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第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】

第101話 争いは同じレベルの者同士でしか発生しない!!

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「トル相手に散々卑怯な真似をし腐りやがって! 勇者のクセに恥ずかしくねえのか!」

「だからなんでアレが卑怯のうちに入るんだよ! おかしいだろ! 俺を非難する前にさっきのインチキをちゃんと説明しろ!」


 なんなんだろ、コレ? デーモンとガチバトルのはずが口ゲンカばかりになってきている。何から何までイチャモン付けてくる相手は、これが初めてかもしれない。


「アレはインチキではない! トリックだ! 影をちょいっと引き寄せただけだからな!」

「オイ、兄貴、秘密が漏洩してるぜ! 全く正直モンだなぁ。インチキ勇者とは違って。」

「誰がインチキ勇者だ!」


 まさかのネタバレ! 敵がわざわざ白状した。とはいえ原理が良くわからんけど。影を引き寄せれば瞬間移動的なことが出来るんかな?


「目に目を、歯には歯を、インチキにはインチキだ! こちらは二人がかりで攻めさせてもらう!」


 二人がかりと言ったものの、ゴリラだけがズンズン俺の前に迫ってくるだけだった。後ろから援護射撃してくるだけなんだろうか? 迫ってくるうちに、さっきの影分身をちゃっかり発動させている。こんなん二人以上みたいなもんじゃないか!


「さあ覚悟しろ! インチキへの制裁をくれてやる!」


 もういい。受けて立ってやろうじゃないか!真正面からぶっ飛ばしてやる。来た技全部跳ね返すのが、梁山泊極端派の信条だ!


「ゴリアァァァッ!!!」

「まずは一つ! 霽月八刃!」


 一体目の分身を抹殺! その上から残りの二体と本体が一斉に殴りかかってくる。それを真上への跳躍でかわす。跳ぶということは当然、あの技の出番だ。


「峨龍滅睛!! これで二つ!」


 落下にあわせて分身の一つに脳天への一撃をお見舞いする。当然、霽月八刃としての効果を乗せてある。これで二つ目も消えた。


「跳んだりはねたり、バッタかお前は!」

(ビッ!!)


 黒い光線が俺を射貫かんと迫っていた。だが、それも予測していた。着地を狙うのは常套手段だからな。これをあえて誘って、空隙の陣の要領でヤツらの視界から消える。


「いない!? どこ行った?」

「こっちだ! 落鳳波!!」


 少し離れた所へ移動して斬撃を放つ。途中消えた様に見えたのは、異空跋渉を使ったからだ。実際に異空間移動をした。これで三つ目の分身は消滅。残すは本体のみになった。


「バカな! ほんのちょっとの間に俺の分身が全部やられてしまった!」

「イカサマの匂いがするぜぇ!」


 結局、ヤツらにとってワカラン殺しは全部イカサマ判定になるらしい。これがいわゆるクレーマーというヤツだろう。


「チクショウ! こうなったら奥の手だ! アレをやるぞ、トル!」

「俺たち兄弟必殺の戦法だ! これを喰らえば、お前は必ず死ぬ!」


 本当の必殺技というヤツか。何が飛び出てくるんだろう? 今度は影分身は出していない。それどころか俺に近付いてこない。遠距離から仕留めるつもりなのか? トルとかいうデカい方が両手の平を頭にかざすような構えをとった。


「ブリーリョ……、」

「ヤベぇ! 目眩ましに気を付けろ、勇者!」

「オスクロン!!」


 ウネグからの忠告から間もなく、周囲が完全に真っ暗になった。視界を奪ってからの不意打ちという流れかもしれない。だとしたらやることは決まっている。


「落鳳波!!」

「ランサ・アメトラジャドル!」

(ビビビビビビッ!!!)


 両者ほぼ同時だった。相手の遠距離攻撃に合わせて、飛び道具返しとも言える落鳳波を放つ。同時にその場からも離れた。真っ黒光線に蜂の巣にされてしまうからだ。最初の技名と違うし連射する気配を感じるから間違いないだろう。


「シャイニング……、」


 あと真っ暗だからね。俺の手持ちの技ならコレが手っ取り早い。暗いんなら明るくすればいい。もっともこんな使い方するのは初めてだが。


「イレイザー!!」

「ぐああああっ!? 目、目がぁ!?」

「ま、眩しい!? 見えん!?」


 目眩ましをかけたはずが逆に仕返されるなんて思ってなかっただろうな。だけど容赦なく、ここで二人まとめて仕留めさせてもらうぜ! シャイニング・イレイザーだけじゃ威力が足りないからな。


「絶空八刃!!」


 周囲の明るさが元に戻る頃には、既にヤツらの姿は消滅していた。二人相手でも割となんとかなるもんだな。
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