上 下
127 / 331
第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】

第127話 下らないモノですが……。

しおりを挟む

「御馳走がいっぱいでヤンスぅ~!」


 クエレさんとの密談の後、彼は置き土産を置いてすぐさま帰って行った。その後はみんなと合流し、一転してグルメパーティーとなった。クエレさんが気を利かして、食料の類いを大量に差し入れてくれたのだ。おかげで旅の真っ最中ということを忘れるくらいの飲めや、食えやの大騒ぎになったのである。


「ドラゴンを捌いたら、こんなうまいモンだらけになるんスね! ドラゴンって万能食材ッスね!」


 んなわけあるかよ! 一名、妙な勘違いをしている。どういう解釈でそうなるんだろう? よく、おとぎ話とかで金銀財宝とか御馳走をもらったとかいうオチはあるが、それみたいなのと勘違いしてない? 古竜族の存在がそういうのに片足突っ込んでる存在だから間違いではないんだが……。それでも何か違う。


「凄いですね……。これと比べたら、僕の秘技空中ハンバーグなんて完全に子供だましじゃないか。僕なんて大したことないんだ……はぁ……。」

「いやいや、比較対象がおかしいぞ、ロッヒェン! ただの豪華な差し入れとお前の特技は全然別物だからな!」

「べ、別物……!? そこまで差があるんだ。ダメだ、僕は……。僕の特技は別物レベルでダメダメなんだぁ……。」


 ダメだ。ロッヒェンは変な後ろ向きスイッチが入ってるので、何を言っても落ち込んでしまうようだ。とりあえず、本人が落ち着くまでそっとしておいた方がいいかも……。


「むむ!? これはパーシィモンじゃないか!? こんな貴重な物を惜しげもなく提供できる人物と知り合いとは、君の人脈は大したものだな。」

「知り合いというか、腐れ縁みたいなモンだからな。つい最近まで一緒に旅してたヤツなんだがね。」


 そう、御馳走の中には、例のパーシィモンが含まれている。もちろんあの時のままではなく干して熟成したものなので格段にうまくなっている。やっぱりこれは魔術師なら食いつきがいいようだ。魔法力を補給するのに持って来いの回復アイテムだからな。


「サヨさんの補佐をしてらっしゃる人なのね? 最近のサヨさんについて、何かお話は?」

「ああ、心配ないぞ。“いつも見ている”らしいから、色々、コチラの情報は筒抜けらしい。俺らの様子を見て、ほくそ笑んでるにちがいない。」

「エェ……。で、でも良かったじゃない。学院に入るための手筈を整えてくれたんでしょう?」

「うん、そうだけど、代わりに妙な任務を押しつけられちゃった。」


 事情が事情なだけにその内容まではみんなに教えていない。エルには任務を受けたとだけ伝えてある。他は口が軽そうなのでNGだし、ロッヒェンはあくまでクルセイダーズの人間だからだ。ラヴァンは論外だ。アイツは向こう側、学院側の人間だから知られない方が得策だろう。下手したら、魔術師協会のスパイかもしれないし。


「油断しないでね。この前みたいに魔術師は色んな手段で動きを封じたり、盗聴、透視してたりするから。キチンと警戒すること!」

「はい。ごもっともです!」


 まるで母親が子供に言い聞かせるみたいなやりとりだ。でも、しょうがない。この前は色々とハメられたり、だまされたりしたからな。魔法に関しての知識も少ないから余計にだ。


「ところで……トレ坊先生もいらっしゃるのよね? どこで落ち合う予定なの?」

「ん? さ、さあ? 協力してもらえると聞いてるだけだから、どの程度手伝ってもらえるのかは知らないんだ。」


 トレ坊先生の話となると食いつきがいいな。エルの目がキラキラしている。さすがにここまでだとトレ坊先生にちょっと嫉妬してしまう。得体の知れない生命体のどこにここまでさせる魅力があるのだろう? まあ、いいや。実際に会ってみればわかることだ。その人柄をじっくり見極めさせてもらおう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

天下無双の剣聖王姫 ~辺境の村に追放された王女は剣聖と成る~

作間 直矢 
ファンタジー
 『シルバの剣は人を斬るにあらず、故に不殺の剣』    義父であるアリウム国王の教えを遵守し、その剣才を振るう事無く育てられたシルバ王女。彼女は戦災孤児であった為に、血筋を重視する家臣団は王の病死を機にシルバ王女を謀略に陥れた。    その結果、シルバ王女は辺境の地であるジニア村に事実上の追放処分を受け、その道中に暗殺集団”黒き刃”の襲撃を受けて物語は動き出す。    国境付近にある片田舎のジニア村の発展とアリウム国の繁栄、様々な妨害をされながらも圧倒的な剣の才、そして潜在的なカリスマ性を輝かせ、少女は剣聖と呼ばれる王女と成って往く。  ―――不殺の教えは、果たして守られるだろうか?  揺れ動く約束、神に匹敵する剣才。  シルバは自身に与えられた才能をどう使い、民をどう導くか、無双の姫は動き出す!!

機械オタクと魔女五人~魔法特区・婿島にて

於田縫紀
ファンタジー
 東京の南はるか先、聟島に作られた魔法特区。魔法技術高等専門学校2年になった俺は、1年年下の幼馴染の訪問を受ける。それが、学生会幹部3人を交えた騒がしい日々が始まるきっかけだった。  これは幼馴染の姉妹や個性的な友達達とともに過ごす、面倒だが楽しくないわけでもない日々の物語。  5月中は毎日投稿、以降も1週間に2話以上更新する予定です。

異世界に召喚されて「魔王の」勇者になりました――断れば命はないけど好待遇です――

羽りんご
ファンタジー
どこにでもいる普通の女子高生の皆川静葉は古本に書かれていた呪文を唱えた途端、異世界に召喚されてしまったが、召喚者はなんと「魔王」だった。 「おぬしには我が手足となってもらう」 命を握られて否応なしに「魔勇者」になった静葉だが、部屋は快適で食事は美味いし、立派な大浴場まである。しかも医療や装備、アイテムや修行など魔族達は身の回りを余すところなく世話してくれる。おまけに与えられた魔王の力が予想以上に身体に馴染み、敵を斬れば斬るほど力が増してくる。 魔族達と交流を深め、人間達を無慈悲に斬り伏せるうちに静葉は魔勇者の才能を開花させていく。 果たして静葉は立派な魔勇者となり、元の世界に帰ることはできるのだろうか?

戦車で行く、異世界奇譚

焼飯学生
ファンタジー
戦車の整備員、永山大翔は不慮の事故で命を落とした。目が覚めると彼の前に、とある世界を管理している女神が居た。女神は大翔に、世界の安定のために動いてくれるのであれば、特典付きで異世界転生させると提案し、そこで大翔は憧れだった10式戦車を転生特典で貰うことにした。 少し神の手が加わった10式戦車を手に入れた大翔は、神からの依頼を行いつつ、第二の人生を謳歌することした。

聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。 「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」 と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

処理中です...