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第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】
第139話 自己紹介ならぬ事故紹介!?
しおりを挟む「来たばかりの編入生と初日から問題を起こすとは節操がないな、トニヤ・アーチボルト。相手を選ばず噛み付いてばかりなのは頂けないぞ。」
振り向くと眼鏡をかけた女性が教室に入ってきているのが見えた。個性的な学生達とは対照的に、割と普通に真面目そうな人である。その先生が入ってくるなり、俺らの目の前にいる目付きの悪いヤツをたしなめる。この流れでコイツの名前も判明した。憶えておこう。
「うるせぇ! セン公は黙ってな! このゴリラと猿野郎が生意気だから、シメてやろうと思っただけだ!」
「さ、猿ぅー!?」
誰が猿か! チクショウ、真横にゴリラがいるせいでそんな扱いになるんか! とはいえ、ファルちゃんにも昔、猿呼ばわりされたことあったな……。
「話したいことがあるなら、後からにしろ。先に編入生をみんなに紹介するのが先だ。」
「チッ! しょうがねえな!」
トニヤと呼ばれた少年はくやしそうに引き下がった。まあ、さすがに先生に逆らうようなことはしないようだ。極端に無法者というわけではなさそうだ。
「はあ、初日からトラブルとは先が思いやられるな、編入生。先日も面倒事を起こしたと聞いているが?」
「は、はは……。お耳に入ってましたか? すんません。」
「先も申した通り紹介するから、三人とも一緒に前へ出てくれ。」
先生に促され教壇のある前の方に出た。タニシは妙に緊張しており、体の動きがカチンコチンになっている。何を緊張してるんだ。本番に弱いやつだなぁ。
「今日からみんなの仲間になる編入生を紹介する。では簡単に自己紹介をしてくれ。」
俺が先に行こうとしたら、ゲイリーがしゃしゃり出てきた。コイツ、えらいやる気だなぁ。こんなところで張り切っても意味ないだろ……。
「ゲイリーっす! よろしくッス! 筋肉と爆発が趣味ッス!!」
教室内に笑いが起きる。そりゃそうだ。なんだ、その趣味は? 筋肉は筋トレが趣味という風にもとれるが、爆発、とは? そんなのが趣味だったらただの迷惑野郎じゃないか!
『……おい、次はお前が行け。トリはもっとプレッシャーがかかるぞ。』
『ちょ、心の準備が出来ヤンス。』
次はタニシにやらせる。このままトリをやらせると大惨事になりかねないからだ。コイツは混乱すると暴走してヘンなことをやりかねないし。俺に背中を押され、抵抗しつつも渋々前に出て行った。動きが更に硬くなっている。まるでゴーレムみたいだ。
「あっしは、あし、あし、あしししししっしぃ!?」
「落ち着いて! たかが自己紹介だろう?」
教室中に笑いが起きる。ゲイリーの時よりも大きい。先生からもフォローが入る有様だった。あまりの緊張にタニシは舌が絡まったかのような声を出している。
「ああ、っししはタニャシでやんしゅう! よろしんこん、おねえだんまり、しましま、まんしゅう!」
「意味がわからないよ!」
「お腹よじれちゃいそう!」
更なる笑いをかっさらう結果となった。言ってる内容が奇怪な呪文みたいになっている。みんなを笑い殺す呪いでもかけたのでは、とも錯覚してしまう。次は俺の番だ。このまま何か芸でも披露しないといけないような気がしてきた。
「チィーーーッス! 俺はロアです。総魔力量はなんと……たったの“1”でーす!」
みんな一斉にザワザワし始めた。やばかったかな? ちょいとスベってしまったかもしれん! 大失敗かもしれない。
「嘘でしょ!?」
「そんなのありえるのか?」
「ただのウケ狙いのホラなんじゃないの?」
みんなのリアクションからすると、信じがたい内容だったみたいだ。普通はありえない結果だからか? それだけ俺は希少な存在なのだろうか?
「オイ、テメエら、この学院に何しに来やがったんだ? 素性ぐらいは話しやがれ!」
さっきのトニヤとかいうヤツが早速俺たちの素性を探ろうとしてきた。さて、どうする? 下手に本当のことを話すのはマズいんだよなぁ……。
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