【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~

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第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】

第93話 フランメ・クロイツ・ノイエ

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「ありがと。これでなんとか、アンタの剣を変成してあげれると思う。」

「これで出来るんですね。」


 ジュニアから記憶を受け取った。読める記憶は限られてはいるけど、剣を変成するのには十分だった。ジュニアのお父さんへの思い、技や剣の由来、は十分すぎるほどに伝わってきた。


「……!? 泣いているんですか?」

「えっ!?」


 言われて気付いた。確かに頬を伝うものがある。目頭も熱い。ジュニアの思い出に当てられてつい感極まってしまった。


「僕の大切な思い出で泣いてくれてるんですね。ありがとう。やっぱりお嬢さんフロイライン、貴女は優しい方なんですね。」

「ちょっ、やめてよ、そういうの! ウチはそんなキャラじゃないんだから!」

「そんなことはありません! 間違いありません! 優しさがあるからこそ思い出を元に変成が出来るんだと思います。」


 ジュニアはウチの目をまっすぐに見ている。ウチに近寄られただけで、動揺したり、鼻血噴いたりしてたくせにさ。ホントに根っからの真面目なお坊ちゃんなんだな。あんまりまっすぐにみられたら、こっちが照れるじゃん!


「もう! そういうのはいいから、その剣を早くこっちに寄越しなさいよ!」

「は、はい!」


 ジュニアは背中に吊した二振りの剣をベルトを外して、目の前に置いた。見た目は左右対称になるように柄やグリップ部分に意匠がついている。まるで芸術品みたい。過剰に凝ったデザインにはなっているわけじゃなく、程々に留めて使いやすさを追求しているみたい。ホントにいい剣だ。


「じゃあ、いくよ!」

「では、お願いします。」


 二振りの剣をそれぞれの手に持ち、目を閉じて集中を剣に向ける。変成させる対象の剣は一振りの大剣、今の形とは全然違うし、二振りを一振りにまとめることになるから、時間がかかりそう。


「剣よ! 巫女の言葉に耳を傾け給え!」

「……おおっ!?」


 目を閉じてるからわからないけど、剣が光に包まれてるだろうから、それで驚いてるんだと思う。今からそんなだと、剣の変成が終わったら、腰抜かすぞ!


「剣よ! 戦士の手足、一部となるために姿を変えよ! 新たなる姿に生まれ変わり給え!」 ここからが本番だ。さっきのジュニアの記憶を参考にして作り替えるんだ!


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「……出来た。これで終わりだよ。」


 しばらく時間が経って、変成を終えた。手にしていた二振りの剣は一振りの大剣に姿を変えた。ずっしりとした重みが伝わってくる。変成中は重さをあんまり感じないから、余計にそう感じる。


「凄い! 瓜二つだ! ここまで再現度が高いなんて!」

「再現だけじゃないよ! アンタの記憶から作ったから、オリジナルのものより、手に馴染むと思うよ。アンタ専用の十字の炎剣なんだから!」

「僕専用の……!?」


 ジュニアは剣を受け取り、その刀身をじっくりと眺めている。まるで、新しいオモチャをもらった小さい男の子みたいだ。


「似ているけど違う。そういう意味を込めて、名前をつけたげるわ! “フランメ・クロイツ・ノイエ”ってのはどう?」

「素晴らしい! この剣にふさわしい良い名前だ! ありがとう!」


 ジュニアは嬉しそうにしながら何気ない動作で剣を背中のベルトに吊した。その時、真横に飛び出た両の刃が折りたたまれるのをを見た。形が形だけに持ち運ぶときはどうするんだろうと思っていたら、変形させて対応させるみたいだ。ビックリな仕掛けだ。


「これで準備OK! 張り切って、行ってきな!」


 もう後は送り出してやるだけだ。ウチは魔力を使い切ってしまったし、これ以上は出来ることはない。でも、ジュニアは急に何かよそよそしくなった。何か重要なことに気付いた感じだ。


「剣は用意できたかもしれません。このまま行けば命令違反になってしまいます。せっかくここまでしてもらったのに申し訳ないですが……、」


 なんだそういうことか。やっぱり真面目なお坊ちゃんだな! 規則に縛られて自分がやるべき事をやれない。今はそんなことを言ってる場合じゃない!


「アンタはやりたいことをやんなさい! このまま目的達成できなかったら一生後悔するよ!」

「でも、命令違反は処罰の対象になります。それだけは避けられません。」

「小さいことを言うな! もしそうなったら、ウチがフォローしてやるから! なんなら、ゆーしゃの力を借りてもいいから! それぐらいする! クビになってもウチらが面倒見てやるよ!」

「無茶苦茶だなぁ……。でも……貴女を信じます。貴女の恩に報いるためにも。」


 ジュニアはウチの前で跪き、手を取り、手の甲にキスをした。ちょっ、コイツ何してんの!


「ちょっ、アンタ何して……。」

「こ、これは貴女への親愛の印です。……うっ!?」


 格好良くやっておきながら、鼻を押さえて呻いている。また、鼻血か。ムリしやがって……。
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