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第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】
第88話 ある意味での運命共同体
しおりを挟む「君さあ、名前なんていうの?」
「ひょっとして、勇者様の彼女とかだったりするの?」
ゆーしゃ達が出て行ってから一時間くらいたった。ウチはまだ訓練場にいる。その間、訓練を見ながら、イケメンでもいないかなあ、と眺めていたけど、残念ながらいなかった。今は休憩時間になったから、ここの訓練生から質問攻めにあっている。いやー、モテる女はツラいよ!
「ウチはミヤコっていうの。インフルエンサーやってる。ゆーしゃはある意味、ウチの下僕だからね!」
「すげーっ! 勇者様を下僕扱いとか!」
「どおりでJrをコケに出来るはずだよ! アイツ何も反論できてなかったもんな!」
「そこにシビれる! アコガレるぅ!」
なんか、こうやって自分と同年齢くらいの男と話すのって、以外と初めてだな。ソード・ランにはそういう友達いなかったし。でもなんかみんな、ガキ臭いな。男ってみんなこうなのか? 相対的にゆーしゃはまだマシなんだとか思えてくる。ほんのちょっとだけだけど。
「うぅ~。アニキを勝手に下僕扱いしてるでヤンスぅ~。言いつけてやるでヤンスぅ~。」
突然化けて出た悪霊のような声が聞こえた。いつの間にかワンちゃんが復帰していた。柱の陰からのぞき見ている。
「だまれ、下僕二号! そこになおれ!」
「ぐ、ぐわぁ! つ、捕まったでヤンスぅ!」
首の後ろをムンズと掴む。現場へと急行し、速攻で犯人を確保した。即刻、公衆の面前で晒してやった。
「ああ~、コボルト兄さん、復帰されたんですね?」
「いよっ! ミヤコちゃんの下僕二号様!」
「セルフでクリティカルヒットなんて高等技、誰にも真似出来ないッスよ!」
「はふぅ! 散々な言われようでヤンス! こんなことされたら、古傷がうずくでヤンスぅ!」
ワンちゃんは股間を押さえながらクネクネしている。ホントにだらしがないんだから。訓練生の注目がワンちゃんに集まり始めたので、隙を見てそこから離れた。離れた所にいる、とあるターゲットに近付くためだ!
「チクショウ! 僕だってやれば出来るはずなんだ!」
未だに赤毛のお坊ちゃん、ロッヒェンJrとか言ったっけ? コイツはまだ悔しがっているようだった。柱の陰にうずくまって、悪態をついてる。
「アンタさあ、いつまでそうやってる気? お仕事やんなくていいの?」
ロッヒェンJrはウチの声にハッとして、ウチの顔を見る。なんだか、ずっと自分の中の世界に閉じこもってたみたいだ。
「お、お嬢さん! なんで貴女がここに? 勇者についていかなかったのか?」
「ついていく? そんなわけないじゃん。アンタでさえ足手纏い扱いされてんのに、ウチが戦闘で役に立つわけないじゃん。」
「貴女でさえ、そんな扱いなんですか! そんなバカな!」
信じられないみたいなリアクションをとってる。コイツにとって仲間っていうのは、戦闘で役に立つということぐらいにしか思ってないんだろうな。ホントに世間知らずのお坊ちゃんだな!
「ウチは別に戦えるから、ゆーしゃ達と行動してるんじゃないよ。ゆーしゃとの旅は色々やることあるんだよ。怪我の治療とか、必要な物の買い出しとか、情報を集めたりとか。結構、ゆーしゃは戦闘と料理以外は割とポンコツだかんね。」
「そんなバカな! そんなことで勇者が務まるというのか?」
「だから、そのために、補うためにゆーしゃをサポートしてんの! あっちにいるワンちゃんも同じ。ある意味、ウチらパーティー全員でゆーしゃやってるようなもんなの、わかった?」
「そんな考え方も出来るのか!」
ウチの発言に目をパチパチさせて聞き入っている。今まで相当、お堅い世界にいたから、そういう考え方は新鮮なんだろうな。
「あのさあ、今気付いたんだけど、アンタ、結構普通にウチとしゃべれるじゃん? なんで?」
「ハッ!?」
急にジュニアの顔が真っ赤になり、鼻から赤いものが流れ出た。かと思ったら、次は後ろにそのままぶっ倒れた! ホントに世話の焼けるヤツだな、もう!
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