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第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】
第138話 今日からお世話になりますんじゃ、コラァ!
しおりを挟む「ふああ、眠い……。」
翌日、眠たい目をこすりながら、授業に参加することになった。今は教室で授業が始まるのを待っている。それはもちろん、決闘対策をトレ坊先生立ち会いの下、行っていたからなんだが。方法はサヨちゃんと初めて会ったときや、冒険者ライセンス試験前と同じ、仮想世界を使用した。
「アニキ、初日から大丈夫でヤンスか? 初日からそんなだとみんなに舐められるでヤンスよ。」
「なめられないための秘密の特訓してたんだよ。決闘もあるわけだしな。」
一晩だけしか時間がなかったので、通常の時間を倍に引き延ばし特訓をしたのだが、習得には手間がかかった。たった一つの技とはいえ、性質の関係で手こずったのだ。芸当としては、魔法に近かったのが影響している。
「何の特訓でヤンスか?」
「秘密。」
タニシやゲイリーにはトレ坊先生の件は伏せているので、奴等が寝静まった頃に抜け出して行っていた。食事? 昨晩は予備の保存食や差し入れの残りがあったのでそれを食べた。これで何日かは持つ。それ以降は……決闘後の交渉でなんとかするつもり。だから絶対勝たないといけない。いや、負けたら追放されるからどの道勝たないとどうしようもないんだが。
「それよりもこのクラス……変わった人が多い様な気がするでヤンス。」
「気にするな。俺らも似たようなモンだ。ヘンに刺激して目を付けられたり、イチャモン付けられたりするなよ。」
確かに個性的なヤツが多いような気はする。検査の結果次第でランクが変わるとか言ってたので、ここは落ちこぼれ学級的なところかもしれない。陰気そうなヤツ、おどおどしたヤツ、やけに老けたヤツ、男女性別も入り乱れているし、タニシの様に獣人も何人かいる。魔術師っぽくない、筋肉質なゴリラ……違う、ありゃ、ゲイリーだ。外見ではアイツが一番違和感あるかもしれない。見た目的に魔法要素ゼロである。
「ありゃ! 言ってる矢先にゲイリーが誰かと揉めてるでヤンスよ!」
「マジか!?」
なんかガラの悪そうな目付きの悪い少年とメンチを切り合っている。「ヤンのか!」とか「なんだコラ!」とかお約束のセリフを発しながら、互いに眼力を集中させている。周りを見ても、二人に関わりたくないとばかりに離れたり、見ないフリをしていたりする。相手の少年側に加担するヤツもいないのを見る限り、アッチも孤立した人間なのかもしれない。
「ど、ど、ど、どうするでヤンス! 止めないとトラブルに発展するヤンス!」
「しゃあない! 止めないと新たなトラブルに巻き込まれる。それだけは避けねば!」
すでに発生させ、午後から決闘という事態に発展しているというのに、別の問題を発生させるわけにはいかない。こんなに連日トラブル発生させられてたら体がもたないし! すかさず立ち上がり止めに行く。
「ちょっと待て、お前ら! 朝から喧嘩はよろしくない! 朝起きてから急激に頭に血が上ると、体に悪いぞ!」
「その理屈で止めるのはおかしいヤンス。意味わかヤンス!」
「あぁ!? ヤンのか、コラ!!」
ガラの悪い少年は俺にメンチの矛先を変え、イチャモンを付けてきた。わかりやすいくらいにチンピラめいた行為だ。こういうお利口そうな魔術師の学校にもこんなヤツがいるんだな。とはいえ、よく見ると割と顔は良い方だし、着ている服も品がある。素性はグレたお坊ちゃんといったところか?
「なんだテメエら、見ねえ顔だな。そろいもそろって何モンだ?」
「今日からお世話になりますんじゃ、コラァ! よろしくお願いしますんじゃ、オラァ!」
「口調が丁寧なのか、乱暴なのかわからんヤンス!」
「それ以前に答えになってねえぞ! ふざけんな、コラ!」
俺たちの間に走る見えない火花がより一層激しくなったような気がする。威嚇しつつ挨拶したのがいけなかったかな?
「コラ! 何してる! 始めるぞ!」
一触即発の緊迫した状況にベストなタイミングでストップがかかった。先生が入ってきたようだ。さて、どうなる?
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