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第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】

第145話 お祭り騒ぎな制裁ショー

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「さあ、みなさん、お待ちかね! 学院名物、決闘の時間がやって参りました!」


 決闘の開始時間になった。場所は学院の中央にある公園区画の広場だ。完全に各種イベント事のために作られたような所で専用のステージや観客席が用意されている。観客も学生や先生方一杯になっている。完全にお祭り騒ぎだ。


「今回の決闘はディアナ・ベルムトさんが登場することになっています。今から活躍が楽しみで仕方ありませんね!」


 今は舞台袖で会場の様子をのぞき見ている。相手方の紹介のみがクローズアップされるだけで、俺の紹介がない。完全にアウェーだ。最早、ベルムト先輩が勝つこと以外考えられないといった感じなのだろう。情報にあった通り、制裁ショーっていうのは間違いなさそう。


「対する相手はなんと編入生三人組だそうです。初日からベルムトさんの愛するペットを殺害するなどといった狼藉を働いた模様! なんて卑劣で大胆不敵な連中なのでしょうか! 我々の怒りは最高潮に達しています!」


 場内には大ブーイングが巻き起こっている!完全に悪役にされてしまっている。それに……、


「さ、三人……?」


 一対一だったはずでは……? いつから三人ともになってしまったのだろう? 戦うのは俺一人で十分だ!


「しょぎゃわーん!? なんかあっしらも数に含まれてるヤンス!」

「ひゃっほーい!? 燃えてきたッス!」


 タニシはビビリ、ゲイリーは何故かやる気になっている。この流れだと本当に戦わされるかもしれん。


「この三悪人に対して、ベルムトさんは慈悲深い対応を取るとのことです。三人いるなら三本勝負でケリを付けることを望んだとのことです。三人それぞれ、一対一でご相手なされる模様です。一粒で三度おいしい、そんな決闘を行いたいと申されております!」


 その内容に観客は盛り上がりを見せている。勝手な話だな。俺らには一切そんな提案はなかった。完全にヤツらの独壇場だ。三人いたとしても、余裕で勝てることを確信した上で、三人それぞれを成敗するつもりなのだろう。


「しゃあない。腹をくくるしかない。タニシ、お前だけは降参してもいいぞ。俺ら二人は戦えるが、お前はそうはいかない。無理はせずに負けそうだと思ったら、すぐに逃げろ。」

「最早、大勢の人の前に出るのも恐いヤンス!」

「そこは……いい機会だと思って経験しとけ。今後は多少マシになると思うから。」

「うう~!? 恐いヤンスぅ!」


 あれ……? こういう舞台にいる状況なので思い出したが、タニシが大勢の人前に出るのが苦手なのは何故だろう? この前のハンバーグ選手権では平気だったはずだが……? まさかゴッツンが影響してるのかも? あの時は限定フレーバーのゴッツンが参加賞だったから平気だった?


「おい、タニシ、今回の決闘の結果、特殊ゴッツン・ゴーがもらえるとしたら、どうだ?」

「は、はひ……?」

「お前が奮起するんなら、サヨちゃんに掛け合って交渉してやってもいい。サヨちゃんなら、何か特別版ゴッツンぐらい持ってるかもしれんし。」


 虎の魔王の時、ゴッツン・ゴー・ジェネシスとかいうのを持ち出してきていたからな。似たようなのを所蔵しているはず。ていうか、何がなんでも出させる。


「あっしは……、」


 タニシはうつむいてプルプル震えている。怯えている? それとも、怒っている? 顔が見えないのでわからない。


「あっしは……そんな……安い……男で……、」


 な、何だ? エラい溜めるな。やるのか? やらないのか?


「あるでヤンスぅ~!! やってやるぅ! 勝って、ゴッツン・ゴー・セブンスター・リバースをもらうでヤンス!」


 なんだそれは? 詳しくないから、全然意味がワカラン。イカツイ名前だからプレミアもんなんだろうけど。しかし、それがもらえるかどうかは実際に交渉してみないとわからない。この後の展開もゴッツンも何が飛び出すかは本番になってからのお楽しみだということだ……。
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