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第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】
第133話 楽しい学園生活が始まるぞ……?
しおりを挟む「ラヴァン君、コレはこの間の件の仕返しかな? それとも、この前、殴り合った件?」
「違う! 断じて違う!」
白々しいなぁ。俺らを貶める理由はコイツからしたらいくらでもある。エルとの件もあるし、この前の殴り合いで割と何発かいいところに入っちまったとは思う。どうせ、それが積もり積もった結果がコレなんじゃないの?
「君たちは学長の言葉を忘れたのか? この学院はありとあらゆる物事が魔術によって成されている。」
「ふん、ほいで、ほいで?」
「つまり、魔力の多い者ほど尊き者であり、無き者は徹底的に卑下される環境にあるのだ。尊き者にのみ価値ある物が与えられ、無き者には何も与えられない。全ては努力で勝ち取れということだ。」
なるほど。与えられる設備や物資に関しても、“実力”が影響してくるということか。俺らは魔力が少ない、もしくは測定不能だから最下級の扱いみたいになるのだろう。
「これは私の一存ではない。あくまで学院の方針なのだ。学院に入ったからには学院の秩序には従ってもらう。環境を変えたければ“実力”を示す事だ。」
実力ねぇ。それだけで人の価値を計るとは。これじゃ、ある意味、梁山泊より酷いと言えるかもしれない。あっちはここまで酷くはなかった。扱いは酷かったが、使える設備とかに制限はなかった。
「説明は以上だ。講義に参加できるのは明日からだ。先に説明した通りだ。場所と時間を間違えないように。それでは失礼する。」
ラヴァンは転移の魔法を使い、その場から一瞬で消えた。当然だが、俺ら三馬鹿トリオだけがその場に取り残された。
「さあ、これから楽しい学園生活が始まるぞ!」
「なんか、この状況で空元気な発言を聞くと虚しくなるヤンス……。」
「そんな事言うなぁ!」
しょんぼりするタニシをよそに、俺は早速テントを組み立て始めた。過酷な環境にヘコんでいる暇はない! むしろ旅の途中よりは安全が確保されているからマシだと思うんだ! 野生動物、魔物の類いが襲ってこないだけマシなのだ!
「……。」
テントを組み立てる最中、妙な気配を感じた。誰かからの視線を感じる。タニシやゲイリーではない。アイツらはそれぞれ、しょぼくれたり、謎の筋トレをしているので俺のことを見ていない。とはいえ、俺ら以外には誰もいない。人影も見えない。なんだろう?
《もしもし……?》
「……!?」
頭に響く謎の声。幻聴とかじゃなく、明らかに誰かからの思念波。独特の音が頭の中に響く感じが特徴のアレ。サヨちゃんを始めとする、竜とかの生物が使ってくるので俺からすれば慣れ親しんだ感覚である。誰なんだ? 聞いたことのない声だ。
《そうです。竜族に思念波を伝授したのは私ですからね。要するに同じ流派みたいなモンですよ。》
「ファッ……!?」
おいおい! 俺の思考まで読まれてるじゃないか! 誰なんだ? 俺の頭の中に土足で上がってくるヤツは?
《これは失礼しました。私は怪しい者ではありません。まずは振り返ってみて下さい。私はそこにいますので。》
「何……?」
振り向くと人はいなかった。いなかったが、妙な石像がそこにあった。何か深く考え事をしているオッサンをかたどった石像……というか彫刻? どっちでもいいけどここに来たときにはなかったものが今そこにある。
《初めまして、私が学院の調査の協力者です。》
「て、ことはまさか……?」
《そうです。ロバート・トレです。》
「で、出たぁ!?」
《恥ずかしながら、出てしまいました。》
き、来たぁ!? トレ坊先生! このタイミングで接触をはかってくるとは! でも、前に見た時と姿が違うんですけど? どういうこと、コレ!?
《姿が違うのは色々と理由がありまして……、おいおい事情はお話しします。それよりも先に調査の件で打ち合わせをしましょう。》
そうだよな。この絶望的な環境で調査活動をするのは心許ない。色々、支援してもらわんと困るからな。とはいえ、この姿でどんな支援をしてくれるのか全く想像がつかんな……。
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