127 / 236
第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】
第127話 下らないモノですが……。
しおりを挟む「御馳走がいっぱいでヤンスぅ~!」
クエレさんとの密談の後、彼は置き土産を置いてすぐさま帰って行った。その後はみんなと合流し、一転してグルメパーティーとなった。クエレさんが気を利かして、食料の類いを大量に差し入れてくれたのだ。おかげで旅の真っ最中ということを忘れるくらいの飲めや、食えやの大騒ぎになったのである。
「ドラゴンを捌いたら、こんなうまいモンだらけになるんスね! ドラゴンって万能食材ッスね!」
んなわけあるかよ! 一名、妙な勘違いをしている。どういう解釈でそうなるんだろう? よく、おとぎ話とかで金銀財宝とか御馳走をもらったとかいうオチはあるが、それみたいなのと勘違いしてない? 古竜族の存在がそういうのに片足突っ込んでる存在だから間違いではないんだが……。それでも何か違う。
「凄いですね……。これと比べたら、僕の秘技空中ハンバーグなんて完全に子供だましじゃないか。僕なんて大したことないんだ……はぁ……。」
「いやいや、比較対象がおかしいぞ、ロッヒェン! ただの豪華な差し入れとお前の特技は全然別物だからな!」
「べ、別物……!? そこまで差があるんだ。ダメだ、僕は……。僕の特技は別物レベルでダメダメなんだぁ……。」
ダメだ。ロッヒェンは変な後ろ向きスイッチが入ってるので、何を言っても落ち込んでしまうようだ。とりあえず、本人が落ち着くまでそっとしておいた方がいいかも……。
「むむ!? これはパーシィモンじゃないか!? こんな貴重な物を惜しげもなく提供できる人物と知り合いとは、君の人脈は大したものだな。」
「知り合いというか、腐れ縁みたいなモンだからな。つい最近まで一緒に旅してたヤツなんだがね。」
そう、御馳走の中には、例のパーシィモンが含まれている。もちろんあの時のままではなく干して熟成したものなので格段にうまくなっている。やっぱりこれは魔術師なら食いつきがいいようだ。魔法力を補給するのに持って来いの回復アイテムだからな。
「サヨさんの補佐をしてらっしゃる人なのね? 最近のサヨさんについて、何かお話は?」
「ああ、心配ないぞ。“いつも見ている”らしいから、色々、コチラの情報は筒抜けらしい。俺らの様子を見て、ほくそ笑んでるにちがいない。」
「エェ……。で、でも良かったじゃない。学院に入るための手筈を整えてくれたんでしょう?」
「うん、そうだけど、代わりに妙な任務を押しつけられちゃった。」
事情が事情なだけにその内容まではみんなに教えていない。エルには任務を受けたとだけ伝えてある。他は口が軽そうなのでNGだし、ロッヒェンはあくまでクルセイダーズの人間だからだ。ラヴァンは論外だ。アイツは向こう側、学院側の人間だから知られない方が得策だろう。下手したら、魔術師協会のスパイかもしれないし。
「油断しないでね。この前みたいに魔術師は色んな手段で動きを封じたり、盗聴、透視してたりするから。キチンと警戒すること!」
「はい。ごもっともです!」
まるで母親が子供に言い聞かせるみたいなやりとりだ。でも、しょうがない。この前は色々とハメられたり、だまされたりしたからな。魔法に関しての知識も少ないから余計にだ。
「ところで……トレ坊先生もいらっしゃるのよね? どこで落ち合う予定なの?」
「ん? さ、さあ? 協力してもらえると聞いてるだけだから、どの程度手伝ってもらえるのかは知らないんだ。」
トレ坊先生の話となると食いつきがいいな。エルの目がキラキラしている。さすがにここまでだとトレ坊先生にちょっと嫉妬してしまう。得体の知れない生命体のどこにここまでさせる魅力があるのだろう? まあ、いいや。実際に会ってみればわかることだ。その人柄をじっくり見極めさせてもらおう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる