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第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】
第158話 更に懲りない奴ら
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「ところで、なんでお姉様なんて呼ばれてるの?」
率直な疑問。とりあえずタニシが噴水に着水した件は一旦横に置いとこう。お友達からお姉様扱いされるとは何事? たしかにエルは俺ほどではないにしても、他の学生より年齢は上だ。
「ええと……これには訳があって……、初対面だと彼女に“エレオノーラ様”って呼ばれちゃったもんだから、それは止めて欲しいと伝えたんだけど……、」
様付けか……。同級生に様付けで呼ばれるのはなんだかこそばゆい感じがするのは事実だな。編入生だから周りの目も気になるだろうし。
「それでも、彼女は真面目だから一向に引いてくれなくて……。結局、“お姉様”でお互い折り合いをつけたの。」
「ふーん。それでお姉様か。まあ、背も高い方なんだし、お姉様感はあるよな。」
「やめてよ、もー!」
今、割といちゃついているようなやりとりをしているのだが、ミヤコからのツッコミは来なかった。今はタニシと絡んでいるからだ。タニシはデコイになったのだ。
「大丈夫ですか? 代わりの服をご用意しましょうか?」
ローレッタという子はタニシが吹き飛ばされたのを見て、噴水のところまで駆け寄っていた。初対面でセクハラ発言されかけたというのに、なんて律儀な子なんだろう。さっきのエルの話の信憑性を裏付けるかのような感じだ。
「おうあ! お嬢しゃん! 優しいでヤンしゅねぇ! ミャーコちゃんとはエラい違いでヤンス!」
「ワンちゃんが悪いんでしょうが! もっと反省しろ!」
ローレッタに手を差し伸べられ、それに甘える形でにじり寄るタニシ。ミヤコが間に入り、タニシの企みを阻止する。ヤツは隙あらばセクハラをするので目が離せないのだ。
「お名前はローレッタしゃんだったでヤンスね? それだと長いから……ローしゃんでいいでヤンスか? あっ! それともローしょん…とか?」
「女の子に変なあだ名をつけるなぁ!」
(バシャン!!)
「ばぶる…ぼぶるっ!?」
再び噴水の中へ突っ込まれた。
「ローしょんは流石に如何なものかと存じます。」
懲りないヤツだ。すぐに独特なヘンな呼び方にしようとする。ローションって…塗り薬じゃないんだから。一歩間違えば失礼なあだ名だ。言われた当人は相変わらず丁寧にお断りしている。
「勇者さん、チャアシュウとやらを頂きましたよ。素晴らしい味でした。」
「グランツァ君。」
ミヤコやタニシに気を取られていたら、ロッヒェンがいつの間にかやってきていた。今まで姿を現していなかったが、まさか食べていたとは思わなかった。ミヤコにもらったんだろうか?
「ベヒモス肉は噂に違わぬ素晴らしい物でした。是非、僕も調理してみたいものです!」
「ほうほう、ハンバーグか。ちょいとクセが強い味だから、下ごしらえ怠るとマズくなるかもしれんぜ?」
などと言って、ちょっと話をはぐらかしてみる。コイツの狙いはおそらくアレだろう。
「ベヒモスの肉を少し分けて頂けないでしょうか?」
「ははーん、ミヤコに食べさせたいわけだ? ハンバーグを?」
「な、な、な、何故それを!?」
「ホントに意地悪ねぇ。」
直接そうしたいと言わないコイツも悪い。貴重な肉だから容易には振る舞えない。提供する代わりにコチラにも協力してもらう。
「俺らの屋台に協力してくれるなら分けてやっても良いぞ?」
「うむむ、そうなりますか。仕方ありませんね。」
ヨシ! 交渉成立だな。コイツのパフォーマンス力と料理の腕を駆使すれば更に繁盛するだろう。ゆくゆくは店舗を作り、世界各地にチェーンを広げ……って、話があらぬ方向に進んでしまうではないか! ついつい勇者であることを忘れてしまっている。額冠がないと多少意識が変化していることを、感じずにはいられないな……
率直な疑問。とりあえずタニシが噴水に着水した件は一旦横に置いとこう。お友達からお姉様扱いされるとは何事? たしかにエルは俺ほどではないにしても、他の学生より年齢は上だ。
「ええと……これには訳があって……、初対面だと彼女に“エレオノーラ様”って呼ばれちゃったもんだから、それは止めて欲しいと伝えたんだけど……、」
様付けか……。同級生に様付けで呼ばれるのはなんだかこそばゆい感じがするのは事実だな。編入生だから周りの目も気になるだろうし。
「それでも、彼女は真面目だから一向に引いてくれなくて……。結局、“お姉様”でお互い折り合いをつけたの。」
「ふーん。それでお姉様か。まあ、背も高い方なんだし、お姉様感はあるよな。」
「やめてよ、もー!」
今、割といちゃついているようなやりとりをしているのだが、ミヤコからのツッコミは来なかった。今はタニシと絡んでいるからだ。タニシはデコイになったのだ。
「大丈夫ですか? 代わりの服をご用意しましょうか?」
ローレッタという子はタニシが吹き飛ばされたのを見て、噴水のところまで駆け寄っていた。初対面でセクハラ発言されかけたというのに、なんて律儀な子なんだろう。さっきのエルの話の信憑性を裏付けるかのような感じだ。
「おうあ! お嬢しゃん! 優しいでヤンしゅねぇ! ミャーコちゃんとはエラい違いでヤンス!」
「ワンちゃんが悪いんでしょうが! もっと反省しろ!」
ローレッタに手を差し伸べられ、それに甘える形でにじり寄るタニシ。ミヤコが間に入り、タニシの企みを阻止する。ヤツは隙あらばセクハラをするので目が離せないのだ。
「お名前はローレッタしゃんだったでヤンスね? それだと長いから……ローしゃんでいいでヤンスか? あっ! それともローしょん…とか?」
「女の子に変なあだ名をつけるなぁ!」
(バシャン!!)
「ばぶる…ぼぶるっ!?」
再び噴水の中へ突っ込まれた。
「ローしょんは流石に如何なものかと存じます。」
懲りないヤツだ。すぐに独特なヘンな呼び方にしようとする。ローションって…塗り薬じゃないんだから。一歩間違えば失礼なあだ名だ。言われた当人は相変わらず丁寧にお断りしている。
「勇者さん、チャアシュウとやらを頂きましたよ。素晴らしい味でした。」
「グランツァ君。」
ミヤコやタニシに気を取られていたら、ロッヒェンがいつの間にかやってきていた。今まで姿を現していなかったが、まさか食べていたとは思わなかった。ミヤコにもらったんだろうか?
「ベヒモス肉は噂に違わぬ素晴らしい物でした。是非、僕も調理してみたいものです!」
「ほうほう、ハンバーグか。ちょいとクセが強い味だから、下ごしらえ怠るとマズくなるかもしれんぜ?」
などと言って、ちょっと話をはぐらかしてみる。コイツの狙いはおそらくアレだろう。
「ベヒモスの肉を少し分けて頂けないでしょうか?」
「ははーん、ミヤコに食べさせたいわけだ? ハンバーグを?」
「な、な、な、何故それを!?」
「ホントに意地悪ねぇ。」
直接そうしたいと言わないコイツも悪い。貴重な肉だから容易には振る舞えない。提供する代わりにコチラにも協力してもらう。
「俺らの屋台に協力してくれるなら分けてやっても良いぞ?」
「うむむ、そうなりますか。仕方ありませんね。」
ヨシ! 交渉成立だな。コイツのパフォーマンス力と料理の腕を駆使すれば更に繁盛するだろう。ゆくゆくは店舗を作り、世界各地にチェーンを広げ……って、話があらぬ方向に進んでしまうではないか! ついつい勇者であることを忘れてしまっている。額冠がないと多少意識が変化していることを、感じずにはいられないな……
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