね。姐さんがお望みとあらば俺もあきらめるッス。キャッチアンドリリースっすね。」


 おいおい、エルの弟を魚みたいに扱うなよ。いい加減にしないと、エルに切り刻まれて、お前が魚のエサにされるぞ。


「なんでお前がここにいるんだ?」

「やはり、お二人は彼をご存じなのですね。」

「ロッヒェン? お前もコイツを知ってんの?」

「はい。僕は今回が初対面ですが、彼はお嬢さんフロイラインや僕のクラスメイトなんです。デュオ・マックスウェルという偽名を使っているそうですが……。」

「……は? なにその偽名?」

「……フン。お前達には関係ないことだ。」


 何をしにきたのか? シスコンをこじらせてエルのことを守りに来たのか? それとも、前みたいにヴァルからの密命とかだろうか? この学院には怪しげな噂もあるから、それを探りに来たのかもしれない。


「早くも二回目の決闘が決まって、おめでとう、とでも言っておこうか?」

「茶化しに来たのか? そういうのは間に合ってるんで、邪魔すんなら帰って、てか?」

「なんだ、その冗談は? まあいい。それよりも、一回目のような気分で挑むのは止めた方がいいぞ。姉さんの顔を立てて忠告しておいてやろう。」

「……?」


 一回目の気分で挑んではいけない? まあ、今度の相手は野郎だからな。コチラも気兼ねなく、ガチンコバトルをするつもりではいる。マジ喧嘩を楽しむつもりだ。


「お前、油断をしていると死ぬことになるぞ。どうせ、手ぬるい手加減をするつもりなんだろうけどな。」

「そりゃ、相手が死ぬまでするつもりはないぞ。あの不良をキャーンと言わせる程度にするさ!」


「おめでたい奴だな。両方とも死ぬ可能性ってのを考えないのか?」


 両方とも死ぬ? 何故? 相手がウッカリ死ぬ可能性はあるかもしれないが、俺は死ぬつもりはない。いや、相手も死なせないけど。


「決闘だけで済めばいいがな? もしかしたら、仲良く事故死なんてのも考えられる。決闘の末、事故が起きて二人とも死亡した。とすれば学院側の責任問題ではない、と言い通す事も出来るだろう。」

「エピオン、もしかして、あなたが言いたいのは……。」

「フン、これはただのオレの独り言だ。オレがここにいる理由と照らし合わせて、よく考えてみることだ。勇者が学院で事故死、そんな展開、ヴァル様は望んではいないぞ。ヴァル様を失望させるなよ。」


 エピオンは意味深な事を言い残し、俺らに背を向けて去って行った。事故死……。観客も大勢いて、そんなことがありえるだろうか? やるとしても、観客の安全も確保する以上、危険なことはさせないとは思うが……。あの時の謎の声のこともあるし、明らかに俺を抹殺する気ではいるんだろうけど。


「相手はアーチボルト家のご子息。そんな人を危険な目にあわせるとは思えないけれど……。」

「しかし腑に落ちないのは、彼のような名家の人間が最下級クラスにいることが不自然ではないでしょうか? 何があったのでしょう?」


 あのクラスに送ることはある意味、島流し的なことなのかもしれない。俺らは魔法適正が低いというのもあるが、快くは思われていないのも理由に入るかもしれない。ひょっとしたら、例の不審死事件とも関係があるのか? だとしたら、探りを入れるための切り口になるかもしれないな。これはチャンスだ。前向きに考えよう。 
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